「文学」とはいったい何者か?

夏休みが始まりました。
最近全く更新をしていないこのサイトですが、夏休みに入るといきなり来訪者が増えてまるで人気サイトのようになってしまいます。ネットにコンテンツを上げることに飽きて更新しなくてもそこそこ人が来ることを狙っていたのでまさに思うつぼではあるのですが「読書感想文」という鉱脈は当初想像していた以上に広く深くやる気になればまだまだ掘り出せるものはたくさんあるのではないかとも思っています。検索誤爆というものすごい偶然から読書感想文というコンテンツを書くことにしたのですが、書き始めたときに感じた、読む人にとって本当に必要なコンテンツはネット上を探しても存在しないのではないかという疑問は未だに解消していません。自分が書いたものはまだまだ不十分だしほかに追随者が大量に現れている形跡もありませんしね。


需要に対応するコンテンツもそういう状況ですが、子供のうちから抱いている「読書感想文」に対する疑問も未だに解決していません。読書感想文はなぜ書く必要があるのか?その疑問は未だに解決していません。
読書感想文がらみのコンテンツを見ると、ほとんどが上から目線でこうやればいいああやればいいと書いてあったりしますので、自分自身が読書感想文を書くのが苦手でそういうのに従ってもどうにもならないってことを知っているというアドバンテージを最大限に生かしているつもりではありますがそもそも読書感想文なんて書く必要があるのかという疑念からは一生解放されないでしょう。


まっ、書く必要があるかないかなんていうそもそも論を語ること自体が読書感想文を書けなくてうんうんうなっている人にとっては意味がないってことは同じくうなっていた私にはよくわかるので、やっかいな課題をさくっと片付ける方法を考えて提示する方がよっぽど役に立つんじゃないかと思っていろいろ書いてきたんですけれどね。


それはそれとして読書感想文にはもう一つの疑問があります。読書感想文を書く対象として選択されるのはどういうコンテンツなのか?漫画じゃだめなのか?学習参考書ではだめなのか?時刻表じゃだめなのか?地図じゃだめなのか?感想を書くのだから別にその対象は何でもよいのではないか?
その疑問について暇つぶし的に答えを用意してみます。




「読書感想文の課題になりうるのは文学のみである」




何の解決にもなりませんね。思った通りです。解決にならない以前に大きな問題があります。
そもそも「文学」ってなんなんでしょうか?




さて、では「文学」というのを定義してみましょうか?
恥ずかしながら大学で文学部に通っていました。そのときの区分けが参考になるかもしれません。
文学部史学地理学科地理学専攻……
だめです。地理が文学ってことに賛同が得られる自信がありませんし自分も文学部に入ろうと思って入ったわけじゃなくて地理学がやりたくて入った学校だったし。
では、ノーベル賞を頂点とする文学賞の説明を思い浮かべてみましょうか?XX問題に真っ正面から取り組みとか時代を切り取りとか心情を細やかに描きとか、そういうのはいわゆる文学作品だけではなくて今の日本では漫画の方がよっぽどしっくりくる説明文だと思っちゃいます。
そういう分類ではたぶんうまくいかない。


そこでこう考えました。




文学とは、ある言語を主として文字とその文字が持つ意味だけで表現された芸術である。




どうでしょうか?これなら絵が入る漫画は対象外になるしいわゆるライトノベルも挿絵と文章が不可分であると考えれば対象外になる。図表が多用される学習参考書はもちろん、地図、時刻表も対象外になります。事件が起こった屋敷や土地の図や人間関係相関図が入る一部の推理小説などは対象外となってしまいますけれどそれはあきらめます。
しかし、そう考えるとですね、文学っていうのはそもそも作者が記述した言語でしか本来の持ち味は味わえないのではないかと思うのですよ。
翻訳物は文学ではない。そういうことになります。
実際、名作といわれる小説を読んでみると、ほかの言語に翻訳したら絶対伝わらないようなすごさを感じることが多いんです。
すごい翻訳者はそのすごさを伝える努力をしているはずですが、それはあくまでも翻訳者の努力であって作者自身の作り上げた芸術とは違うものではないかと思うのです。


世間的には文学ってのを語るときに「物語」を説明しているように思えます。物語なら言語に関係はないし漫画でも映画でも文字だけでなくてもそれぞれの特性に合わせて作られたすばらしいコンテンツがたくさんあります。
文学と物語を分けて考えないからややこしいことになっているんじゃないかと思うのですよ。
物語がいかにすばらしくても文字だけで表現されていなければ文学ではない、逆に文学として評価される作品が物語としてすごいということではない。
そう考えるといろいろな疑問が解決します。身辺雑記のような小説ともいえないような小説がなぜ高い評価を得るのかとかね。




まぁ、こんな現実逃避なことを考えても読書感想文は書けませんね。面白いと思えない本の感想を書くのは本当に大変だと思います。苦手な人は評価なんて気にしないで適当にさらっと書いちゃってください。