ラブコメヒロインの3類型 降ってきたヒロイン、継続ヒロイン、遅れて来たヒロイン

この日記の記事でたぶん一番たくさんのタグをつけてみました。
たぶんこれは前に書いた事とかぶってないと思うんですよね。たぶんなんだけど……探してもみつからなかったので。


私が今まで読んだラブコメ要素がある作品に出てくるヒロインの多くがこの3つに分類できるかなぁと。そして、この分類に登場人物を当てはめると案外と共通点が見いだせるかなぁと。そして、逆にいろいろな作品でその類型から外れるように工夫をしているのかなぁと。


思いの外記事が長くなったので冒頭でこの記事に出てくる例をまとめて書いておきます。

とらドラ!

降ってきたヒロイン 逢坂大河
継続ヒロイン 櫛枝実乃梨
遅れて来たヒロイン 川嶋亜美


ハヤテのごとく!

降ってきたヒロイン 三千院ナギ
継続ヒロイン 天王洲アテネ
遅れて来たヒロイン 桂ヒナギク


神のみぞ知るセカイ

降ってきたヒロイン エルシィ
継続ヒロイン 鮎川天理
遅れて来たヒロイン ハクア&攻略対象


魔法先生ネギま!

降ってきたヒロイン
継続ヒロイン アーニャ
遅れて来たヒロイン


涼宮ハルヒの憂鬱

降ってきたヒロイン 涼宮ハルヒ
継続ヒロイン 佐々木
遅れて来たヒロイン


To LOVEる

降ってきたヒロイン ララ
継続ヒロイン 西連寺春菜
遅れて来たヒロイン 多数


俺の妹がこんなに可愛いわけがない

降ってきたヒロイン 高坂桐乃
継続ヒロイン 田村麻奈実
遅れて来たヒロイン 黒猫(五更瑠璃)




一番わかりやすい例が、というかこのことを思い付いた作品が『とらドラ!』です。
この作品の主要ヒロインは3人。逢坂大河は高校2年になってから主人公の目の前に現れた少女=降ってきたヒロイン、櫛枝実乃梨は物語が始まる前から主人公の憧れであった少女=継続ヒロイン、そして、途中から転校してきたのが川嶋亜美=遅れてきたヒロイン、となります。
物語が終わった時点で考えると、家庭の事情とかいろいろな障害を乗り越えて、結局の所は降ってきたヒロインである大河がメインヒロインとなりましたが、この3人はそれぞれが魅力的で、作者の考え次第ではどうにでも転がせましたね。
この作品では、実乃梨と大河が親友であり、大河と高須竜児の間は恋愛感情をすっとばして家族愛的な感情を持ってしまうということで話がすぐに終わらないようになっています。
遅れて来た亜美の言葉はなかなか心打たれるものがありました。もう少し早く仲間に入っていれば北村を含めた主要登場人物5人の関係もまた別の物になっていたのかも知れませんけれど、それが幸せだったのかはわかりませんね。

続いての例はこの日記なのでこれです(笑)。
降ってきたヒロインは今のところ三千院ナギですね。今のところと書いたのはもう一人降ってきているのでねぇ。未だにマリアさんの位置づけはわかりませんから。もともと主人公のハヤテと関係を持っていた継続ヒロインは天王洲アテネでしょう。西沢歩も関係を持ってはいましたがヒロインというほどではなく……。西沢さんは異質な感じ。分類不能かも。そして、遅れてきたヒロインはもちろん桂ヒナギクアテネも漫画での登場は遅れてきていますけど、物語が始まる前に関係を結んでいたのでこういう分類をすると別の類型にあてはまります。
この作品は未だ物語の中盤(かな?)にさしかかっているところなので、あくまでも、現状は、ということになりますが、私にはこの3人は3すくみの状態になっているように思えます。
ナギにとっては完全無欠に見えるヒナギクがうらやましくてしょうがない。ヒナギクにとっては、ハヤテが「好き」と公言したアテネに負けたという意識がある。そして、アテネにとっては今のハヤテにとって一番大事なのはナギであって自分ではないという思いがある。
他の人間関係でも、たとえばナギとヒナギクと西沢さんでも3すくみになっていますが、この3人でもこうなっているんですね。記事書きながら気づきました(笑)。
この作品の場合は、『とらドラ!』同様、疑似家族愛みたいな壁もありますが、年齢というもっと大きな壁も用意されています。ハヤテを読んだ当初、他の漫画はほとんど読んでなかったのでこの設定にはちょっとびっくりしたのですが、この部分は今思うと普通なのかも知れないです。
一番メインヒロインになりやすい降ってきたヒロインには通常は何らかの壁が用意されるのかもしれません。

