読書感想文 ヤマグチノボル著『ゼロの使い魔 14 水都市の聖女』

いざ書こうとするといろいろなことが頭をよぎって感想を書きづらいです。
この小説は単純な物語に慣れている人には難しすぎるかも知れません。だから面白いんですよね。善と悪、虚と実が入り乱れて、しかもそれを極力わかりやすく表現している。作者のヤマグチノボル氏の力量はかなりの物なのではないかと改めて思いました。
行動をともにしないもう一人の虚無の使い手。ようやくこの時が来たか。ルイズは生を選択したけれど彼は死を選択したと言うことだな。あれを伏線として読むかどうかだけれど俺は伏線だと思っていました。でなければあの表現はありえない。それが今回の記述で裏付けられたのではないかと考えています。
ガンダールブの過去。この作品の裏側に隠した作者のメッセージが見え隠れしているように思えますね。その話はいずれ書きます。というか書いてあるけれどアップロードはもうちょっと先。


ラストがあんな感じだったので、この作品のラストシーンにも思いをはせてみます。やっぱりハッピーエンドかなぁと思うんですよね。二人は一緒になる。周りの人たちもそれを祝福する。そして…二人はどちらの世界で生活するか選べる状況になる。もしかすると自由に行き来できるようになるかもしれないけれど選択になる可能性が高いと思います。そのあたり、予想を書けるのは作者は既に決めているのではないかと想定しているからですね。この話、かなり緻密ですから。


今の中高生はこんな本を読んで大人になるんだから末恐ろしいです。今は気づいていなくても、この本に込められた何かをきっと感じていると思います。いつか、それが唐突に思い起こされる日がくるかもしれないです。私にはそういう経験がありましたから。