七巻感想三日目 一話〜三話

ハヤテのごとく! 7 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 7 (少年サンデーコミックス)

おそらく十巻までの間では最良の一冊になるであろう七巻。その中でもこの一話から三話は語り尽くせません。
そんな語り尽くせない物をあえて語り尽くしてみましょう!

第六十四話(七巻一話)「マリアさんのハチミツ授業・毒入り」

リアルタイムに読んだときの感想
ハヤテのごとく!中盤の始まりはのんびりとしているなと思った第64話
ハヤテのごとく! ハヤテのごとく! 違和感でググるとトップ表示です!


この話は、ハヤテのごとく!を長編の物語として考えるとき良い例題になると思います。


普通に読めばマリアさんメインのお話です。前回の暫定最終回を受けてまったりとしたお話。俺的にはここからこの漫画は中盤に入ったことになっています。長い中盤ですが。
しかーし、この話の最後にはどんでん返しがありました。最後の一コマです。前に書いた感想を引用しましょうか。

こういうのが「違和感」なんです。おかしいんだよ。浮いてるんだよ。なんでここでこういう場面が描かれるのかがわからんのだよ。必要性が見あたらないんだよ。面白くもないんだよ。

読み返してみても相変わらずです。
次週につながる雪景色と顔を赤らめて怒るマリアさん。このコマがラストでも全然問題ない、っていうかそっちの方がきれい。
ナギちゃんを書くにしても「巨大ロボットが〜」とうなされるとか「ハヤテ〜」と夢の中で言っているのならまだわかる。
「よいのだ〜」
ですよ。なにが「よい」んだ!!寝言言わせるにしてももっと面白いこと言わせなきゃ。漫画なんだから。
この作品のことを、ヲタ向けのぬるいパロディ漫画と評価するか、なにかあると評価するかの分かれ目は、こういう不自然な描写に気づいて、そこで何かを感じるかどうかってところだと思いますね。


俺がはまった時点で出版されていた三巻まででも、第九話(一巻九話)と第十九話(二巻十話)でめちゃめちゃ違和感を感じる言葉がありましたね。それが何かを考えてはまった。


最近読んだ魔法先生ネギま!にも同様に違和感を感じるところがありました。でも質が全く違います。
ネギまの方は「ちょっっ、そりゃないだろう!」
ハヤテの方は「ちょっっ、そりゃないだろう!」
おなじじゃん。
というくだらない小ネタを書いていると回線越しにどつかれそうなので正直に書きます。
ネギま!
「ちょっっ、(確かに少年漫画だけどそういうべたな少年漫画的な展開にどうしてなるんだ!)そりゃないだろう!」
ハヤテ
「ちょっっ、(一応ラブコメ要素がある少年漫画なのに全てぶちこわしになっちゃうじゃん!)そりゃないだろう!」
ネギま!のどの場面の話なのかは想像してもらえると思います。この違いは両方とも萌え系であり、成長を描くという基本は同じでも、ネギま!が「魔法ファンタジー」、ハヤテが「ギャグ」という路線をもっているところにあると思うんですよね。ネギま!ではとどめを刺せないけど、ハヤテならとどめを刺せるっていう違い。
このまま書き続けていると明日の朝日が出てくるまでネギま!とハヤテの比較を書き続けそうなのでやめます。


話を戻して、この第六十四話(七巻一話)は、前回までの流れを引き継ぎつつ一話完結で描かれている様に見えて、実は今後の物語の展開に影響するステイタスの確認がなされているんですよ。この時点でナギちゃんはマリアさんのことを全面的に信頼している。
そもそもハヤテのごとく!という漫画には、三千院屋敷という一種の異空間で暮らす少年少女たちによる疑似家族が描かれているという面があります。マリアさんのナギちゃんに対する感情は友情でも同情でももちろん恋愛感情でもなく家族愛的な感情だと思います。これが読み切りから大きく変更されたところじゃないかな?その二人で構成されている疑似家族に異分子であるハヤテ君が紛れ込んできたわけです。ここだけ取ると「異世界放り込まれ物」に分類できるんですよね。
それはともかく、その家族愛的な感情が今後変わっていくのではないかと思います。家族愛を取るか、恋愛感情を取るか、そのあたりの葛藤も描かれてしまうんじゃないかとおそれているんですが・・・


