読書感想文 逢空万太著『這いよれ! ニャル子さん』2巻〜9巻 アンチ推理小説

一通り読んでみました。
思う所あったので記事にします。




この小説読むまではクトゥルー神話なんてものは知らなかったのですが、先日本屋でラヴクラフト作品を手に取りそうになりましたよ(笑)。

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

そう、あれだよ。なじみ深い創元推理文庫だったのがいかん。まだ買ってないけど。


作者の意図がどこにあるのかはともかく、クトゥルー神話ってのを認知していなかった人々に対して、今までよりは広く知らしめるという効果はあったでしょうねぇ。書泉グランデでは特設コーナーもできてたみたいだしね。あそこは基本6Fにしか用がないからいかなかったけど。


Wikipediaとかで得た間接的な知識だけれど、ニャルラトホテプってのは容貌を自由に変える事ができる、って設定なんですね。だから地球にいる男の子が好みそうな容貌にも変えられるのかなぁと。いやその裏にはああいう話があってループしているんですが(笑)。
その点ではこの小説の設定は矛盾していないけれど、ニャル子以外の登場人物も美少女美少年ってのは説明がつきませんね(笑)。別に良いけどさ。




さて、この小説を読んで、もう1回感想を書きたいと思った理由、それはまた別の所にあります。




なんかさぁ。アンチ推理小説という感想を持ったんですよね。アンチであるが故にそれがまた一つの方法になっているのかなぁとも思えるから一般的な意味でのアンチとはたぶんちがうんだろうけど。


作中で登場人物たちがメタな視点で「伏線が」ってことを言うじゃないですか。自然不自然問わず、様々な情報が登場人物からもたらされるのだけれど、そのどれがしょうもない事件の解決につながるのかが逆に見えなくなっているという。
木を隠すなら森の中に……ってところでしょうか?
そこにはもう一つ仕掛けがあって、それもやっぱニャル子なんですよね。彼女の言う事は信用できない、という前提がある。酷い前提ではあるけれど(笑)。よくよく読み返すと、明かな嘘ってのはあんまないんですよね。真尋の先入観ってのが大きいんだろうなぁ。あとは軽さか。その軽さについてはアニメの声優さんの力が強いなぁと思いますけど。
本格物の推理小説では謎を解くための最低限の情報を読者に与えるというルールがありますけれど、多くの場合ミスリードを誘うような魅力的な材料が転がっている物です。探偵役や読者はそれに振り回されるから物語は進んでいくのだけれど……。
この小説だと、謎を解く場面は一瞬で終わる。
そして、登場人物は「伏線」があることを意識している。


この方法だとコメディタッチにしかなりようがないように思えますが、これはこれで面白い方法だなぁと思います。




結局どんな本を読んでも自分が好きな推理小説にあてはめちゃいますね。ダメだけれどしょうがない。


這いよれ! ニャル子さん 7 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 7 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 8 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 8 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 9 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 9 (GA文庫)