16巻感想 善か悪か?
- 作者: 赤松健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/17
- メディア: コミック
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作者の赤松健さんが推理小説ファンなら、ここから着想を得ている可能性は高いと思いますが、もしそうでないのなら、ただの偶然でしょうね。
では、16巻の感想です。
同部屋2人娘、図書館3人娘、武闘派3人娘、巻き込まれたスーパーハカー、計えっと…9人の少女たちが期せずして時間を飛び越えてしまいネギとともに苦境に立たされる。ネギは捉えられるが、残った少女たちの機転で救出に成功し、学園祭最終日に戻ることができた、というのがこの巻のあらすじでしょうか。
このサイトを定期的に読んでくれている方に「ハヤテばっかえこひいきしやがって」と思われてしまうので一コマだけ16巻のポイントとなるコマを挙げましょう。といいつつ二コマだけにしてみる。
- どっちについたの?
うんうん。スナイパーの出番だねぇ。で、どっちについたの??
金で動くという設定を念押ししていたからねぇ。マガジン派の人は知っているんでしょうけど。
- なにがいいたかったの?
これもわかりやすい。夕映の言葉でネギ君は迷いなく自分の決めた道に進むことができるんだろうなぁ。これもマガジン派の人は知っているんでしょうけど。
えー、ハヤテと同じようなスタイルで書くのは無理です。とっかかりになる違和感が無いんですよ。違う言葉で言うとうまいと思う。すんなり読めちゃう。読者はね、ストーリー追って行けば済む。簡単。
俺が17巻以降のストーリーを読み切れているわけじゃないんです。しかし、読めてしまうような気がする。たぶん17巻読んでみると、自分が思っていたのとは違う展開になっているはず。それでも、「あー、たぶんこうなるのね」と勝手に思いこんでしまえる。それは、ストーリー作りが上手だからだと思います。なんというか、作者のやっていることにスリルを感じない(笑)。ベテランなんだから当たり前ですけどね。うわ、この人こんな設定持ち出しちゃって大丈夫なの?みたいなところが少ないんです。
とはいっても、ちょっとどきどき物の設定もあります。それはタイムマシン。こういう一本筋の物語でタイムマシンを持ち出すのは危険。作者がいきあたりばったりに物語を作っているんじゃないかという誤解を招きがちだし、濃い読者から矛盾をつかれがち。16巻を見る限りうまいこと使っているなぁと思いましたが17巻読むのに多少不安を感じるところではあります。
さて、表題の件。いわゆる勧善懲悪物ではなく、「悪」とされる少女にも理があるという問題が描かれています。言い方をかえると、「目的」は正しいけれど「手段」が間違えているから「悪」になっているという状況が作り出されています。
そう考えると夕映が言おうとしていることは「今は超の計画を阻むことに集中し、その後、別の『手段』で超の『目的』をかなえましょう」みたいなことだったんじゃないかなと思うのですが、実際にはどうだったのでしょうか?
なんかえらそーなことを書きつつかなり続きが気になっている俺がいる(笑)。いや、この漫画めちゃめちゃ面白いよ。
冒頭で書いたように少女たちはグループ化されています。今ネギと行動をともにしているメンバーが「今は」ネギシンパとして扱われていて、仮契約を済ませていないのは武闘派の二人だけ。
しかし、敵であるはずの超一味もネギとの交流はあり、さらに、他のグループとの交流も当然ある。隠された設定の方が目立つので今まで気づかなかったけれど、そう考えると、この漫画も作中で関係構築が進んでいくタイプの漫画かもしれない。最終形は31人or30人の少女たちが一つのグループにまとまることなのだろうか?いやいや、さすがにそれはないな。それをやると少女たちの記号性が失われるだろうから。いや、最後に失われても問題ないか。まさか記号性の喪失が描かれるんじゃないだろうな。それはそれでかなり切ないぞ。うーん。わからん。
この漫画はネギ君の成長という主軸があるので、それ以外の部分は読者の嗜好に応じていかようにも変更できそうに見えます。こういうシステムを作り上げたってのはすごいですね。
ハヤテのごとく!に比べて本当に感想が書きづらいです。すんなり読めちゃう。面白いけれど俺の読解力では突っ込みどころが見いだせない。この漫画を読むのは難しいっすよ。
最後に、いわゆる「キャラ萌え」ができない人だと言うことを告白していますが、それでも好きなキャラってのはいます。今回は、魔法先生ネギま!で一番好きな女の子キャラを挙げてみます。
佐倉愛衣です。
見た目がかわいいってのが一番。それと、彼女は基本的にやられキャラじゃないですか。子供の頃からヒーロー・ヒロインじゃなくて、やられキャラ、サブキャラを好きになることが多かったんですよね。シドロモドロとか*1。3-Aの31人の中では近衛木乃香かな?ああいうずれたキャラは好き。
らしくないことを書いたところで16巻の感想はお開きとさせて頂きます。次のネギま!の話は17巻発売の時になると思います。
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*1:R35くらい??