ハヤテのごとく!という作品の恐ろしいところは、その疑似家族という設定が物語の骨格の一つにしか過ぎないと言うことです。疑似家族の中で少年少女が過ごす1102日という言い方もできるんだろうけど、それだけじゃ全然あらすじにならないと思うんですよ。
俺が書いたハリーポッターネギま!の感想文を読んで頂ければわかると思いますが、俺は物語を極限まで単純化して考えようとする傾向があります。そのあたりをid:PEH01404様から「ツリー型の物語としてとらえている」と指摘されたのですが、当たっていますね。でも、データベース型といわれているネギま!を読んでも、無理矢理単純化することに成功しました。成功したのは俺の脳内だけかもしれないけど(笑)まっ、少なくとも脳内では納得できる結果が出たんですよ。
ところがハヤテの場合はそれがでなかった。三ヶ月考えてもでなかった。たどり着いた結論は二種類(2005/11/272006/6/17)ありますが、両方ともこの作品の物語性とは関係ないところにあります。
でも、ハヤテのごとく!の物語としての骨格は、間違いなく超一級品だと思います。一級品の骨格を惜しげもなくいくつもぶちこんでいるって感じだな。だから読者としては収拾付かないんですよ。そして、もしかすると作者も収拾付かなくなっていて、その状況を楽しんでいるんじゃないかな??(笑)
さて、第六十四話に話を戻して締めます。この最後の一コマは七巻内でも一応つながってはいます。第七十四話(七巻十一話)です。ステイタスはまだ変わっていません。二週間くらいしか経ってませんからねぇ。

第六十五話(七巻二話)「それはD食2のように雪原を進むミッション」

リアルタイムに読んだときの感想
ハヤテのごとく!どうみても普通のギャグ漫画です。という第65話
ハヤテのごとく! 中盤に入って加速装置が作動ですか?


この話は、ハヤテのごとく!をギャグ漫画として考えるとき良い例題になると思います。


ちょっとやりたいことがあるんだけど、やってみてもいい??
この話と次の話で同じことをしたいんですが・・・

もし第六十五話だけを読んだらどう思うか??



なんかでかい屋敷に女の子とメイドさんがいる。
女の子は携帯ゲームしながらエコロジーについて説得力のないことを語っている。
停電!
女の子は暗いところが嫌いらしい。
ハヤテくんという男の子が修理に行くらしい。
暗くて死んでしまうと言いながらゲームをしている。
なんかわからんけど東京なのに吹雪いてる。
咲夜という女の子がでかい屋敷を訪ねてくる予定だったらしい。
と思ったら人工降雪機。その脇で女の子がたき火でぬくぬくしてる。
女の子が突っ込みを高評価。この子が咲夜という名前であることが判明
たき火の火が消え、頼りになると思ったハヤテ君が役立たずで一時間彷徨する。
幽霊神父というやつが脈絡無く突っ込みを入れる。
脈絡無く温泉がある発電所にたどり着く。
ハヤテ君は咲夜のことを女扱いしていないようだ。
咲夜がハヤテ君を蹴飛ばして温泉に突き落とす。
咲夜も自分から飛び込みハヤテ君に抱きつくが、ハヤテ君は動じず、かえって咲夜が自分から恥ずかしがってしまう。
ハヤテ君はぬれた服を着たままブレーカーを上げに行く。
屋敷のランプが消える。
ハヤテ君に何かがあったのではないかと女の子が心配する。
女の子のゲームのキャラが死んでいた。
明かりがついたがハヤテ君は力尽きてしまった。
そこを人工降雪機のところにいた咲夜とその執事が助けに来る。
ハヤテ君がくだらないことをいう。
くだらなさが許せなかった咲夜はハヤテ君をおいていくことに決める。
屋敷のランプの火がまた消える


