今年一年を振り返る(その2) 2006年、印象に残った本たち

2006年にこのサイトに感想を書いて印象に残った本を挙げてみたいと思います。ここに感想を書くのは原則としてかなり気に入っている作品ばかりなので、順位付けなどのわかりやすい相対評価はしません。
2006年に読んだ本にしようかと思ったのですが、昔に読んで感想書いている物とかもあるので、基準はここに感想を書いた日付にしました。

新書・趣味・実用

コーヒーが廻り世界史が廻る

コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)

コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)

いい本です。
2006/2/26

オシムの言葉

売れている本は私のストライクゾーンに入らないことが多いのですが、この本は別格。面白いしためになると素直に思えました。
2006/8/27 『オシムの言葉』 とにかく読んでみよう

日本の軍事システム

日本の軍事システム-自衛隊装備の問題点 (講談社現代新書)

日本の軍事システム-自衛隊装備の問題点 (講談社現代新書)

その道に「オタク的」に詳しい人が書いた本というのは一般的に面白い物である事が多いんじゃないですかね。
2006/9/3

核兵器のしくみ

核兵器のしくみ (講談社現代新書)

核兵器のしくみ (講談社現代新書)

この本は面白いですよ。マジお薦め。
2006/12/12

ニッポンの犬

ニッポンの犬 (新潮文庫)

ニッポンの犬 (新潮文庫)

いいですよ〜。和みますよ〜。
ただ、それだけではない…。
2006/12/11『ニッポンの犬』 かわいいだけではない日本犬

CPUの創りかた

CPUの創りかた

CPUの創りかた

この本は表紙にだまされちゃいけないです。ええ、むろんだまされて買う分にはいいんですけれどね(笑)。まるっきりの初心者がデジタル回路ってのはどういう物なのかを知るには最良の一冊でしょう。
2006/10/28

小説

戻り川心中

戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)

おっそろしいものを読んでしまったなって感じです。
2006/1/22

チョコレート工場の秘密

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)

黒くて救いがないお話。だが、それがいい
2006/4/25

愛のひだりがわ

愛のひだりがわ (新潮文庫)

愛のひだりがわ (新潮文庫)

切なさと黒さが醸し出す絶妙なハーモニー
2006/8/14

グインサーガ 109巻 豹頭王の挑戦

長大なシリーズなのにこの一冊だけでも楽しめるというのはすごい
2006/8/13

グインサーガ外伝 ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2

今年読んだ推理小説No1(笑)。私は社会派よりも大トリックを使った推理小説の方が好きなんですが、魔法が許される世界での社会派推理を構築した作者の力量はすごいと思います。
2006/1/22

邪魅の雫

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

長いから読むの大変だと思いますけれど損はしないとも思います。玉突きのように謎が解明していく独特な感覚がいいです。
2006/9/30 京極夏彦著 『邪魅の雫』 「邪」な死

涼宮ハルヒの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

生まれて初めて「ライトノベル」というジャンルの本をそれと意識して読んだのがこの作品。これのいったいどこがライトなのか??(笑)。
中身がなかったり一回読んだら満足してしまうような「大ベストセラー」が多いこの時代にこの作品は重すぎるんじゃないでしょうか?ハルヒたちの住む世界に没頭してしまう読者が多いのにはタネも仕掛けもあるんですよ。繰り返し読んでも面白い。
2006/7/2 涼宮ハルヒの憂鬱 その危険な世界観

たけくらべ

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)

これがね。ほんといいんですよ。びっくりする。ツボに来ました。他の樋口一葉作品も読んでみようかなぁ。
この作品を読めただけで名作感想文シリーズをやってみた甲斐がありました。
2006/12/29 樋口一葉著『たけくらべ』いつまでも読んでいたい

漫画

さよなら絶望先生

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

ファンの皆様からは異論が出そうですが、私がイメージする漫画ってこういうものなんですよね。どこから読んでもどこを読んでもそこそこ笑えるもの。雑誌を拾ってその週だけを読んでもわかるもの。今、こういう漫画ってほとんどないということに絶望します…。
2006/9/19 さよなら絶望先生 1〜5巻 虚構への現実の侵略

頭文字D34巻

頭文字D(34) (ヤンマガKCスペシャル)

頭文字D(34) (ヤンマガKCスペシャル)

もともとリアリティのある話とは決して言えませんが、それでも車に乗る人間にとって、とくに峠を走るのがそこそこ好きだった人間にとっては「すっげー」と思わせる描写が多数ある漫画。
この先超絶テクニックがどんどんエスカレートしていくという危惧が34巻で払拭されました。今までもその傾向はありましたがドライバーの心理描写に重きを置くようになっていくと思われます。作者の独白は全文引用したいくらいです。
2006/11/26 頭文字D(34) ヤビツ峠の激闘

あずまんが大王2巻

あずまんが大王 (2) (Dengeki comics EX)

あずまんが大王 (2) (Dengeki comics EX)

『大阪の初夢』にしびれました。あえて相対評価するのなら今年読んだ漫画では最高。いままで食わず嫌いしていた自分が恥ずかしい。
2006/9/10 あずまんが大王 全巻 これはすごい・・・

その他

ゲーム しぇいむ☆おん

しぇいむ☆おん 公式サイト
有志が作ったフリーゲームとは思えない品質。これがなければ一生ギャルゲーなる物をやる気にならなかったと思います。ええ、結局これしかやってませんし他の物を買う気にはなれない…。敷居が高いです…。
2006/10/4『しぇいむ☆おん』というゲームをやってみた

アニメ 涼宮ハルヒの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 1 限定版 [DVD]

涼宮ハルヒの憂鬱 1 限定版 [DVD]

感想は小説の感想の方に書いていますが、原作の世界を理解した上でそれを発展させているすばらしい作品だったと思います。
漫画が原作だと漫画自体の読み方がなってないんでこういう感想はもてないから他にも同等あるいはそれ以上のアニメはあるんでしょうけれどね。

ハヤテのごとく!

