読書感想文 武梨えり著『かんなぎ』1巻2巻

かんなぎ 1 (REX COMICS)

かんなぎ 1 (REX COMICS)

かんなぎ 2 (REX COMICS)

かんなぎ 2 (REX COMICS)

話題になっていたとは言え、紹介とかを見る限りでは私のツボに来るとは正直思っていなかったんですが、実際に読んでみたらかなり面白かった。続きも読もうと思っています。
今日の感想は制約・配慮無しに書いてみます。


この漫画、登場人物がみんな魅力的に思えました。男も女もひっくるめて。私はそういう面の敷居値がわりと高いみたいなので、そういう感想を持つことはそれほど多くありません(ここにはネガティブなことをあまり書かないようにしているのでここを読んでいる人にはわからないでしょうけれどね)。


精霊像を依代にして美少女の形を持つ神、ナギと、その精霊像を造った仁の物語だろうな、とは思うのですが、2巻まで読んで話の中心が実は見えていません。

ギャグかと思ったらシリアスだった
シリアスかと思ったらギャグだった

と作者が書いてらっしゃいますが、その通りの感想を持っています。
主人公を仁と仮定すると、幼なじみのつぐみが中心となっている一種のラブコメになっているのかなぁと思いますが、ナギをヒロインとすると、主人公もヒロインも互いに相手を恋愛対象としてみていないので、それはちょっと違うのかなと……。少なくともどちらかが相手を恋愛対象としてみていないとラブコメは成立しないでしょうから。
ナギ視点で見ると、対ざんげちゃんのバトルが主軸と見ることもできます。仁と協力してざんげちゃんの憑依を解くまでの物語、っていう可能性はありますね。その結果、あるいはその過程で仁やつぐみ、さらには他の人たちが成長していくみたいな展開かも知れません。




話としては、異世界から女の子がやってきて主人公になついてひと騒動という、こういっちゃなんですがテンプレート通りの始まり方をしています。『うる星やつら』とか『ToLoveる』と基本的には変わらない。ヒロインナギの立ち位置だけを見ると、最近読んだ中では『狼と香辛料』のホロが一番近いですね。演技派ヒロイン。どこまで計算でどこまで天然なのかがわからないけれどとにかく可愛いヒロインです(笑)。
神としての力を維持するために人気取りをしなければならないっていうのがまた面白い設定です。ナギもざんげちゃんも人気を得るために縁起をする、媚びる、ってのを自然に描くことができます。憑依された白亜には迷惑な話ですが……。白亜はどの程度ざんげちゃんがやっていることを把握しているのだろうか??この先その話出てくるのかなぁ。


しっかし、日本の作品らしく、『神』に対する考え方が自由ですよねぇ。ある宗教が国を支えているようなところでは発表できないだろうし、そもそもこの作品で描かれているような考え方を持つ人はいないような気がします。そういう立場になったことがないのであくまでも想像の世界ですけれどね。極めて日本的な作品なんじゃないかなぁと思います。


結局女性キャラにばっかり触れていますが、特に美術部の男キャラが面白い。彼らだけで話を作ってもいけるんじゃないかなと思うくらい面白いです。それが、こういう言い方するのはよくないですが、他のこの手の漫画とは一線を画しているところのように思えました。「他のこの手の漫画」の中には『ハヤテのごとく!』も含まれます……




1巻2巻を読んだ限りでもいろいろと伏線は張ってありますねぇ。仁とつぐみとの間にかつてなにかあったのではないか、とか、最近騒動になったらしい話もここで示唆されているんじゃねーの、とか。実態は美少女でも実は古くから生きているってのは上に挙げたホロもそうだし、『神のみぞ知るセカイ』のエルシィやらハクアやらもそうですが、想像の枠をはめることがなかなか難しいです。最近の若者はそんな風には感じないのかも知れませんけれどねぇ。


とにかく、面白かったので続きを読むのが楽しみです。年の瀬に当たりを引いた。とってもついてます。