「高橋留美子展」を見て思ったこと

一言では語りつくせないいろいろな感想を持ちました。その中に一つ、この展覧会は小学館にとって諸刃の剣なのではないか?という物がありました。そんな話も含めて「高橋留美子展」の感想を書いていきます。


私は高橋留美子という漫画家さんのファンではあるのですが、それほど濃いファンというわけではありません。だいたい存在を知ったのはすでに『うる星やつら』も『めぞん一刻』も終わりを迎えようとしていた…。そう、あれはたぶん1986年くらいだったと思います。そんなときでしたから。そして『らんま 1/2』と『犬夜叉』は必ずしもツボにはまる作品ではありませんでした。その証拠に高橋留美子作品のコミックスは『らんま 1/2』の途中から無くなっています。持っていません。
でも、私は高橋留美子さんという漫画家がいたから漫画を読み始め、今に至るまで読み続けました。もし、あのとき『うる星やつら』、『めぞん一刻』に出会っていなければ、この年になったらさすがに漫画は全く読まない人になっていたでしょう。子供だましと読みもしないくせに決めつけていたでしょうね。そして、『ハヤテのごとく!』に出会うことも無かったはずです。


高橋留美子さんの原画展に足を運んだのは記憶が正しければ2回目です。かれこれ20年近く前になるんじゃないでしょうか?『うる星やつら』、『めぞん一刻』が相次いで連載を終えたタイミングにやったはずなんです。場所は池袋東武だったはずです。そのときはぼーっと絵を見て、感想帳みたいなのが置いてあったのでなんか書いたような気がします。学生時代ですから平日に行けた(んだと記憶では思っているだけ)ってのもあるんでしょうが、空いていたんですよね。
その時のイメージがあったから、今回の展覧会もごく少数のファンのために開催されているんだろうなと勝手に思っていました。しかも入場料\1,000取る。これは敷居が高い、とね。


ところがです!行ってみてびっくり!なに??この混み方…。性別年齢バラバラ、ぱっと見で判断する出身国もバラバラ。ものすごいカオス…。


ここから、時系列のインプレッションです。


チケット買って中にはいると最初に目にはいるのはオープニングアニメです。いきなりみんなそこで固まるからだろうなぁと思いましたよ(笑)動線がうまく行ってない(笑)。
アニメの内容はサンデー掲載メジャー作品の主人公ヒロイン競演です。諸星あたるが女乱馬とかごめに手を出して、乱馬(男女)、犬夜叉、そしてラムに酷い目に遭わされるという悪夢のようなシナリオ(w。
このアニメ、絵がよかった。原作厨も納得です(wwww


3分くらいのショートアニメを見終わると、ようやく原画展示コーナーに入れます。いえ、別にスルーしてもいいんだけれど、俺のスルー力ではスルーできなかっただけです。すいません。
その原画展示コーナー。かなりやばいね。まず、『うる星やつら』からです。進みません。全く列が進みません。みんな一枚一枚食い入るように見ています。『うる星やつら』なんか知らないであろう子供もちゃんと見ています。いったいどういうこと?と思いましたが、気づくと自分も食い入るように見ています。でも理由はわかりません。壁際をのろのろと列の流れに身を任せ、そうですねぇ、20分くらいはかかったかな?で、ようやくうる星コーナーを脱出することができました。
完成原稿の展示もしてあって、『うる星やつら』のはまさに最終回のあの場面です。


次が『めぞん一刻』コーナー。これはやばい。やばすぎるぜ。そうそう。今回の展示に合わせ、高橋留美子さんが各作品にショートコメントを寄せているのですが、「地雷女」って…。確かに響子さんは地雷だが…。ん?俺地雷女が好きなのかな?でもヒナギクより西沢さんだな。おかしいなぁ。そういえば、漫画のキャラなのにどうしてもさん付けで呼びたくなるのって響子さんとマリアさんくらいだなぁ。西沢さんはハムの方がしっくりくるし。
とにかく、固まれます。思う存分固まれます。だってみんな固まっているから列が動かないもん(笑)。大丈夫。