ハヤテのごとく! 7 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 7 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 8 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 8 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 9 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 9 (少年サンデーコミックス)

これは漫画とかに混ぜるとややこしいことになるので別カテゴリー。

66話「St.Valentine's Day SIDE:CLASSMATE"Shining☆Days"」(7巻3話)

バレンタイン話のヒナハム編。
畑健二郎さんはこういう切ない話を書くとは思っていたけれどこれほどとは思わなかった。この漫画が完結した頃には大したことがないエピソードになってしまうのかもしれませんけれど、私はこの話読んで自分の予想が9分9厘当たることを確信しましたね。
西沢歩さんとヒナギクさんが主人公の短編読み切り作品として発表されていても十分耐えられると思います。
2006/2/8 なんかよくわからないけど感動した第66話
2006/2/9 切なさへの耐性

81話「輪舞-revolution-」(8巻7話)

毎週の感想では気づきませんでしたが、この話はハヤテのごとく!という漫画の典型的な構成になっています。切なさと心理描写とギャグと示唆。それらの要素が16ページに詰め込まれています。残念ながらパロディはなかったですけれど…。
アニメになっから読む人は、この話を読むか読まないかでファンになるかならないかが決まるかもしれません。広告や記事で紹介される場合に、この漫画のパロディ部分を前面に出すことが多いですが、それは小学館の戦略かなとも思っています。いずれこの話で描かれているような要素をプッシュする時がやってきます。間違いなく。
2006/5/31 第八十一話 女と男と二匹の小動物
2006/6/1 第八十一話 感想二日目
2006/9/17 ハヤテのごとく!初めて読む方への推薦状

100話 「祝★100話!でも本当は99週目。なぜなら1週目が2話同時掲載で…」

2006/10/18 100話でデストロイ
2006/10/19 100話 感想二日目 ファーザーが本物だった件


10巻収録時には連続して読めるこの3話。神がかっています。一話一話もいいんですが、3話続けて読むとかなりすごいと思います。
98話は今までの所この漫画最大のハイライトシーン。まず、それがサブキャラに用意されていたシーンというのがすごい。主人公やメインヒロイン二人に用意されているのはどんなに凄まじいシーンなのか妄想が膨らみます。
最終回だと思うんですよ。別の漫画の。別の物語の。それを経験しないとヒナギクさんはハヤテのごとく!という作品の世界にとけ込めないというような通過儀礼。この漫画は複数の物語から成り立っているというのがよくわかります。
続く99話。これはワタルくんとサキさんの物語に先生二人が絡むというあり得ない展開。そしてハヤテ君の読唇術(w。98話との落差がたまらん!。
一人の少女が、この先ことあることに思い出すことになるような自分の人生の中で重要な場面を体験しましたが、それ以外の人たちは(漫画内的に)平凡な毎日を過ごしているってのがいいです。こういう物語ってありそうであんまりないんですよね。
そして、あの100話。見出しにもしてしまったけれどあのファーザーはながいけんさんが描いたのか畑さんが描いたのか??謎。まぁどちらにしてもインパクトは強烈。
ファーザーの陰に隠れがちですが、ナギちゃんの描くブリトニーちゃんも相変わらずのレベル高過ぎ。さらにハヤテ君の描くブリトニーちゃんがまた強烈。ドジで火事になるところはツボだった。うる星やつらの世界。そしてなんといっても『子猫の一生』。これはすごいね。ここ、アニメになるかな?見てみたいなぁ。どうするんだろう。
さらに、この話ではハヤテのごとく!という物語の行く末も暗示されていますからもう盛りだくさん。たまりません。あの話は借金を返せば屋敷にいる必要が無くなるという事を示唆していると読んだんですけれどどうですかねぇ。『使用人たちの夜』もそれとなくその話が出ていますが、もっと直接的に描いたのかなぁと。もっと深いのかなぁ。
ハヤテのごとく!という漫画を物語として捉えると落としどころが難しい。作者自身もそのことを認識していて、読者が混乱しないようにいろいろと示唆をしているのかもしれませんが、それによってさらなる混乱が生まれている可能性も否定できません(笑)。




今年感想を書いた本の中から、ハヤテのごとく!を含めると20作を挙げてみました。やっぱり順位付けは不能ですね。カテゴリーが違いすぎる(笑)。あえてベスト3を選ぶとすると…そうだなぁ。

3位 涼宮ハルヒの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

2位 たけくらべ

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫 緑25-1)

1位 あずまんが大王

あずまんが大王 (2) (Dengeki comics EX)

あずまんが大王 (2) (Dengeki comics EX)

ですかね。いや、「核兵器のしくみ」や「CPUの創りかた」も捨てがたいなぁ。まぁフィクションでのベスト3ならこれでいいんじゃないかな。
よく見ると今年発表された作品はありませんね。そんなもんです。いいと思えるようになるには時間という調味料が必要なんです。そして、時間が経ってからも残っている作品って言うのは、それなりにすばらしい作品ばかりなのです。




この記事で今年の更新は終了です。おつきあいして下さった皆様、ありがとうございました。
残すところ3時間切っています。来年もよろしくお願いします。



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