『涼宮ハルヒの憤慨』もう、一人じゃない

ようやく現在出版されている最終巻にたどりついた。このシリーズの他の感想文同様、まずはあらすじを書いてその後簡単な感想を述べてみる。
この本には中編2作が収録されている。両方とも舞台は3学期。まもなく主要登場人物が進級するタイミングである。

編集長★一直線

世界を再構築する力を持つヒロイン涼宮ハルヒ。彼女はSOS団というサークルを勝手に作り、勝手に文芸部の部室を占拠し、勝手に団長になっている。
そんな状況を生徒会は見て見ぬふりをしてきたわけだが、「公正な」選挙で選ばれた新しい生徒会長は違った。文芸部として活動をしない以上、部室を閉鎖するという全く持って当然きわまりない提案をしてきた。文芸部としての活動、それは機関誌作成であった。ハルヒは一時的に団長から編集長に変身して、原稿集めに奔走するわけだが…


なんというか、仲良しハイスクール的な展開。危機にあたって喜々としているハルヒがいい。久しぶりにハルヒメインの話ではある。

ワンダリング・シャドウ

学年末の球技大会も終わり、そろそろ進級先の組み分けが気になってくる頃それは来た。クラスメイトからのSOS団への依頼。なんと今度は幽霊がでるらしい。こういう怪しげな話は、見た目は無口な読書マシーンしかしてその実態は宇宙人であるSOS団団員長門有希と、見た目はうさんくさい男子生徒、しかし一度事が起これば超能力者としての力を発揮するSOS団副団長古泉一樹の二人が仕込んでいる事が多いのだが今回はどうやら違うらしい。
ハルヒSOS団のマスコットガール、実は未来からやってきた謎の少女朝比奈みくるに意味もなく巫女の服を着せて幽霊探索に出かける。そして例によってそれに振り回される主人公キョン。さてさて、いったい幽霊の正体は何者なのか?


このシリーズのSF的設定がややこしさを加速するお話。冒頭のイラストと小説の内容があっていないことについては各所で突っ込まれていることだろうからあえて触れないと言いつつうっかり触れてしまっているじゃないか。



まとめ

とりあえず一つわかったこと。この本はシリーズ最終作ではないと思われる。
このシリーズ自体雑誌に掲載されているらしいので続きはもう発表されているのかな?
素直に読むとハルヒがかわいそうになるお話でした。ハルヒ以外はみんな状況を知っていて彼女はなにもしらない。ひどいはなしです(笑)。


例によって俺のとらえたこのシリーズの世界観を書いておきます。

レベル5   作中作
レベル4   この小説でえがかれている世界
レベル3   考えていることを現実にする力を持つ少女、涼宮ハルヒの世界
レベル2   考えていることを現実にする力を持つ少女、涼宮ハルヒを想像した何者かがいる世界
レベル1   作者や俺たちが住む現実世界

この作中ではレベル4に分類されているある世界(Aとする)が描かれています。
なんというか、レベル4世界Aのハルヒ(以下「ハルヒ(4)A」)は自分の想定していない事が起こるのが楽しくてしょうがないみたいです。それは、きっと、レベル3のハルヒ(以下「ハルヒ(3)」)を内包していたために何もかもが自分の思い通りになってしまっていたことに満ち足りなくなっていたせいじゃないかと思うんですよね。
そして、サブタイトルの件。入学当初ハルヒはクラスメイトから距離を置いていました。しかし、この本で描かれているハルヒは違います。そのあたりは来週他の作品と絡めた形で書く予定です。何を書くのかはあらかた想像できると思いますけど…


今回はあまり感想らしい感想を書けませんでした。
次回、シリーズのまとめを書いて、ひとまず涼宮ハルヒシリーズの感想文を終わりにします。そのときにはアニメも含めた話も書いてみることができるかもしれません。


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記事カテゴリー 涼宮ハルヒシリーズ


カテゴリ 読書感想文
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