矢吹健太朗・長谷見沙貴著『To LOVEる-とらぶる-』1〜4巻

今日の感想では、私から見ると同じような傾向を持つ作品に見える、女の子がいっぱい出てくる漫画をいくつか引き合いに出して書いてみます。おそらくこの作品の感想はそういうスタイルで今後も書いていくと思います。とは言っても、そんなにたくさんの漫画を読んでいるわけではないので、数は限られているし偏ってもいます。
引き合いに出す作品は、まず『ハヤテのごとく!』。私にとっての漫画の入り口だったのでどうしてもあわせて考えてしまいます。
次が『魔法先生ネギま!』。非常に特徴的なのにも関わらず、私から見るとまだそのポテンシャルを生かし切っていないようにも思えるので比較しながら書いてみたいと思います。
そして、最後に。『うる星やつら』。読んだことがある人にとってはなぜ引き合いに出すのかおわかりでしょう。非常によく似た基本設定を持つ漫画です。
他にも書いている最中に思い付いていろいろな作品を引き合いに出すと思います。原則としてこの日記に感想を書いている作品だけを引き合いに出そうと思っておりますので、もし、その作品についてどういう感想を持っている人がこの感想を書いているのか気になったら、検索すれば出てくると思われます。


では、『To LOVEる-とらぶる-』(以下、『とらぶる』)の感想1発目を書いていきます。


To LOVEる -とらぶる- (1) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (1) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (2) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (2) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (3) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (3) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (4) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (4) (ジャンプコミックス)





あらすじ紹介をしてみます。そういうの書くの苦手だし。うまいこと説明できるとは思えないですしね。Wikipedia見れば書いてある程度のことしか書けないし。
あえて書くと、宇宙から「ララ」っていう可愛い女の子がやってきて、普通の地球人の「リト」っていう男の子に助けられ、そのリトから結婚の申し込みをされたと思いこみ、っていうか思いこんだことにしてララは地球に居着きます。ところがリトが本当に好きなのは「春菜」っていう女の子で、実は春菜も……。めでたく三角関係のできあがり!っていうのがここまでのお話です。
第一印象は「ジャンプっぽくない漫画だなぁ」という感想でした。アニメを見ていたのでこういう話だということは知っていたのですが、漫画原作の方ではもうちょっと違う味付けがあるかもなぁと思っていました。意外です。とは言っても、私がジャンプを読んでいたのはかれこれ30年ほど前のことなので、これを読んでジャンプっぽくないと言われても困るのかな?なんせ当時桂正和さんの登場は衝撃的でしたからねぇ。ジャンプにあんな漫画が載るなんてありえなかった(笑)。
もしかすると、1巻ラストから2巻冒頭(トラブル7「宇宙からの侵入者」〜トラブル8「真の姿」)で描かれたバトル展開が、ジャンプのシステムを考え合わせるとこの漫画の分岐点だったのかもしれません。もしあの話がそれまで以上に人気があったら、曲がりなりにもバトル主体でラブコメ風味みたいな感じで進んでいったのかもしれませんね。




せて、この作品の感想を書いてみようと思ったきっかけは、「アニメから入って原作を読むとどういう感想を持つのだろうか?アニメに対する感想と原作に対する感想はどう変わってくるのだろうか?」という疑問を抱いていたからです。なので、忘れないうちにその観点からの感想を先に書いておきます。


アニメの感想でも書いた覚えがありますが、こういう、連載途中でのアニメ化、とくに可愛い女の子を代表する魅力的なキャラクターが多数出てくる作品をアニメ化する場合は、アニメの方ではどうしても後から出てくる人気キャラクターに配慮せざるを得ないんですね。
それをうまくやっていたのがアニメの『涼宮ハルヒの憂鬱』だと思います。時系列シャッフルというアクロバティックな手法によってそれを可能にしました。
それに対して……。と書こうとしたのですが、よく考えてみるとアニメは見ていなくて、上の記事で書かれていた「読んでもいないのに批判する人」になっちゃうんでダメなのですが、『魔法先生ネギま!』はどうやらアニメが微妙だったらしい。まだ漫画やアニメに興味を持つ前に放送されていた作品なので見てないんですよねぇ。アニメを見るってのが苦痛に感じる得意体質なので今さら見ようとは思わないしね(笑)。
いやまぁ言い訳はやめて話を戻します。『魔法先生ネギま!』はそもそもそうならないようにデザインされた作品だったはずなのですよ。最初から主要キャラクターであるクラスメイトの皆様を呈示した。ところが、読んでみるとあまりにも短期放映アニメには向いていない物語です。なんというか、長い目で見て原作のエピソードをすべてアニメ化するくらいの覚悟がないと、ファンを満足させるのは難しいんじゃないかなぁと思うんですよねぇ。原作は物語の王道を行っていて、そこに魅力的なキャラクターを配置しているので。
うまくやったかどうかはともかくとして『ハヤテのごとく!』の場合は『とらぶる』同様に人気キャラクターを初期から投入しました。原作ファンとしてはとても違和感を抱き、それを受けて「アニメは原作とは別の方向性にならざるを得ないな」と感じたのは事実です。
おそらく『とらぶる』のファンも同じような感慨を受けたのではないでしょうか?
既に読んだ4巻までの話でも、アニメ化された時原作のエピソードではまだ出てきていないキャラクターが配置されていたり、4巻のトラブル 30「女は淑やかに」では登場人物を追加し、さらには話をめいっぱい膨らませて物語の終了フラグを立ててしまったりしています。
原作を読んだ上でアニメでこの話を見るとファンとしてはかなり辛いのではないかなと想像します。


