読書感想文 逢空万太著『這いよれ! ニャル子さん』

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

話題になっているみたいなので買って読んでみました。
まだ1巻しか読んでません。




話題になっている、ってことを知ってるって事はアニメも見たって事です。アニメでのプロモーションに釣られた典型的なにわか客ですな。俺にとってはアニメもライトノベルも漫画も全部にわかなんで別に目新しい話ではないですが。
基本設定は宇宙からやってきた押しかけ女房テンプレート。時代関係なく受け入れられる設定なんでしょうねぇ。もちろんそれだけでは差別化できないので厳しいでしょうけど。
あまり最近見ないな、と思ったのは、もちろん、俺が読んだり見たりしている中で、っていう意味なのでたくさんあんのかもしれないけどね、男(主人公?)が女(ヒロイン?)につらくあたるってとこかな?いや、見ないってわけじゃないな、基本的にはメインとなる男と女の間には何らかの壁があって、それが無くなると物語が終わっちゃうからなぁ、なんというか、それが度を越しているのは久しぶりかなぁと思った。
八坂真尋のニャル子への対応は、漫画的な表現って事を織り込んでもちょっと度を越している。そういう反応をしたくなる背景があるとはいえ、一応仮にも自分を助けてくれた人に対してこれはないだろう、と思う。
よくよく考えてみると、男が酷い目に遭う作品はたくさんあるし、読んでもあんまり気にならないけれど、男が女の子に酷い事をする作品はあんまり読んでないしちょっと気になる表現だなぁと思うんだなぁ。これは単なる好みの問題なのか、性差による本能的ななにかなのか……。
この作品の場合は宇宙から来た女の子が地球の男にベタ惚れで、酷い目に遭わされても守り続けるっていう設定ではあるけれど、決して健気なだけではなく、裏ではあざとい事を考えていたりなかなか一筋縄ではいかない登場人物になっているのは面白いですね。
上の方でハテナをつけて書いたけれど、主人公は真尋ではなくニャル子なのかなぁとも思えます。


例によって他作品を引用して感想を書くのはひかえているけれど、俺の好きなあの漫画のことを思い出さずにはいられないなぁ。ってことは好みの筋立て&設定ってことですね。






さて、ここからが本編。




本の感想を無秩序にわりとたくさん書いている割には、有名だったり後世に影響を与えたと言われたりしている作品はあんまり読んでません。
ニャルラトホテプという言葉を見たのも初めてだったし、そもそもクトゥルー神話ってなによ?と思ってGoogle先生経由でWikipedia師匠のところを訪ねました。


そう言う人、多いんじゃないかな?


そして、それこそが作者のやりたかったことなんじゃないかな?


自分の好きな作品、あるいは作品群を、より多くの人に知ってもらいたい、そしてできれば気に入ってもらいたいという欲望を持っている人は多いと思います。おれもそう言う意図でここに感想をアップロードしたこともあります。
しかし、感想という地味なメディアではその目論見を達成する事は難しい。もちろん成果は0ではない(と思いたい)けれど、難しい。
そこで美少女化です。今の時代、自分の好きな世界観を擬人化ならぬ美少女化すると話題になってくれることがある。小説というメディアでそれをやるにはかなりの力量が必要だけれど、それを成功させる人だっています。
この作品はその成功例の一つになっていますね。
全く興味を持ってなかったというか知りもしなかったし知る機会も無かった人が、存在を知り、ちょっとその世界に触れてみようかと思うきっかけになる作品になれば、作者の狙いは成功したと言えるのでしょう。


この小説を読むと、クトゥルー神話への愛を感じます。
作者はその、想像するだにまがまがしくもファンタジックな、あくまでも想像なんですけれど、世界を、本当に愛しているんだなぁと。






あんまり話題になっている本には手を出さないのですが、これは読んでみようと思った理由は、ネットでアニメをみたからなんですよねぇ。アニメの力、というかニャル子の演技が面白くてさぁ。もしかすると小説読んじゃうとイメージがしぼむかなぁと思うくらいだった。
アニメは苦手ですが、ツボにはまることもあるんだなぁと改めて思いました。
2巻以降も原作を読んでみます。