ハヤテのごとく!233話「Dearest」感想 再会……見知らぬ思い人……
個人的なイメージなのですが、『ハヤテのごとく!』っていう漫画を色で表現すると「ピンク」とか「オレンジ」って感じなんですよね。
だから、意表をつかれました。
青主体の巻頭カラーでハヤテとアテネが10年の時を超えて、ついに再会しました。
- 作者: 畑健二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: コミック
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今週はいつものスタイルを捨てます。233話自体が過去編同様『ハヤテのごとく!』らしくない登場人物が絞り込まれたお話ですしね。3人しか出てこない話ですからねぇ。巻頭カラーなのに直球勝負とはね。
とにかく、この話はこの人に尽きるでしょう。
アーたんこと天王州アテネです。
アテネはギャップ萌えの対象になるんでしょうねぇ。強烈です。ちょっと前に流行って今ではそういうこと言う人が少なくなったのでおっさんでも安心して使えるようになった「ツンデレ」っていう表現をするのがはばかられるくらい強烈なギャップです。
しかも、だ。彼女の場合、現状のギャップもあるけれど、過去とのギャップもあるわけです。そして過去編でも決して首尾一貫した表情を見せるキャラではなかったんですよね。代表的なのは本編ではありませんが18巻の表紙と裏表紙ですね。あのギャップにはやられた(笑)。
そして今週。大人になり美しく成長した「アーたん」はハヤテに対して「どこの誰だか知らない」と言い切ります。ハヤテは言うべき言葉を失ってしまいます。
しかし……。一人になったアテネは泣き出しそうな顔でその名を呼びます。「ハヤテ」と……。
冷静に見るとアテネのキャラはヒナギクさんとかぶっていますね。好きな人がいる。でも、素直になれない。でも、ヒナギクさんはハヤテに自分の思いを伝えたいと願っているけれど空まわっている感じです。それに対してアテネはハヤテのことを忘れられないが故に忘れたいと願っているという印象です。
西沢さんとヒナギクさんが中心のラブコメが「陽」だとすると、アテネとナギ、つまりは背後に恋愛感情を越えた信頼関係みたいな物があるラブコメは「陰」になるのでしょうか?もちろん今までも、これからも、陰と陽の話はそれぞれ別に進むのではなく同時並行して時には絡み合って進むことになるのでしょう。
話を変えましょう。
今の私はアテネが重要なキャラであろうと推測しています。実際そうなんでしょうね。もし仮に、様々な予備知識無しに過去編からここまでの話を読んでいたらどういう印象を持つか想像をしてみました。
おそらく、私は、アテネのことを
- この物語を強制終了させるために登場した新キャラである
と認識したと思うんですよ。
もし仮に『ハヤテのごとく!』が、今みたいにトーハンランキングでデフォルト1位*1を取るような人気になっていなければ、ハヤテとナギとマリアさんの話のはずが、ハムヒナ16才ラブコメの方が人気出ちゃって、とはいえ爆発的に売れているというわけでもない。作者的にも収拾付かなくなっちゃったしそろそろやめ時?みたいな状態になっていたら、アテネという新キャラを出して今までの話をすべてリセットしてこの漫画を終わらせようとしているのではないかと推測したと思うんですよ。
このゴールデンウイークの話は、作者の畑健二郎さんにより「暫定最終回」であることが明かされています。しかし、こうやって思い返してみると、この話を「最終回」として認識できるか否かは、作者が描くのに躊躇したらしい過去編を描いたか否かによって左右されているように思えるんですよねぇ。
そして、さらに想像を巡らせると、過去編を描くことは『ハヤテのごとく!』という物語でトゥルーエンドを目指す上で絶対必要だったとおっしゃっている。ということは、もしかすると、「暫定最終回」でトゥルーエンドを迎えるのに必要な重要なフラグが立つのかも知れないなぁとも思ったのですよ。
今週の話を読んで、先が全く読めない自分がいて驚きます。ハヤテとアテネが再会することは織り込み済みでした。アテネがハヤテを拒絶する可能性だってありえるとは思っていました。しかしここまで明確な拒絶とは……。そして、その裏ではここまで明確にハヤテのことを意識しているとは……。
先ほど書いたラブコメとしての陰陽という話だけではなく、いろいろなパターンが考えられます。アテネがハヤテの前では当分の間「ツンキャラ」を守る場合、逆にすぐに「デレ」に移行する場合、その両方とも、ハヤテを含む周囲の登場人物の反応によって無数の可能性が広がります。さらに、そんなに極端な対応ではなく、アテネが普通にハヤテに接するケースだってありえますね。飛行石の問題が片づけばですけれどね。その場合だって無数のパターンがある。
ちょっと妄想してみよう。
西沢さんがアテネの前でうっかり「ハヤテ君にキスをした」とか言っちゃって、ツン状態だったはずのアテネが「ハヤテとなら子供の頃に何度も!」みたいにうっかりかえしちゃってどろどろの展開とか(笑)。逆にデレて昔みたいにハヤテにキスをねだるアテネにナギとヒナギクさんが武器を構えて襲いかかるとかね(笑)。ラブコメ面だけをとってもいくらでも展開は考えられます。おそろしいことに『ハヤテのごとく!』はラブコメ「だけ」ではないわけでして……。
いずれにしろ、おそらくはそのパターンのうちいくつかがトゥルーエンドに向かっているんだろうなぁと思います。そのうちどれを作者が選択するかは、読者の反応もあるとは思いますが根本的には物語の紙であるところの作者のみぞ知るというところでしょうか。
書き足りないことも多々あるように思えますが今日はこの辺でやめておきます。結局長くなったような気がしますね。BS読んでドラクエやってから寝ます。おやすみなさい。
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*1:20巻も取ったみたいですね。そりゃそうだと俺は勝手に思うんですけれどね(笑)