読書感想文 園池公毅著『光合成とはなにか』謎の微生物「ハテナ」

ブルーバックス2連発です。

光合成とはなにか―生命システムを支える力 (ブルーバックス)

光合成とはなにか―生命システムを支える力 (ブルーバックス)

この本、見た瞬間に買ったんですよねぇ。おもしろい臭いがした。そして実際すっごくおもしろかった。でも時間かかったなぁ。他の本ヨミながらだったからなぁ。
光合成なんて小学生でも知っているわけですよ。俺も習った覚えがあります。だからそのメカニズムなんてとっくの昔にすべて解明されているとか思っちゃうんですよねぇ。
ところが、結論から言うと、わかっていない。俺が好んで使う「謎が謎を呼びますます謎は深まるばかり」とまでは行かないけれど、完全解明には至っていないということです。ちなみにこの本が出版されたのは今年の8月なので今でもその状況は変わっていないと思われますね。


このサイトの読者にはマンガに詳しい人が多いと思うので聞いてみますが、『11人いる!』って読んだこと有ります??私無いんですよ。そのマンガに植物と共生する人間が出てくるらしくて、光合成に依存する動物が存在する可能性について触れています。
そもそも俺は光合成について誤解していました。光合成って二酸化炭素(炭酸ガス)と水からグルコースを合成する反応かと思っていました。違うんですね。光合成ではプロトンを作ってATPを合成する準備をしているんだって。そこで産み出されたATPのエネルギーを使って最終的には二酸化炭素を固定してでんぷんなりブドウ糖を合成しているんだって。そんな基本的なところも知らなかった俺……。
余談ですが、植物も動物もATPというエネルギーが取り出しやすい化学物質を仲立ちにして生きていくのに必要なエネルギーを全体に行き渡らせているようですが、動物の場合は解糖系とクエン酸回路というのがATP合成で重要な役割を果たしているらしいです。
でね、前になんかで読んで突っ込もうと思って忘れていた話があります。クエン酸は体に良いってのをそのクエン酸回路を引き合いに出して説明してたんですよねぇ。それって違うんじゃねーかな?と俺は思うのですよ。読みかじりの知識では、クエン酸回路はグルコースを分解する過程でクエン酸が合成されるのでその名を持っているだけで、クエン酸をスタートにしているわけではないです。クエン酸が横入りしたら寄り効率が上がるとかそういう話は見た覚えがありませんねぇ。そもそも、消化の最中に分解されちゃったりするんじゃないか?コラーゲンとかと一緒でさぁ。


まぁいいや。


話を戻すと、生き物は解糖系ってのとクエン酸回路、そして光合成でエネルギーを得ていると。確かクエン酸回路ってのが酸素呼吸が必要な反応なんですよね。だからその回路は植物も持っている。動物の場合は原則捕食をしてその反応の原材料を得ていますが、植物の場合は自前で光のエネルギーを使ってその反応を回すことができるということですね。
では、その反応で動物がその体を維持できるのかというと……。無理らしいです。植物が動けない理由は動くだけのエネルギーがないから、と考えることもできるらしいです。世の中うまく行かない物で……。
それを上に挙げた『11人いる!』を引き合いに出したコラムで説明していました。


次に表題にした件。まぁ、ここ、いちおうはてなダイアリーだしね(笑)。
「ハテナ」っていう微生物がいるそうです。詳細は本の記述に譲りますが、葉緑体の生い立ちを考える場合非常に興味深い生体をもっているみたいです。
うわ短いな。理解しているわけではないのでしょうがない(笑)。




分子生物学の本って雑学的に読んでも面白いので何冊か読みました。その中でもこの本はかなり面白い方です。お薦め。
生物は結局のところ、最凶の化学物質DHMOをはじめとした、毒性が強い物質を集めてできています。DHMOは別格して、それ以外に存在する最悪の猛毒は酸素なんですねぇ。ありとあらゆる物を文字通り酸化してしまう毒物、酸素。その酸素を産み出す光合成をする生物は、毒を周りにまき散らす、どう考えても害にしかならない生物だったと言えると思います。
しかし、逆にその酸素を利用する方法を見いだし、生物は進化していきました。
昨今、環境を守ろうとする気運が高まっています。しかし、それはいいのかなぁ、かえって悲惨な結果を招いちゃうんじゃないかなぁと俺は思うんですよね。あくまでも今の我々にとって都合の良いものを抜き出したのが保護すべき環境です。都合の悪い物を排除することにはそれほどためらいはありません。
たかが地球時巣くう一生物の人間がそんな取捨選択をしてしまってよいのか、取捨選択をすることによって、思うまま、気ままに生きている場合以上のしっぺ返しを食らうんじゃないか。根拠はないのですがそんなことを思っています。