読書感想文 畑健二郎著『ハヤテのごとく!』25巻 1日目 連載漫画ってなんだろう?

ハヤテのごとく! 25 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 25 (少年サンデーコミックス)




東京では発売されて3日経っているので今さら感はありますが感想を書きます。
一言で済ませるのならこうなりますね。


3つの漫画がなぜか1冊にまとまっている。



中扉

今回は週刊連載を読んでいる人にはわかりやすい絵ですね。ハヤテと同じような境遇なのにハヤテとは違う道を歩んでいるルカという女の子がどんな形でこの漫画に絡んでくるのか……。この設定だと漫画を描く仲間っていう以外にもいろいろあると思うんですよね。

本編

1話 (262話)「THE END OF THE WORLD(11)正義の味方」

どうでもいいことですが、今週の感想は何日か遅れて書いているんですよねぇ。もしかしたら何年か後に「あの短い日々が無ければ今の俺は無いのかも知れないなぁ」と思っちゃうようないろいろなことがあった時期でした。漫画の感想を日記に書くよりも大事なことだってあるんですよね。
そんな同でもいい話はともかく……


アテネが主人公の漫画なら終了フラグですよねぇ。アテネにはかわいそうなんだけれど、この場面のアテネは好きだなぁ。

2話 (263話)「THE END OF THE WORLD FINAL 微笑みを君に」

うーん。コミックスで続けて読んだら感想が変わったのですが……(笑)
続けて読むと違和感がない話ですねぇ。10年前にこんなことがあったんだぁと。
初めてそうとわかる形で描かれたハヤテ兄はアテネにとって命の恩人というか魂の恩人なんだよなぁ。そのことが物語にどんな影響を与えるのか……。
過去の自分の感想を読んで自分がビックリするとは思わなかったよ。

3話 (264話)「鐘の音は未来に響く」

アテネはハヤテのために別れを選ぼうとしている、さてそれでどうなるのか、と。アテネが主人公の漫画だとしたらクライマックス以外の何者でもないですね、この話は……。

4話 (265話)「木の芽風」

続けて読むと感想が変わるという点では265話はまさにそんな話です。単品で読むのと続けて読むのとで全然印象が違う。
描き直して見開きにした、回想の姿に戻ったハヤテとアテネのキス。この場面はなかなか破壊力あるな。この瞬間に魔法が解けてハヤテとアテネは先に進んでいくことになるって事なんだろうなぁ。10年前に止まっていた時計がやっと動き出す瞬間がこの見開きなんだろうなぁ。
アテネとハヤテは別れを選ぶことで先に進めるわけですよねぇ。切ないねぇ……。


普通なら、その先の話はまた別の話になるんですけれどこの漫画だとこのタイミングではそうはならないですねぇ。


この話の流れは、漠然と「トゥルーエンドってこんな感じなのかなぁ」と想像していた流れとそっくりなので意表をつかれましたね。この先にはどんな物語が用意されているのだろうか……

5話 (266話)「そして笑顔になる」

265話の見開きも破壊力ありますが、266話の見開きはそれ以上の破壊力だ。
なんというか、うまく言葉に出来ないのですがね、2人のヒロインが相まみえてここから物語が始まる、みたいなね。
ナギとアテネそれぞれにとってのハヤテの象徴である帽子と指輪。今のハヤテはナギのために尽くす執事ではあるし、アテネもハヤテのためにそれを認めてはいるけれど、決してハヤテの全てをナギに返したわけではないというお話。
言ってみればこの漫画のナギを主人公としたら、ラブコメ部分の基礎設定ですね。この設定があって初めて成立する話みたいに思えます。しかしそうではないわけでねぇ。


なにはともあれここでリセットです。ご愛読ありがとうございました!という感じ。


最後の2ページがなければねぇ。まぁ、それがないと本当に連載が終了したと思われてもしょうがないな。

6話 (267話)「会長の耳はロバの耳!!」

長期連載が終わって、次の連載までのつなぎで書かれた作品(笑)。
いや、面白いんだけれどね。面白いんだけれど、こうやってコミックスになるとどう対応していいかわからない。
ものすごくストレートが速いピッチャーが変わってくれたと思ったら球は遅いけれど魔球を投げるピッチャーが出てきたみたいな感じです。
空気が変わった1話。

7話 (268話)「長いシリーズも終わったし、この話から読むのもいいんじゃね?」

そして、新連載。
25巻は3本の漫画が収録されているんですよね。ハヤテのごとく!のクライマックスとつなぎの短編、そして新連載。キャラと設定は引き継いでいるけれど基本的に別の話と思っていた方がいい。そう考えないとやってられない。
しかし、新連載とは言ってもやっぱり普通ではない。扉絵に出てきたキャラが未だ本格的に登場していませんからねぇ。

