結末予想とその根拠、まとめ(2006年版)

このサイトや目次サイトの方でいろいろ書いておりますが、ここらで一発まとめをしておきたいと思います。うっかり当ててしまったらしゃれにならないというのはあるんですけれど、9巻中扉を見せられちゃうと自分が書いている中では一番人が多いここに書いておこうかなって気にもなりますよ。
妄想であってもネタバレを読むのを好まない人は読まないで下さい。










この漫画の結末を予想するのに重要な話は2巻に集中しています。だから3巻まで読んだ時点で異常を察知できたわけです。逆に言うと、4巻以降に登場したキャラクターは、この物語の結末予想にはさほど大きな影響を与えないと読んでいます。あくまでもこの話は「ハヤテ」「ナギ」「マリア」の3人が中心であり、それ以外のキャラクターは3人の成長を後押しするような役割を担っていると考えています。しかし、西沢さんやヒナギクさんやワタルくんの成長ってのもまた魅力的な話だってのがこの漫画の懐の深さ。サブキャラだけに焦点を当てた読み方をしても余裕で読めてしまいます。


そうですね。まず何から話しましょうか。何度も書いている基本的な構造からかな。くどいけれど。
19話(2巻10話)『使用人(かまい)たちの夜』。これほどまでに先の展開に制約を与えてしまう話を、私は、知らない…*1
遺産相続の条件を満たしてハッピーエンドという線はあり得ないことを示したというのが一点。
借金返済をしなければヒロインの一人とは結ばれない。しかし借
金を返済したらそのヒロインと一緒に暮らす必然性が無くなる。それが一点。
さらに、ヒロインが子供であり子供は恋愛対象にはならないというのが一点。
最後に、ヒロインは大事な人であるというのが一点。


この話を読んだだけで、「ああ、この物語は予定調和じゃないけれど終わりは決まっているんだなな」とピンと来る人も多いはずです。私はサンデーで初めて読んだ時には何も思いませんでしたけれど…。
終わりが決まってなければこの話は描けないはず。いろいろな可能性をここでつぶすことはありえません。


そして、このままモラトリアムな状態が続くことは、日付にこだわっているということで否定されているので、ナギは成長するはずだと言うこともわかります。で、ハヤテが成長したナギに対して今とは違う感情を持つようになるのではないかということも想像できてしまう。
遙か先の話ですが、自分のご主人様であり、命の恩人であり、世界で一番大事だけれど絶対結婚できない女の子を好きになってしまった男の子という物語になると思うんですよ。読み過ぎかなぁ。私はこの話からそれが読みとれたんですけれど…。


成長の話になったので、2巻を離れて4巻以降で顕在化する問題に移りましょうか。
360度の方針転換 背伸びとピーターパン
16才グループが形成されたのは4巻以降なんですよね。この漫画は16才ってのがキーワードの一つなんだろうなと思います。あの登場人物は16才になったその日に自分の世界が大きく変わったわけですから…。
紹介した記事には私が今まで気づいていなかったことが書かれています。それは「大人も16才に憧れている」ということ。なるほどなぁと思いましたね。これはもしかすると重要なテーマかもしれない。16才という「現場」にいる人たちはその価値に気づいていないけれど、他の年代の人から見ると輝いて見える。そして、自分もそこを過ぎた時に初めて輝いている時代だったことに気づくというモチーフはあると思います。
私は単純に13才グループと16才グループとの間に認識のずれがあって、それが年月によって徐々に埋まっていくというモチーフで考えていました。でも16才グループも成長をし続けるわけで…。
年齢差を前面に打ち出して、『壁』として設定しているラブコメってのもなかなか珍しいと思います。むしろ、年齢差があって現実的には難しいカップルが描かれたりすることの方が多い(笑)。
となると、ハヤテのごとく!の場合、マリアさんの設定が謎になってくるんですよね。なんで17才なんていう半端な年齢なのか。その話はこの物語が終わる日付の話でもう一度触れます。


