川沿いの駅、川の上の駅、川の下の駅と「駅名綱引」



意外と川の上川の下の駅っていうのは多いと感じています。特に最近できた駅には多いです。
理由は簡単で川の両側に駅を作ると二つ駅が必要ですが川の上に作れば一つで済むからです。
それとは逆に川の両側に駅ができていることも多いです。というか普通です。子供の頃頻繁に利用していた京成電車押上線で荒川(現八広)と四つ木、本線で江戸川と国府台がその例になります。
ある程度の広さがある川の場合は両側にできますね。荒川放水路はその歴史的経緯から両側にできたというのもあるでしょう。


さて、駅の立地にも気になりますがもっと気になるのは名前です。
上記リンクの記事にもある東大島って比較的最近できた割には異彩を放っていると思いますがいかがでしょうか?







何が異彩かというと、自治体をまたいでいるのに「東大島」という片方の自治体の名前しかついていないことです。
これを書き始めて気がついたのですが、対岸の小松川っていう地名は、地名としてはよく知られているのに駅名にはなっていません。だからたとえ荒川放水路と旧中川に挟まれた狭窄地であってもその名前を駅につけろという配慮あるいは要望があるのが当たり前と思うのですが、あそこはなぜか東大島になっています。


もう一つ比較的最近できたところでいうと埼京線がおもしろいです。

北赤羽と浮間舟渡。北赤羽隅田川新河岸川上に、浮間舟渡は旧河道上にあります。北赤羽は両岸とも北区、浮間舟渡は片方が北区、片方が板橋区という事情が駅名の付け方に影響を与えています。赤羽浮間、浮間舟渡と駅名が連なったら利用者が迷うという判断もあったのかもしれませんが、それを言ったら高速道路のインターでの案内看板なんてぼろぼろじゃないかなどと思ったりします。


川のどちら側に駅を作るかでもめて、それに片がついて川の上や下に駅を作った場合でも名前をどうするかでまたもめて綱引が始まる。多くの場合は勝負がつかない綱引になります。
その現場をご紹介しましょう(裏付けとったわけじゃないけど)。





港横浜です。有名な話ですが横浜駅自体もおもしろいのでこれと絡めてネタにしようと思ってたのですが、こっちのネタに使ってしまいます。
先日石川町に飲みに行ったのです。石川町というのはかつて中華街と元町の最寄駅でした。その地位を今は元町・中華街に奪われています。もうわけがわかりませんね。


その石川町駅は川の上にあります。


そして、元町・中華街駅は川の下にあります。


中華街と元町の間には川が流れています。


「石川町」というのもれっきとした地名で、思い入れがある人もいらっしゃるでしょうが、別の地域の人間から見ると「横浜中華街」「横浜元町」というのは知っていても「横浜石川町」というのは知らないです。京浜東北線根岸線の石川町と言われても横浜駅からの位置関係が瞬時にはわからない人もいるはずです。
なぜそういう地名が駅名に選ばれたのか?
その理由の一つは「駅名綱引」なのではないかと疑っています。
別に地元が要望しなくても駅名には著名な観光地などの名前をつけたくなるところですが、中華街や元町という名前をつけるとどっちの名前をつけるか、下手したらどっちを先に書くかでもめたりします。そこで、川の片方側ではあるけれど、本来の地名である石川町という駅名をつけたのではないかなと想像しています。
元町・中華街駅はそこをどうクリアしたのかわからないですが、案外と別の著名観光地、山下公園港の見える丘公園との綱引に協力して立ち向かったのかもしれません。そちらで調整して横浜公園とかいうわけのわからない駅名になったら関内との区別がいまいちつかないという悲劇が起こったりしてそれはそれで趣味的にはおもしろかったのかもしれないなと思いますが実用上は最悪ですね。


しかし、石川町駅って萌えますね。
都市高速道路のジャンクション内にある高架駅です。
こんな駅、他にはないんじゃないかと調べ始めたりするとまた一日が無駄に終わります。