ところが、私は原作を読まずにアニメを見てみた。すると、別に違和感ないんですよ。時々「必要なの?」って思うキャラクターが出てきたりするってのはあるけれど流してしまおうと思えば流せるレベルです。


そして、実際私はアニメを入り口に原作に引き込まれました。恐らく面白いのだろうなぁと想像して読み始めました。そして、それは今のところ裏切られてはいません。






ここから漫画本編の感想です。
この漫画、面白いんだなぁ。もろにツボに入ります。ああ、俺ってこういうラブコメを読んで育って、こういう漫画が好きなんだなぁと思いましたね。しみじみと。


上でも書きましたが、この漫画の基本設定は『うる星やつら』と非常によく似ている。宇宙から可愛い女の子が降ってくる、主人公が別の女の子に告白しようとしていたのをその子に(意図的に?)横取りされる、主人公は宇宙から降ってきた女の子だけをある意味特別扱い、つまり恋愛の対象となる女性とは認識していなかったりするけれど、時々はっとすることがあってその積み重ねで関係が徐々に変わっていく……。
むろん違うところもありますね。一番違うところはギャグの破壊力です。『うる星やつら』は本来ラブコメというよりギャグ漫画です。暴力的なギャグが多数配置されています。『とらぶる』にもギャグはありますが、それほど破壊的ではないです。ギャグというよりはコメディですね。そういう点での構成が似ている『ハヤテのごとく!』よりもギャグはほのぼのしている。
『とらぶる』の場合はおそらくは三角関係を主軸としようという強い意志が感じられます。そこに、もしその方向性に人気が出ればバトル展開を絡め、さらにはお色気シーンを使って、という考え方なのではないでしょうか。
その点については4巻のP46にも作者によるコメントがあります。それをそのまますべて信用しているわけではないのですが、嫌いなタイプってのは「諸星あたる」かなぁとか想像して楽しめますね(笑)。


この漫画も主人公一人、ヒロイン二人という構成になっています。「も」っていうのは『ハヤテのごとく!』と比べてって話ですね。書かなきゃわからないよね。すいません。
おわかりかと思いますが、ラブコメ面から見ると同じキャラクター配置なのに『とらぶる』と『ハヤテのごとく!』は全然印象が違います。それは、『とらぶる』では、物語が始まった当初からララと西連寺春菜がきちんとラブコメのヒロインとして振る舞っているのに、『ハヤテのごとく!』では三千院ナギマリアさんは未だに自ら「メインヒロイン」とわざわざ名乗るというネタが成立するくらいヒロインらしく振る舞っていません。
どちらがよりラブコメとして興味を惹くのか?答えは明らかです。『とらぶる』ですね。『ハヤテのごとく!』だって、西沢歩桂ヒナギクがヒロインだったらラブコメしていないとは言えないですがその話はたまーにしか描かれませんからねぇ。たまーにだから余計に破壊力が有るのですが……。


前に書いた記事でも触れましたが、春菜ちゃんっていうヒロインは面白いですね。アニメでも面白かったけれど原作読んだらアニメ以上に魅力的です。
アニメの方では最後まで振り回されていて、結局はサブヒロイン的な役回りを与えられていましたが、原作では4巻まで読んだ段階でもちゃんとメインヒロインしています。ただ、ちょっと危惧すべきは、2巻ラストのトラブル16「運命の肝試し」で『うる星やつら』の三宅しのぶ的属性を与えられていることです。この先ネタキャラの一人にならなきゃいいけれど……と思いましたがどうなっているのでしょうか?
この作品世界を支配しているのはララだと思いますが、この物語の終了の鍵を握っているのは春菜じゃないかな?おそらく、彼女の「内気属性」が変化した時、この作品世界は変わる。それがもしかするといわゆる終了フラグになるのかもしれません。春菜がはっきりと意思表示をするとリトは選択をせざるをえない状況になり、そこで選択をした時点でこの漫画はエンディングを迎えるのではないか。そう想像しています。




まだ書き足りない事もあるような気がしていますが、今日はここで終わりにします。すでに8巻まで入手済みです。次回は5巻から8巻の感想になると思われます。
にしても、このサイトで『とらぶる』の感想を書いてどのくらいの人が読みに来るのだろうか???でも、それを考えたら何も書けないので考えたら負けですねぇ。