『核兵器の仕組み』現代人に必要な知識

核兵器のしくみ (講談社現代新書)

核兵器のしくみ (講談社現代新書)

出版社のあおりみたいな言葉になっちまいますが「現代人必読の書」っていうキャッチコピーがしっくり来る本です。
この本では、まず核がなぜ爆弾に成りうるのかというところから逆にそれをコントロールしながら利用する原子炉の話、核燃料の「燃えかす」の話、そして水素爆弾の話まで網羅しています。非常にわかりやすくて面白い本です。で、知識も無しに核について語ると恥ずかしいことを書いてしまうこともわかりました。
先日某国の核実験の際に「失敗して予想以上の爆発をしてしまわないか心配」と書いたのですが、核爆弾に限って言うとそんなことはどうもあり得ないようです。予想しうる最大の爆発をすることを狙って開発しているので、予想以上の爆発は原理的に起こりえない。うーん。恥ずかしい。
核兵器の開発史では、いかにして最小の物質で最大の効果を得るかと言うことを狙っていたようです。ようですと書いたけれど当然です。最小限のコストで最大限の人を殺したり建物を破壊したりするのが優れた兵器なのですから。


原子炉についても詳細な解説があります。特に原発事故についての記述はとても勉強になります。専門家ではない私が抜粋をすると、この本を読まずにこの日記だけを読んだ方に誤解を与えてしまう可能性があるので避けます。抜粋場所の選択だって編集なんですよね。筆者の元々の意図とは離れたところを抜粋して引用しまったらそれは筆者ではなく編集した人間の責任になってしまう。だから引用は著作権法上も認められているんじゃないかななどとふと思いました。現実には原典の筆者に責任を求めてしまう人の方が多いですけれど…。


最後の章で水爆に触れています。水爆の製造には電池でおなじみのリチウムを使っているらしいですよ。ということを書くと「リチウムは危険」などと思ってしまう人もいるかもしれませんが、リチウムに核反応を起こさせているので電池としての利用とは全く違う利用法です。


ざっとさわりだけを書きましたが、本当に面白い本です。文中には参考になるブルーバックスのタイトルも記述されているので、核物理学に雑学的な興味を持った人にはお薦めできます。


カテゴリ 読書感想文
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