第八十四話 感想二日目:複雑系とはこういうことさ

珍しく日記無しで行こうとおもったけどやっぱやめた。っていうのが冒頭の一文。
さて、昨日の日記について殿下執務室の有芝まはる殿下様より(なんか変な敬称かも。すいません)コメントをいただいていて、もしかすると誤解を招いているかなとも思うので今日もその話をメインにします。

これ以上複雑にしてどうする気だ

と書きましたけど、まぁこの複雑さはこの漫画を連載するときにはある程度固まっていたと思うんですよ。だから複雑にしたというよりも複雑だったのかっていうのが正しいんですが、サブタイトル的にキャッチーだったんでこういう表現にしました。短くないと収まらないしね。


その前にいつものように雑感。
バックステージより

「そうか、これはデビュー作の話とほとんど同じだ……」

デビュー作?ハヤテ一話目の間違い?
一話目と今回はほんとそっくりなんですよね。っていうか同じ(笑)登場人物と状況が違うだけ。
2chや他のサイト様いろいろ見てみましたが、今回のキスの持つ二面性について書いているところはなかったっぽいですね。読みが甘いのかもしれないけど。今日はそのあたりの話をもうちっと書きます。


ダブルミーニングっていう言葉があります。推理小説好きの俺からすると、叙述トリック的に使われることが多いなと思います。外国作家の推理小説を読んでいた俺が日本人作家の作品に移行する決定的なきっかけになった、あのミス・マープルの一編が代表的なダブルミーニングを使った推理小説だと思います。
漫画ではギャグに使われることが多いように思えます。「さる大金持ちが…」が「さる大金持ち」に聞こえたり。絵がないとさっぱりわからん(笑)
ハヤテの場合も探せばたぶんこの手の軽いギャグがあるんだろうな。すぐには思いつきません。
言葉の遊び的な意味で使われることが多いこの言葉ですが、他にも使えますね。もし、作品の登場人物をそれぞれ記号として考えると、記号に複数の意味を持たせる、それも立派なダブルミーニングです。そして登場人物のある行動に複数の意味を持たせる。それもですね。


ハヤテのごとく!第八十四話には二つそういう複数の意味づけを持たせるという場面があります。


一つはさっき書いたキスの話。
ワタルくんという男の子にとって「キス」というのがどのくらいの重みがある行動なのかはわからんのですが、少なくとも一度は抵抗をしている。平気で誰にでもするって訳ではなさそうなんですよね。
あっさりとキスをしてもらったシスターは禁断の恋(笑)に走ってしまいそうな勢いです。でもワタルくんがシスターにキスをしたのは、シスターにとっては邪魔者に見えるサキさんを守るためなんですよ。そう考えると、

  • 今回ワタルくんがシスターにキスをしたのは、ワタルくんにとってサキさんは何者にも代え難い存在であることを示している

ということにもなるんですよ。
「サキを助けるためならキスの一つや二つくれてやる!」
漢です(笑)


考えて見りゃ、この作品中で人間の男からキスをする場面が描かれるのは初めてですね。まだまだ子供の恋ですけどね。少年漫画誌じゃ大人の恋は無理か(笑)


もう一つは、この話で語られたってことではなく、むしろ確認されたことなんですが、シスターの持つ意味合いです。
俺はシスターが、この作品で最後に出てきたメインキャラクターだと未だに思ってます。
なぜなら彼女には大きな役割があるから。三千院「家」と明確に敵対するキャラクターは今のところ彼女だけなんですよ。
で、よく考えてみると、ハヤテのごとく!っていう作品のメインキャラクターには単機能のキャラクターがいないんじゃないかなってことに思い至ります。西沢さんと咲夜ちゃんはちょいと微妙ですがそれ以外はみんな複数の役割を持たされているんじゃないかなぁ。主人公は別として。
一応俺がメインと考えているキャラクターを列挙すると、
ハヤテ、ナギ、マリア、西沢歩ヒナギク、ワタル、伊澄、咲夜、シスター
の九人ですか。サキさんを始め入れていない登場人物もいますが主観と言うことでお許しを・・・
一人のキャラクターに複数の意味づけが行われることは多いんですが、なんか、大概は、意外な設定が隠されているってパターンだと思うんですよね。その設定が明かされた後そのキャラクターの重要度が変わるってことが多いような。でもハヤテの場合は、二つの両立できない役割を持たされていて、それぞれのキャラクターはその葛藤のなか、その都度行動を選択しているように見えるんですね。
今回シスターはハヤテ君を吊し上げましたよね。漫画的に面白い絵っていうのはあるんだけど、あの行動の裏には、まだ消え去っていない三千院家への恨みってのがあることを描きたかったんじゃないかと思っています。
シスターがワタルくんになぜか恋心を抱いてしまったって話とそれは別なんですよ。だからね、この先三千院家への恨みとワタルくんへの恋心との間での葛藤が描かれると思えてしょうがないんですよ。




2006/4/28の日記で、「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)という本の感想文を書きました。正直全く理解できなかったのでもくろみはもろくも崩れたわけですが、この本を買ったのは、ハヤテの感想文を書くのに役立つかなと思ったからです。
ハヤテのごとく!という作品は紛れもなく複雑系です。そしてこの作品の複雑さの根元は、今回触れた「ダブルミーニング」さらには「トリプルミーニング」あるいはそれ以上・・・というところにあると思います。
それは、そうなってしまっているという面もありますが、おそらくはそれを狙っている可能性の方が高いですね。今回のキスの話なんて絶対にそこまで考えて描かれています。シスターの前半の言動をみると、あそこでキスのおねだりをするのは不自然なんですよねぇ(笑)狙ってないとしたら同じようなプロットでもっと別の展開があるはずです。


作者が

今回は何と言うか
番外編みたいな回といってもいい気がします。

と書いているのになんかたくさん感想を書いてしまいました。


明日はサッカーの話が書ける気分になっているといいなぁ。なってないだろうなぁ・・・
まぁいいや
おやすみなさい。

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