よつばと! 6巻 21世紀のサザエさん

今さらですが感想を書きます。

よつばと! (6) (電撃コミックス)

よつばと! (6) (電撃コミックス)

嫌いじゃない、というかむしろ好きだ。そんな感想を持つ漫画です。ただし、同じ作者による『あずまんが大王』と比べてしまうと、「怖さ」というか「やばさ」は感じないです。何でそう思っちゃっているのかを考えてみました。


多くの人が感想に書いているし、紹介でもよく使われる表現として、「どこにもない日常生活」を描いている作品です。作中世界ではありふれた日常ですが、それが現実社会で起こりえる話かというとそうではない。そして、現実の時間とは同期せずに作中独特の時の流れで進んでいく。楽しかった夏休みは終わり、よつばちゃんは自転車を手に入れるわけです。
見出しに書いた言葉は的確とは言えないんですよねぇ。『サザエさん』は基本的には同じ一年をいつまでも繰り返すアニメですからねぇ*1


そこまでわかっていてなんで『サザエさん』を引き合いに出したかというと、『よつばと!』と『サザエさん』は複数の世代間での反応の違いによる笑いがあるという点で似ていると思ったから。
よつばと!』のポイントはお隣の綾瀬さん一家だと思うんですよ。あそこの3姉妹と両親と小岩井家が疑似家族みたいな感じになっていて、よつばちゃんと両親世代、さらに3姉妹それぞれの姉妹との間にあるズレが面白さの源泉何じゃないかな。それぞれの世代の住民も目線を自分より下の世代に移すこともあるけれど、それはそれでそう意識してやっている。
サザエさん』の時代は何世代も同居していて大人数の兄弟がいるってのが当たり前だったけれど、今はそういう時代ではない。だからこれが受けるってことなんじゃないかなぁ。


子供が変なことをする漫画よりも、いい大人が変なことをする漫画の方が個人的に好きです。『こち亀』とか『マカロニほうれん荘』がまさにツボなんですよね。その嗜好から言うとこの漫画はイマイチなんですけれど、それでも次の巻も読みたい俺がいます。
あずまんが大王』みたいな破壊力はないですけれど、夜眠れない時に適当に手にとって適当なページを見ても楽しめる、そんな作品だと思います。
ラストシーンでは登場人物も読者もよつばちゃんとお別れしなきゃいけなくなっちまうんじゃないかなぁ。寂しいなぁ。


今年最初の本の感想にしてはメジャー過ぎる物を取り上げちまったなぁ。

*1:原作は読んだことはあるけれど子供の頃の話なので記憶にあるのはアニメの方だけ