読書感想文 宮部みゆき著『ステップファザー・ステップ』

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)



パクリなキャッチフレーズをつけるとしたら、宮部みゆきの優しい世界、といったところでしょうか?




かわいらしいけれど小憎らしくもある双子の男の子と、プロの泥棒をやっている主人公、そして男気があって彼らなりの筋を通す犯罪者集団とのはなしです。
全編を通してコミカルで明るい話ではありますが、描かれている内容は重いんですよね、これがまた。さすが宮部みゆき……。
犯罪者が主人公というとピカレスクロマンみたいな感じに成子とが多いですが、この作品の場合はそうはなっていないですね。泥棒と言うよりも探偵になっているんですよねぇ。ただ、非合法の方法で問題を解決するというのが面白いところ。


読み終えると、どうにも食い足りないんですよね。でもたぶんそれがいいんですよね。これはこれでこういう完結なんでしょう。
創造したキャラクターを大事にするって言う方向性もあるでしょうが、食い足りない所で原点の創作をやめる事によって、読者が想像の翼を広げる楽しみを残すというのも楽しいものですねぇ。