読書感想文 米澤穂信著『氷菓』

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)



読んでいてすごく懐かしい気分になりました。




推理小説が好きになったきっかけは、シャーロックホームズの冒険であることには間違えないのですが、それを読む前にこういうのを読んだことがあるはず。題名とか筋立てとか思い出せないけど。
ひとくくりにしてしまうと「ジュブナイルミステリー」とでもいいましょうか?学園の中で発生したちょっとした謎を探偵が解決するという筋立ての話です。
もしかすると、そう言うのを読んで推理小説に興味を持った所で、海外の古典を読んでやられちゃったのかもしれないなぁ。




推理小説って、「日常」とは相性が悪いんじゃないかなと思うんですよ。作品のモチーフとなるのは「事件」じゃないですか。それも、現代の日本の社会に置いては多くの人が一生接する事がない殺人事件がモチーフになる事が多いじゃないですか。ある程度読者の興味を惹く謎を用意するためには、その謎が生まれる必然性とその謎を解決しなければいけない必然性ないとリアリティが無くなってしまいます。リアリティを産み出すために、全くリアリティのない非日常的な状況をモチーフとするという矛盾が推理小説には内包されているのかなと思います。


そう考えると、学園を舞台としてちょっとした謎を解決していく筋立てって言うのは、推理小説としては成立しづらいんだろうなぁと思いますね。
実際『氷菓』を読んでも、あまり推理小説を読んでいるという気分にはならなかったです。探偵の1人称っていう手法にもよるものなのでしょうけれど。


この作品はシリーズ物ということなので、続きを読んでみようと思っています。