CPUの創りかた
昨日、実は酔っぱらった勢いで書いたネタなんですが、いずれはちゃんと紹介しなきゃと思ってたんですよ。良書です。
- 作者: 渡波郁
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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かわいいイラストと親しみやすい文体にだまされてはいけません。もろ文系で電子回路のことは全く理解不能と思っている人にとっては最強の入門書です。
この本が出始めた頃、アマゾンでそこそこ売れていると話題になっていたんですが、私はそうとは知らず本屋で買いました。実際の自分の生活に役立たない、量子力学とか分子生物学とか自分の知らない世界が解説されている本が好きなんです。デジタル回路はそういう興味のうちの一つでした。「なんじゃこりゃ」と思って手に取ってみて、中を読んで、とあるフレーズにしびれました。
「この本なら俺でも理解できるかもしれない」
どのフレーズかはネタバレになるのでここには書きません。決して安い本ではないですが、たったそれだけのことで買いました。
…
すいません。うそつきました。
本当はネタバレになるから書かないのではありません。読み返してみてもそのフレーズが見あたらないので引用できないだけです。でも、その言葉は絶対どこかに書いてあるはずなんだよなぁ。
脱線しますけど、この本、立ち読みできなかったら絶対に手に取ってませんね。立ち読みして、思いもかけず今まで自分がどうしても理解できなかったことが端的に書いてあった。しかも、興味ある分野の本だった。多少高くても買う価値ありと判断しました。で、その判断は正しかった。
この本は、秋葉原などで部品を買ってきて読者が自分でCPUを作ることを想定して書かれています。しかし、自分で電子工作をしなくても十分楽しめます。
言葉だけは知っている抵抗やコンデンサなどの実際の働き。スペック表では見慣れているクロックっていったいどういう物なのか。そしてそれを上げるためにどういう障害があるのか。そもそも論理回路って何なのか。なんでNOT回路なんてものを作ることができるのか。メモリからデータを読み出すって実際にはどうやるのか。プログラムはどうやって実行されるのか。電子的な演算とはどうやってやるのか。そして、命令のデコードはどうやってやるのか。
それらの疑問への答えがこの本で要領よく書かれています。
説教臭い読書家気取りの物言いになりますが、本との出会いってのは一期一会なんだろうなと思います。大してプロモーションされていない本を時間つぶしのために訪れた本屋で偶然手にとって運命の邂逅をすることもあれば、話題になっているけれど機会を失って一生読まない本もあります。この本は、今では見つけ出すことができない、あるフレーズを、立ち読みしたときに偶然目にとめなければ出会うことは無かったんです。
何度も書いてますけれど、このサイトからアマゾンへのアフィリエイトリンクを貼っておきながら、私自身はネットで本を買うことはしません。その最大の理由は「歯止めがきかなくなりそうだから」ということですが、「本屋での出会いが楽しくて本を買っているから」というのも大きな理由です。東京近郊に住んでいて、大型書店に頻繁に行けるという恵まれた条件があるからこそこういう事ができるのですが、本屋に行く時間が取れる限りは、実際に手にとって内容を確かめてから本を買うというスタイルを改めることはありません。
ネットでしか出会えない本もあると思います。しかし、本屋でしか出会えない本も確実に存在します。
カテゴリ 読書感想文
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