【タイ洪水】チャオプラヤ川ってどんな川?

子供の頃の地図帳ではメナム川と言われていたこの川、東南アジアの大河では特徴的なんですよね。





他の大河はメコン川とサルウィン川。その2本の川は中国南東部、チベット高原の端部を源流にしていますが、チャオプラヤ川の流域はタイ国内(ちょっと他の国にもかかっているかもしれないけど……)なんですよね。
Wikipediaに長さが出ていてちょっとビックリしたんですけれど、長さも372Kmしかないんですね。日本の長大河川並みです。にも関わらず世界の穀倉地帯と言っても良い平野を形作っているんですよねぇ。


さて、そのチャオプラヤ川下流部をGoogle Mapで見てみました。

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バンコク市街の南側ですが、良い感じで蛇行しています、河道改修は行われていないか行われていても最低限でしょうね。大陸河川はこれでも十分治められるんですよね。


治められる……




だめだったみたいです。




下流部でこれだけ蛇行していると水の抜けは悪そうです。日本の河川改修を思い起こしてみると、蛇行している河道を直線化するか、直線化した別の河道(放水路)を整備するかという方法を取る事が多いようです。そして、その直線の河川には十分な高さの堤防を整備する。山に降った雨をなるべく短い時間で海へ運ぶという思想ですよね。


子供の頃読んだ本ではヨーロッパの人から見ると日本の川は滝だという表現がありました。だから大陸河川のような治水計画ではとてもじゃないけれど治める事はできないんでしょうね。
チャオプラヤ川も大河という割には短いから日本の河川と同様の治水策を施す必要があるかも知れません。ただ、今回の洪水が何年に1度というレベルなのかにはよりますね。それに対応するために多額の費用を使う事で元が取れるのかという議論は当然あるでしょう。そして、日本の河川を改修した時代とは異なり結果的に自然環境を改変してしまうという行為に国際的な理解が得られない可能性もあります。あのあたりはそもそも、米を作るために人間が改変しているはずなんですけれどねぇ。


日本の現状と比較すると、タイでは川と人との距離が非常に近いように思われます。たぶんかつての日本もそうだったのでしょう。しかしそれでは人間の産業活動に使える土地が限られてしまう(その産業には農業も含まれます)。だから河川改修を行って利用可能な土地を増やす、そして利用可能な土地を安全に利用できるようにする事が必要となります。
利用可能な国土が極めて狭い日本だから……、とも思いましたが、今後はさらに人口が増え、産業が発展するアジア圏でも同様の対策が必要になるんでしょうね。