この話だと降ってきたヒロインはエルシィですが、攻略対象ヒロインとか悪魔娘はみんな降ってきたようなものです。降るタイミングが違うので遅れて来たヒロインということもできます。バディとして選ばれなかったという意味でハクアが遅れてきたヒロインの最右翼と言えない事もないのかな?
継続ヒロインは簡単で、今のところ天理だけです。
桂馬とエルシィとの間の壁はまぁ種族の壁かなぁと(笑)。それとこれまでの2作品同様、疑似家族愛みたいな壁もある。特にアニメのエルシィは可愛いんだけれどどうしてもガチな恋愛パートをかき回す存在になるとは思えないんですよね。この先どうなるかわからないですけどね。あまりにもゲーム的な恋愛のサポート役に徹しすぎているせいですかねぇ。
現時点ではハクアと天理(の気持ちを代弁するディアナ)のやりとりが一番ラブコメ的ですね。


だんだん疲れてきました。これ例をたくさん挙げる事に意味があるんだろうかと思ったら負け。

この作品の場合、むしろ主人公が降ってきた感じなんだよな。強いて言うならば、なかなか出てこなかったアーニャが継続ヒロインですかねぇ。読み返したわけではなく思い返しただけなので違っていたら申し訳ないけれど、案外とこの作品はガチでラブコメ展開ってないんだよな。バトル漫画ってあんまり読んだことが無いので想像ですが、この漫画はバトル漫画として考えた方が類型に当てはめやすいのかも知れません。

降ってきたヒロインはハルヒでいいとして、佐々木をどっちに分類するかですが、伏線とかをみるとデザインとしては継続ヒロインかなと。とすると、遅れてきたヒロインの類型キャラは未だに出てきてないんじゃないか?その両方の役目を果たしたのが佐々木なのかなぁ。
降ってきたヒロインとの壁は、キョンが知りすぎたこと、かなぁ。

わかりやすく降ってきたララと、わかりやすく主人公が片思いしていた春菜は鉄板。遅れてきたヒロインは多数だけれど、この作品も案外とコテコテのラブコメ展開が思い出せない。
降ってきたヒロインとの壁は種族の壁と心理面と春菜への思いか。

あえて分類をするのなら、桐乃が降ってきたヒロインで麻奈実が継続ヒロイン、黒猫は遅れてきたヒロインというところでしょうか?
主人公と桐乃が「再会」したタイミングと、主人公と黒猫が出会ったタイミングはほとんど同時期なんですけれど、その後それまでの積み重ねから差が生まれたのかなぁ。もしかすると、遅れてきたヒロインは「黒猫」ではなく「五更瑠璃」と言った方がいいのかもしれない。
主人公と降ってきたヒロインとの壁は、擬似ではなく本物の家族であると言う事。しかしその壁は絆でもあるというところがこの話をややこしくしています。主人公とメインヒロインとの関係は、『ハヤテのごとく!』に似ていて、もしかしたらこの2つの作品のファンはかなりかぶっているかもしれません。ハヤテとナギの年齢が近かったらあれほど真剣にハヤテはナギを守るために近くにいようとするのかなぁと。降ってきたヒロインと遅れてきたヒロインとの関係もよく考えると似ていますね。遅れてきたのはあくまでも主人公視点からであって、それ以前に2人の関係は構築されていて、それがまたやっかいになるんですよね。
実際に出会ったタイミングと物語のヒロインになるタイミングがずれるという手法は応用範囲が広いような気がします。




こうやってみてみると、なーんか一番割を食うポジションになるのは「継続ヒロイン」なのかなぁと思いますね。物語を素直に読むと、よくわからないけど妙に主人公になれなれしい邪魔者と見られがちになるのかも。特に、物語の構成の都合で途中から出てきた場合にそうなることが多いのかなぁと想像します。物語の展開でも、人気面でも故無き不遇にさらされることが多いかも。
物語の中では割を食う事も多いけれど、人気が出ることも多いのは遅れてきたヒロインでしょうね。主人公とメインヒロインとの関係がある程度でき上がってしまった所で出てきて、思うに任せない状況に追い込まれてしまったり、物語の進行上悪役的なポジションを与えられてしまうことが多いように思えます。そのわりに、途中から出てくる重要キャラなので、漫画やライトノベルの場合よいビジュアルが与えられる確率も高いから人気もでやすいし、なにより物語に入り込みたいのに入れないというもどかしさが感情移入しやすいのかなぁと。




なんせ、読んだ事がある作品だけで分類してみたので、例外はある、というか、この記事で例示した物がむしろ例外って可能性はあるんですが、他の作品ではどうなのでしょうか?
特に女の子が主人公で男の子がたくさん出てくる作品(そんなのあるのか?)ではどうなのかが気になりますね。