読書感想文 太田幸夫著『鉄道による貨物輸送の変遷−操車場配線回顧−』絶対買うべき本

鉄道による貨物輸送の変遷―操車場配線回顧

鉄道による貨物輸送の変遷―操車場配線回顧



もし、私と同じ趣味を持っていて、この本をまだ持っていない方がこの記事に行き当たったら、それは運命です。買うべき。絶対買うべき。
だまされたと思って、などとは言わない。むしろ親切心で言っているのです(笑)。買うべきです。買わないと後悔します。


おそらく未来永劫こういう資料が、まとまった形で、かつ、この値段で手にはいることは無いと思います。値段見てびっくりしたもん。想定の半分以下だったから。


アマゾンにリンクを貼りましたが、東京近辺に住んでいる人なら神田神保町書泉グランデ6Fで買えます。平積みされていて一番上にサンプルが展示してあります。同じような趣味であってもこういう趣味は微妙に方向性が違うはずなので、中身を見てから買った方が安心できると思います。他にも売っている本屋はあるかもしれませんが私は知らないです。




とにかく、ものすごい本なんですよ。著者の執念を感じると言ったら言い過ぎかな?よくぞここまで集めたなと思います。
本編では「国鉄」による貨物輸送の変遷が綴られています。その文章もまた読むだけで楽しくなってしまいます。冒頭の写真を見てから読んだせいか、貨物列車が日本全国津々浦々まで走り回っていた姿が目に浮かんでしまいました。
そして、巻末の付図。これが凄い。巻末と言ってもこの本の半分くらいを占めている巻末です。
時代はまちまちですが、日本国鉄に存在した操車場や貨物駅の配線略図がこれでもかというくらい納められています。もしかしたら操車場は全て網羅されているんじゃないかな?
そもそも、貨物の操車場のことってあんまり情報がないってのもあってよく知らないんですよ。今はJRが直行輸送になったから原則無くなっちゃったし。この本の配線略図には事細かに線路の使い道が記述されているのですが意味がわからない言葉も多いです。それはそれでそれがどういう意味なのかを探りながら読む楽しみがあります。


鉄道配線マニア、鉄道模型で貨物操車場を再現したいという夢を持っている人、鉄道貨物輸送が好きで好きでたまらない人、そういう人はこの本を買わないでいると、入手困難になってからものすごく悔しい思いをするはずです。
まだ途中までしか読んでいません。そこまでで1カ所、私がわかるレベルで「おや?」と思うところがありました。湘南貨物駅と西湘貨物駅の配線が全く同じなんですよね。本当に同じかも知れないし、もしかすると編集時のミスなのかも知れないですが、原典となる資料に当たるのが大変なのですぐには検証できないんです。そして、そういうミスが、もし仮に他にもあったとしても、失われた貨物駅や操車場の配線図がこれだけまとまった形で存在することの価値には全く揺らぎがないと思えるのですよ。

著者からすると、私みたいな純粋な趣味でこの本を手に取る人がどうみえるのかはわかりません。しかし、私から著者を見ると神に見えます(笑)。需要はそれほど多くないと思われるにもかかわらず、これだけの資料を、税別2500円という手に入りやすい価格で提供して下さった、(おそらくは赤字だと思うんですよねぇ……)著者にはこの場を借りてこころより感謝を捧げます。




参考

巻末付図目次(抜粋)

北海道地区

などなど

東北地区

などなど

新潟地区
関東地区

などなど

関西地区

などなど

中国地区
  • 東広島操車場
  • 周防冨田駅
  • 幡生駅