その次が『らんま1/2』コーナー。これがね。よかった。原作は途中でコミックス買うのやめちゃったんだけれど、絵がよかった。素人目にも「どうやってこういう絵を描いているんだろう…」と思っちゃうような絵が何枚もあった。で、このコーナーに限らずそういう見方をしている人もいた。「この絵は何話の…」っていう語りをしている人もいたけれど、そうではなくて「この絵のXXは素晴らしい」とかいう見方をしている人もいた。俺には違いがよくわからないのだけれど、確かにそういうことを言い出す人がいる絵には力があるように思えるんですよねぇ。不思議…。


んで、ようやく『犬夜叉』コーナー。なぜかここが一番空いていた…。たまたまかもしれませんけれどね。
噂に聞いていたオリジナルアニメ、上映していましたが、とても中で見るような状況ではなく…。とにかく人大杉。無理。話の中身は原作終盤っぽかったです。


ふー。解放される…。と思いきや、ここから短編コーナーが…。全部読んだわけではないがほとんど読んでいます。短編の中に長編のプロトタイプが隠されていることがあるので次回連載の予想をするには短編を読まないとね♪。ええ、予想なんかしませんけどね♪。


おお。これで真の終了。
と思わせておいて世の中そんなに甘くない。
最後のコーナーは、他の漫画家さんが描いたラムちゃんです。カラー原稿です。このサイトを読んでいる人には馴染みがあるであろう、いとうのいぢさん、久米田康司さん、あずまきよひこさんの絵もカラーで展示されています。いとうのいぢさんの絵はすごかったな。あまりにも混みすぎていてじっくり見ていなかったのですが…。




展覧会はこれで終了。この後大きなお友達が元気になる物販コーナーが待っています…。もう勘弁してくれ…。




さて、それではまとめ感想を書きましょう。


まず、乳首券(笑)。
サンデーに割り当てられた乳首券高橋留美子さんが全部購入してしまったのでしょう。あれは少年誌への挑戦ですよ。でもなぁ。あれはああいう設定だからしょうがないんだよなぁ。


続いて、サンデーというか小学館にとって諸刃の剣になるのでは?という点についてです。
少なくともネットでは話題になっている裁判あるじゃないですか。あれの争点って、別に編集が無能とかそういうことではなく、漫画のカラー原画に芸術性があるか否かってところみたいなんですよね。
それを念頭に置いて今回の高橋留美子展を見てみると…。展示している方は最低限の保護、直接手に触れられないように額に入れたりケースに入れたり警備員配置したりはしているけれど、どの程度の意識かはわかりませんが、見ている方の意識は「芸術作品を見ている」という雰囲気でした。俺にとって『うる星やつら』、『めぞん一刻』は神なので、絵を見てもどうしても背後にあるストーリーを思い出してしまい純粋に評価することができません。ところが逆にツボに入らなかった『らんま 1/2』、『犬夜叉』は、今回純粋に絵として楽しめた。んで、よかった。
この展覧会が成功するってことは、やっぱり漫画の原画には芸術性が認められると言うことになるのではなかろうか?と思いました。
ただ、小学館にとっても負けてもそれが悪いことばかりでは無いと思いますので、本来の争点で争う気があるのかどうかは怪しいと思いますけれどね。


最後にまとめ感想です。
\1,000出すのには正直抵抗がありました。金を払ってまで見る価値あるのかと。あります。っていうかもう一度行きたい。少しは空いているらしい平日の夜に行くかもしれません。そうそう。物販のレジで聞いてみたら平日もかなり混んでいるらしいです。行く人は混んでいることを覚悟の上で行ってください。それでも見る価値はあると思います。
俺には絵のことはわかりません。自分で描けないし、名画と呼ばれている物を見ても良さがイマイチわからなかったりします。そんな人の言うことなので信用できないでしょうが、今回の展覧会で見た絵には力があるように思えました。
もし仮に高橋留美子さん以外の漫画家さんが同じような展覧会をやったらこうなるのだろうか?年齢、性別、出自を問わずこれだけ多くの人を集めることができるのだろうか?そんなことを思いました。




高橋留美子さんから、展覧会を見に来た人へのメッセージがありました。高橋さんは、これからも、機会が続く限り「少年漫画」を書き続けるご意向とのことです。おそらく活躍の場は週刊少年サンデーになるのでしょう。次の漫画を楽しみにしております。


いい物を見させてもらいました。


tanabeebanat