次はどうしましょう。マリアさんつながりで15話(2巻6話)『黄金の羽のなくし方』かな。昨日書いたマリアさん誕生日記事

もしかすると、物語の歴史上、最も表現するのが難しいキャラなのではないかと最近思い始めてきました。

と書いたのは、この話があるから何ですよね。普通に考えれば、マリアさんは脇役なんです。主人公とヒロインを見守り、自分は物語には絡まないポジションです。この話の中でそれが確認されているんですよ。彼女の生き甲斐は「ナギの成長」なんですから。ナギが成長すれば彼女は物語から静かに退場するのが普通です。それがこの漫画のラストシーンになると容易に想像がつきます。
でも、そうではないと作者はおっしゃってます。
マリアさんはメインヒロインの一人であると…。
これはすごい。
何年後か、何十年後かわかりませんけれど、ハヤテのごとく!という漫画が完結した時には、その中にいくつかのそれだけで独立して発表することが可能な物語が含まれているはずです。既につい先日完結したヒナギクさんの16才の誕生日までの物語があります。その中で、マリアさんの物語の占める比重は非常に大きいと思いますね。マリアさんの物語がどういう物であるかと言うことを予想すると必然的にハヤテのごとく!という物語の予想にもなるんじゃないかなと思ってます。


ハヤテのごとく!という漫画が他の物語と違うところ、それはまぁたくさんあるとは思うんですが、今のところ一番大きそうなのは「時間」の扱いだと思います。この話は「架空の出来事」ではなく「架空の時間」を描こうとしている。「架空の時間」の中でどういう出来事が起こるのかを淡々と描いていく漫画です。そして、その「架空の時間」は始まりと終わりが決まっています。その前後にも「時間」は存在していますけれど、それはそれでまた違う「架空の時間」です。


私はハヤテのごとく!という漫画の終わる日付は決まっていると予想して、それは当たったわけですが(自慢です…)、その日付がいつなのかと問われると答えをいくつか用意したくなってしまいます。
その前に、なんで終わりの時間が決まっていると予想できたかって話を書きましょうか。


一番大きいのはサンデーバックステージVol49の一節

正直な話この漫画が、
僕が想い描く唯一のトゥルーエンドにたどり着く可能性は
多く見積もっても二割に満たないと思います。

ここです。
二割っていう数字が出てくる状況を考えてみたですよ。この文章が公開される以上は、ある程度長期連載されるめどが立ったって事だと思ったですよ。でなければこんな文章はトラブルの元にしかならない(笑)。でも、二割。なぜか。
それは作者がコントロールできない部分があるからだと思いました。そのコントロールできない部分とはなにか。普通に考えれば読者の反応とか編集からの横やりなんですけれど、この文章を公開する以上はそれらに左右される可能性は低い。せいぜい50%くらい。となると…。「トゥルーエンド」が成立する条件は、登場人物たちの状況がある構成になっている状態で、ある日付になった時なのではないか、と推測したわけです。話の構成をミスると作者がどんなにそこに行きたくても行けなくなってしまう、『ハヤテのごとく!』ってのはそういう「ゲーム」なんだろうなと。
もしそうなら作者はつらいけれど面白くてしょうがないと思いますよ。最高のゲームだと思う。


話を戻しますか…。終了日について…。
もしいくつか候補を挙げることが出来るのなら下記の3つを挙げます。

  • 2005/12/31
  • 2007/3/31
  • 2007/12/31

この中で一つだけ選ぶとすると、最後の

  • 2007/12/31

になります。


今の状況で一番収まりがいいのは2005/12/24であることに異論はありません。それを示唆する材料も十分にあります。ただ、この漫画、ヒロインがマリアさんだけではないというのがあるので…。マリアさんだけがヒロインなら12/24エンドだろうけれど、それを受けてナギちゃんがどうするというのをその後1週間かけて描くと予想しています。そうするとちょうど年末なので切りがいいし。2005年だとそこまでにナギちゃんを十分に成長させることができるのかが不安。でも、話を追うと1年で終わる物語に見えてくるんですよね。特に最近は。
2007/3/31ってのは卒業式があるからですね。この3つの中では一番可能性が低い。もし西沢さんとヒナギクさんがヒロインならここでしょう。彼女たちの物語はここで一区切りを迎える可能性があります。
2007/12/31が私の本命です。2005/12/24と同じくらい示唆する材料はある。
一つはナギの成長です。2007/12/3にナギは16才になります。さっきとは逆に、もしこの物語のヒロインがナギだけならここで終わるとすっきりする。でもマリアさんもヒロインなのですよ。
次は些細な話ですが、高校を卒業しているということ。畑健二郎さんが卒業式っていうイベントをスルーすると思います??私には思えないんですけれど(笑)。
最後にマリアさんの年齢。2007/12/24に彼女は20才という節目を迎えます。これが大きい。だからマリアさんは今「17才」でなければならないのです。


