読書感想文 志賀直哉著『好人物の夫婦』

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

これは、なんなんだ???やばいね。志賀直哉のファンになりそうだ(笑)。
とにかく読みやすいです。そして読むと面白い。なのに感想は書けません。あらすじを書くくらいしか思い付かない。
旦那がもともと浮気性だった夫婦のお話です。奥さんは心配で心配でしょうがないけれど、でも旦那を信じてもいる。そんな心の揺れ動きが面白いです。
で、面白いのは、この小説、主人公の旦那視点なんですよね。でね、読者はその旦那の言うことを無条件に信じるわけですよ。でも、よく考えると、それこそが作者の仕掛けた罠なのかも知れない、とも思えるの。そういう目で見るとまた違う感想を持つに至るわけだ。人のよい奥さんをうまいことだましきった旦那さんのお話という(笑)。


作者の意図がどこにあったのか。それは作者にしかわからないことかなぁと思います。とにかく、この作品も読者に想像の余地が十分に残されています。面白い小説でした。