8話 (269話)「若い頃の僕らはりびんぐゲームでいずみちゃんの秘密を知りショックを受けたりもした」

扉絵のナギは可愛いなぁ。
新連載はこういう流れですか。女装少年ですかそうですか。

9話 (270話)「どんな建物にもオッサンにも歴史はある」

ご都合主義と言えばご都合主義なんですが、とりあえずどんなご都合主義であっても理由を用意しなければ気が済まないのが畑健二郎さんじゃないかなぁと。
おそらくは当初からこの展開を予定していたと思うんですよね。少なくともハルさんが出てきたときには予定していたでしょう。ナギが遺産を失った後どうする買って言うことは、連載当初は決めていなかったとしてもハルさんが出てきた時点で決まっていたんでしょうね。

10話 (271話)「メイド服を着るからメイドさんなのではない。メイドとしての能力があるからメイド服を着るのだ」

いや、本当どうでもいい話だ(笑)。省略しても全く問題がない話だ(笑)。
たまーにこういう話に何か仕込まれていることがあるから気を付けないといけないですけれどね。ええ。別に気を付けなくても何の問題もありませんけれどね。

11話 (272話)「少年漫画のラブコメは風呂場で事件がよく起こる」

さらにどうでもいい話wwwww
強烈にどうでもいいwwwww
なるほど、こういう漫画なんだなぁと。
そもそも俺は271話や272話みたいな話が延々と続く漫画を求めて『ハヤテのごとく!』のコミックスを手に取ったわけでねぇ。毎週感想を書くとは思ってもみなかったんだよなぁ。コミックスでるたびにこんなに長い感想を書くとは思ってもみなかったんだよなぁ。

おまけ

アテネとマキナの話。なんだかとてもぬるいです。25巻後半部分の空気感ですね。



まとめ

登場人物とその基本設定以外はなんの共通点もない話が1冊にまとまった25巻。世間一般ではこういうのは受け入れられるのでしょうか?
過去編から流れてくる266話までの話を描くかどうか、作者はそうとう迷ったようですが、こうやってまとまった状態で読むと「そりゃ迷うよなぁ」と思いますね。全く違う漫画ですからねぇ。読者層も違うんじゃないかと。
作者の言葉を信じるなら、『ハヤテのごとく!』は唯一無二のエンディングが、あるもともと決められた日付に描くことを目標としている物語です。作者の目標は見えるのだけれど、登場人物たちの最終目標は未だに見えない、というかそれがあるのかどうかすらわからない物語です。
そして、よりわかりづらくしているのが『ハヤテのごとく!』で特徴的な「暫定最終回」というシステムです。
よく考えると、いや、俺がこんな事を言ってしまうのはいけないんですけどね、あくまでも私見ですよ、今初めて気がついたんだからね、さて、よく考えると、「暫定最終回」というシステム自体は良いのだけれど、その実装方法に失敗しているのではないかと(笑)
暫定最終回って、真の最終回に向かえなかった場合の保険ですよね、きっと。ならば、トゥルーエンドまでの道筋にそれがある必要はないんじゃないかと。途中で分岐して「暫定最終回」に向かうという設計でも問題はないんじゃないかと。
そうなると当然トゥルーエンドに向かった場合には読者は「暫定最終回」を読むことはできないんだけれど、それでも別に構わないんじゃないかと、そう思ったんですよ。
しかし、そういう合理的な設計になっていないから面白いわけでしてね。次の暫定最終回はどんな感じなんだろう?と思いを馳せることもできるわけでしてね。
合理的な物が正しいとは限らないって事なんだろうなぁ。特にこういう感性が支配する領域では。




次の26巻からはずいぶんと様子が変わるであろう『ハヤテのごとく!』。果たしてアパートにはどんな仲間が集まってくるのでしょうか?お風呂でキャッキャいう場面がたくさんになったりするんでしょうかねぇ(笑)
そして、退場したかに思えたアテネがこのぬるい世界に帰ってくるのはいつのことなんでしょうかねぇ。


週刊少年誌に連載している漫画っていったいなんなんでしょうかね?こういう、タイトルは同じでも中身は違う、それも読者に受けるから変えた、あるいは変わったのではなく、もともと変わっていく設計になっている、みたいな作品も産み出せるんですねぇ。




今日はこれでお終いです。明日は短編集より「ライフセイバーズ」の感想を書く予定です。それでようやく畑健二郎作品が捌ける。




私がこの漫画にこれほどまでこだわっている理由とその説明です。