読書感想文 鳥山明著『DRAGON BALL』 リセットの効く世界
- 作者: 鳥山明
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1985/09/10
- メディア: コミック
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誰もが知っている世界的な大ヒット作です。
嘘です。
誰もが知っているわけではありません。少なくとも俺はよく知りませんでした。作品名を知っているという意味で走っていますが、内容は断片的に目にしているだけであらすじすら知りませんでした。
漫画喫茶に何回か通っている間にようやく読み終えることができました。ドラゴンボールを実質初めて読んだ人の感想がネットが普及してからアップロードされるってのは案外珍しいのかも知れません。
バトル漫画という話は聞いていましたが実際すごいバトル漫画ですね。次から次へと強大な敵が現れる。そして敵が次の局面では協力者となる。そして寄り強大な敵に仲間とともに立ち向かっていく。俺がイメージするとおりの少年漫画的な展開です。
しかし、そういう面での感想は書きません。手元に本が有るわけではないから書けません。今日は「物語」という切り口で感想を書いてみます。
本当に知らなかったんですよ。ドラゴンボールの設定自体も知らなかった。すぐに全部そろってびっくりしました。これは面白い。誰が読んでもすぐにわかるレベルでの物語の行き着く先がすぐに達成されてしまうんですね。いつも別の漫画の感想で使う「物語の目的が見えない」状況に陥ってしまいました。
続きを読むと、その先に至る伏線が張られていることがわかるので、当初からそういう設計だったんですね。これは面白いわ。
そして、表題の件。
「ドラゴンボール」という小道具によって擬似リセットの効く世界が描かれているんですね。完全にリセットされるわけではないけれど元に戻すことができる世界。それがあるから物語の真の目的地に到達するまでの物語をうまいことドライブすることができると言う面もあるし、人気キャラ同士の激しい戦いを描くこともできる。
普通に考えると、そういうリセットの効く世界を描くと物語に必要な切なさみたいなものが味わえなくなるんですよね。しかし、この作品では、ある仕掛けによってそれもクリアしている。
それは、世代。
世代の変遷によって、読者に「時の流れ」をはっきりと意識させることができているんですよ。そして、物語が終わった後も時は流れ続けることを予感させられたのです。
一読しただけです。それも何度も細切れに読んだだけです。それだけで感想を書いてしまったのはもったいないのかも知れません。
しばらく時間をおいて再読すると、初めて読んだときとまた違った感想を持てそうな気がするんですね。
不思議な漫画です。