書いててあらためて思った。良くできた一話完結のギャグ漫画です。イタリックにしたところが、俺がギャグだなと思ったところです。俺が好きなのは人工降雪機に立ち向かうハヤテ君の脇でのほほんとしている咲夜ちゃんですね。いいっすねぇ。こういう漫画は。
とはいえ、物語的にも十三才を女扱いしないハヤテ君、停電を異様に怖がるナギちゃんという設定確認があります。ギャグでも単なるギャグで終わらないところがなんとも・・・

第六十六話(七巻三話)「St.Valentine's Day SIDE:CLASSMATE"Shining☆Days"」

リアルタイムに読んだときの感想
ハヤテのごとく! なんかよくわからないけど感動した第66話
ハヤテのごとく! 切なさへの耐性


俺は、第六十五話が「漫画としての」ハヤテのごとく!最高の一話だと思っています。そして、この第六十六話は「物語としての」ハヤテのごとく!最高の一話だと思います。
もちろんこの作品はまだ始まったばかり。これからもっといい話がたくさん生み出されることでしょう。


この話は、ハヤテのごとく!を一話完結の物語として考えるとき良い例題になると思います。

もし第六十六話だけを読んだらどう思うか??



2/13
女の子が持ってきたチョコレートを男の子が味見している。
おいしいとは言わないがまずくもないらしい。
チョコレートは明日のバレンタインデー用に女の子が作った物らしい。男の子は店番をしているようだ。なぜかそばにメイドさんがいる。
女の子は明日告白をしようとしているようだ。細かいギャグ的なせりふがある。
男の子がいうには女の子はチョコレートを渡す相手に一度振られているらしい。
涙ぐむ女の子。
意中の男の子、ハヤテ君に受け取ってもらえるか思い悩む。義理チョコの屋台に目をやる。
2/14
女の子が目に隈を作って学校を休むと言っている。お嬢様らしい。マリアさんというメイドさんと男の子がお世話をしているようだ。
チョコに囲まれている女の子がいる。
女の子はヒナと呼ばれている。
子供の頃はガキ大将的な存在だったようだ。
ヒナはチョコをもらうのはうれしくはないようだが、想いのこもった物だから食べなければいけないと思っているらしい。
その話を聞いて別の女の子もヒナにチョコを渡す。涙ぐむヒナ。
チョコを渡しておきながら太るなと言う勝手な女の子が出ていったあと、ヒナはチョコを流し込むためコンビニに牛乳を買いに行く。
前日チョコの味見をしてもらっていた女の子が佇んでいる。
異様に広くて異様に大きい建物が建っている。
本命チョコと義理チョコの両方を持ってきたようだ。
中に入ろうとすると不審者として警備員らしき人々に呼び止められる。
そこに通りかかるヒナ。チョコを二つもってきた女の子の袋が落ちチョコが転がる。
それを見てヒナは警備員らしき人々を呼び止める。ヒナは警備員には桂お嬢様と呼ばれている。桂が本名であろう。この少女もお嬢様と呼ばれる立場らしい。
チョコを二つ持ってきた女の子はまた涙ぐんでいる。
事情を察した桂は女の子を警備員から解放する。
桂は女の子がチョコを二つもっていることに気づき二人にあげるつもりなのかと聞く。
女の子は「ずっと一人」と答える。
桂は女の子に相手と二人きりになれる場所を用意することを提案する。
女の子の相手は一年生の綾崎ハヤテ君という名前のようだ。
桂が微妙な表情をする。
さっきマリアさんとともにお嬢様のお世話をしていた男の子がやってくる。桂のことをヒナギクさんと呼んでいる。男の子は綾崎君、いきなり謝っているところをみると力関係はヒナギクさん>綾崎君のようだ。ヒナギクさんの表情を見るとあまり起源はよくないようである。
綾崎君はヒナギクさんに女の子が待つ部屋に案内されたようだ。女の子の名前は西沢さんというらしい。西沢さんは男の子のことをハヤテ君と呼んでいる。
ヒナギクさんは部屋の中の二人に気を遣い立ち去ろうとする。
ヒナギクさんのポケットには小さい包みが入っている。「女の子が男の子にチョコを渡すイベントか」とヒナギクさんは独り言を言う。
西沢さんが出てきてものすごい勢いで立ち去る。
ハヤテ君は西沢さんに義理チョコをもらったらしい。
西沢さんの「ずっと一人」という言葉を聞いているヒナギクさんはハヤテ君に西沢さんを追いかけろという。
橋の下で涙ぐむ西沢さん。そこにハヤテ君が追いつく。
ハヤテ君に抱きつく西沢さん。
返事はいらないからと本命チョコを渡す。
家路についていると思われるヒナギクさん。心の中で「正しい選択をした。」と繰り返している。
さっきポケットの中にあった小さな包みを開け、その中のチョコをかじる。
そのヒナギクさんに追いつく西沢さん。お礼にと義理チョコをヒナギクさんにプレゼントする。
二人の少女がお互いに自己紹介をする。
ハヤテ君はチョコを持ったまま固まっている。彼が主人公らしい。
最初の方に出てきたお嬢様はチョコがうまく作れない。ヒナギクさん、西沢さんではなく、お嬢様がヒロインらしい。


