読書感想文 尾田栄一郎著『ONE PIECE』1巻〜57巻 海賊王 ゴール・D・ロジャーが残したもの

ONE PIECE 57 (ジャンプコミックス)

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と、書き始めようとは思ったものの……。ネットに限らず感想はあふれていると思うんですよね。漫画喫茶でざっと一読しただけで感想を書くのは申し訳ないのかなぁとも思います。


でも、読んでみて面白かった。すげー面白かった。そして、なぜ私が面白いと思ったのかの理由もいくつか見つかった。さらに、当たっているかどうかわからないですが、物語の最後にはこうなるんじゃないかなぁというイメージも湧きました。
例によって散漫ではありますがこれから感想を書いてみます。



RPG(ドラゴンクエスト)的な物語

特にグランドラインに入ってから感じることです。何かイベントをクリアしないと先に進めないと言うのが非常にゲーム的だなぁと思いました。そもそもグランドラインに入るところにもイベントがありますしね。
ただ、逆に、リアリティという観点ではドラゴンクエスト的なゲームが抱える問題点も持っています。ドラゴンクエストでは強い魔物が住んでいる地域にぽっと町があったりします。ゲームだという割り切りでさほど気にはならないのですがリアリティという点ではちょっと納得いかないかなぁと常々思っています。それと同様、入るのが大変なはずのグランドラインになぜこれほどまでに多くの人が存在しているのかと言うところです。これだけ多くの人がいれば、その中にはすでに財宝に到達している人がいてもおかしくはないと思ってしまうのですよ。細かく読めばどこかにその説明も書いてあるのかも知れません。そこまで細かくは読んでいないので……。

海賊船

船で冒険するという設定がこういう生かされ方をするとは……。これはすごいですね。船を動かし冒険をするためにはいろいろな能力を持つ人が必要になるのですよね。これもまたドラゴンクエスト的ですが、物語の中で仲間がどんどん増えていきます。船で冒険をするという設定があることで、その、仲間集めに必然性が生まれています。

主人公、モンキー・D・ルフィ

ルフィのキャラクターデザインがこれまた巧みだと思うんですよねぇ。ONE PIECEで描かれている架空の世界ではルフィは大人だと思われるのですが、デザインは子供っぽくなっている。そして、ルフィの仲間たちは、ルフィに比較すると大人として描かれています。一見、子供が大人を従えて大冒険をしているように見えるんですよ。大人はそれぞれに能力を持ってはいるし、時にはルフィを助けることもあります。それでも頭目はルフィ。ルフィがいるから癖の強いメンバーがまとまっているという印象が強いです。

バックグラウンド

最近の漫画はみんなそうなんですけれど、登場人物それぞれが背後に物語を抱えていますよね。この漫画の場合は、過去の物語が本編に時々影を落とすこともあるし、そもそも、主要登場人物たちがそれぞれ別の最終目的を持って行動をしている。しかし、その目的をかなえるために、そして自分の正義を貫くために、時々反目することはあるけれど、基本的には協力して事に当たっている。そして互いに仲間の価値観を認め合っている。

ゴール・D・ロジャーが残したもの

おそらく、同じような想像をしている人がたくさんいるとは思うのですけれどねぇ。
「ひとつなぎの大秘宝」ですからね。つながってなければならない。なにがつながっているんでしょうねぇ。
言葉の遊びで考えると、「ひとつなぎ=人つなぎ」で、それがすべてではないかもしれませんが、秘宝に至るまでに築き上げた人間関係っていうのも秘宝の一つなのではないかなぁと思いますがこれって日本語わからないと意味不明ですね。
隠した人がなんせ海賊王ですからねぇ。そこまでたどり着いた人は、海賊王どころか本当の王になれるのかも知れません。逆に王になる器がないとたどり着けないような仕組みになっているような気もします。
ということで、私の予想。
財宝が何であるのかはわからないけれど、ルフィはそれを手に入れることによって世界の王になる。しかし、ルフィはそれを良しとせず、また冒険に旅立って物語が終わる。そんなエンディングを想像しました。




繰り返しになりますが、面白いです。しかも、この話、長いこと続けられる構造になっている。強い敵がどんどん出てくるけれど、悪魔の実や様々な種族が共存する世界という設定によって、強さの質を変えることができるのでインフレになりづらいという面も持っている。そして何より、そういう敵に遭遇する必然性がある。最終目的地に簡単にはたどり着けないような仕組みがある(ちょっと納得できていない部分はありますが)。
何百万部も売れていると言うことなのでどんなもんかなぁと思って読んでみましたが、確かにこの作品は面白いし、売れてしかるべきだなと思いました。