9巻中扉であんな物見せられたら書きますよ。


マリアさん三千院帝の後継者として育てられた。たぶんその時には何らかの事情があってナギの両親は後継者になりえなかったんじゃないかと思います。で、その後、もしかしたらナギの両親が他界したタイミングでかもしれませんけれど、マリアさんからナギちゃんに後継者が変わったんだと思います。それはマリアさんも受け入れている、というか積極的にそうお願いしたのがマリアさんかも。この予想をすると鍵になってくるのは4巻収録の読み切り外伝ですね。あの時過去のマリアさんは出てきてないんですよね。何とも微妙な作りだ。
それはともかく、マリアさんとナギちゃんとの微妙な関係は、たぶん本来作中で明かされている話だったはず。バックステージVol13からちょっと長いけれど引用

マリアとはコスチュームが違う
いわゆる量産型・三千院メイドさんたちの話があって
そこから普通のメイドさんとマリアの違いの話になって
そこで明かされるマリアとナギの関係についての話。
(別に秘密にする気もないのですが説明するタイミングがなくて……)
マリアがナギに対して
あまり敬語などでしゃべってない理由がここで明らかにされ、
そこから触れられるナギの生い立ち。
帝じいさんとの確執。
遺産相続。

まぁ当たらずとも遠からずだろうなと。別に作者が必死になって隠しているわけじゃないから、当たっても普通ですけれど。
マリアさんが20才になる事をきっかけに遺産相続について一悶着あって、最終的に遺産はマリアさんに行くと言う結末かなぁと思ってます。そのためにナギちゃんは遺産が無くても今の生活レベルを維持できるという設定になっているわけだし。
マリアさんに後付で「メイドさん」という設定を与えてなければ、初期設定でそのあたりは明かされていたはずです。後付設定が図らずもものすごく効果的になったって感じでしょう。
というわけで、2007/12/31前に漫画が終わるか、2007/3/31を過ぎても続いているか、畑健二郎さんから終わる日付が明かされるか*2するまでは2007/12/31説に固執してみます。
恋の行方やら借金返済やらをどう処理するのかは全く見えていないんですけれど、遺産相続だけに絞ってみても感動的なラストシーンが目に浮かびますよ。


この漫画の真価は連載終了後に発揮されると思います。ハヤテのごとく!前と後では「物語」の質が変わると思います。作者はもしかすると極めて自然に、ただ週刊少年誌で連載を勝ち取るために考えたストーリーなのかもしれませんが、これ、たぶん、今まで誰もやっていない。時間を描くためにはどうすればよいかということの答えがここにあるような気がします。




さて、書いてから1年以上経ったにも関わらず、今の方が当時より読む人が多い記事があります。そこに書いた一言がこの漫画の本質だと今でも思っています。書かなくてもいいかなとは思うんですけれど、言葉を換えてもったいぶらずに書いておきましょうか。






この漫画は連載前からネタバレしています。






ハヤテのごとく」過ぎていく「時」を描こうと最初から決められていたのですよ。


目指しているところが今まで著された他の物語とは違うのです。




当たらずとも遠からず、というより、これはたぶん当たっていると思う。




最後まで書いて思ったこと。結局2005/11/27に書いたことと変わっていない…。ループしているだけだよ…。




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*1:九代目松本幸四郎ヴォイスで

*2:これ、普通はあり得ないけれど、畑さんの場合は可能性が高い(笑)