かなりはしょったんですけどね。時間かかるなぁ。毎回的確にまとめている人って凄いと思いますよ。
やっぱりこの話は読み切りとして完成されているな。この話もいつもと同じ十六ページしかないんですよね。扉絵削ったにしても読み応えとしては倍くらいある。


この話をいきなり読んでもいろいろと深読みできるんですよ。ヒナギクさんのハヤテ君に対する複雑な感情ってのは深読みしようとすれば読むことができる。「正しい選択をした…正しい選択をした…」の繰り返し。ここがね。せつないですね。


ここからは前後を読んでいる前提で語ります。
なんかねぇ。あの繰り返しは自分を納得させようとしている感じがよく出ててね。ヒナギクさんは自分が正しいと思う選択をしたんですよ。決して誰かのために身を引いたとかではない。自分自身が自分自身のためにそういう選択をしたんです。少なくとも現時点では誰にとっても正義の味方でなければならない、それが彼女のバックボーンです。
しかもこの話で描かれているのはヒナギクさんのせつなさだけではない。西沢さんのせつなさも描かれています。
ようやく会えたのに本心を吐露できなかった西沢さん。そのあと抱きついてチョコを渡したけれど返事をしなくても良いという西沢さん。
せつないっすよ。
さらに・・・
この話からは時の流れすら感じることができるんですよね。
「ずっと一人」
今一人なのではなくずっと一人なんです。ここに至るまでを考えても一人なんです。「ずっと」と言うたった三文字があるだけで、この話の裏にある時の流れを感じることができるんです。初恋の人かどうかはともかく、「ずっと」ということができるくらいの年月ハヤテ君のことを思い続けていた西沢さん。でも、いざとなると返事をもらうのが怖い西沢さん。まさに男が妄想する一途な女の子です(笑)ラムちゃんとは違う方向性ですね。せつないです。
リアルタイムの感想で書きましたが、この話を読んで、畑健二郎という漫画家描くハヤテのごとく!という物語にはたまらなくせつない結末が用意されているということが確信できました。せつなさの方向性はたぶん違います。ただ、こんなもんじゃない、うかつに人前で読めないほどのせつない話が最後に用意されているはずです。
だって、そうなるんだもん。全然説明になってないけどそうなるんですよ。そうならないんだったらもっと簡単に人気とれる方向に進んでいるはずだもん。


週刊連載を読んでいるので、この後この二人の少女がどうなるかを少し知っています。でもこの二人はヒロインではない。ヒロインはナギちゃんです。
ハヤテのごとく!という作品では、主要登場人物のほぼ全員が主人公、ヒロインになり得るだけの物語を紡ぎ出すんじゃないかなと思います。この二人もせつないだけではなく笑える話でも活躍するんじゃないでしょうか。


初めて読む人に第六十五話、第六十六話がどう見えるかというのを書いてみて意外だったのが、ナギちゃんの名前が出ていないことですね。なにか意図があったのか、たまたまなのか。たまたまだろうなぁ。きっと・・・


23時を過ぎてしまった。書き尽くした感は無いですが疲れたんでこの辺で。明日は水曜日。お休みなさい。

人気ブログランキング