マリアさんの誕生日

マリアさん
極端に謎が少ないハヤテのごとく!という漫画の中で、例外的に謎めいた設定を与えられているキャラクターです。
作者からは扱いに困られ、読者からはいじられる。そんな不遇な「メインヒロインの一人」です。


彼女が我々と同じ現実を生きていれば、今日、書類の上で19才になります。


今のところ作者が語っていることをまとめます。

  • マリアさんは17才である
  • 名字は秘密
  • メインヒロインであり決して脇役ではない
  • メイド設定は後付け

これらの材料から、マリアは今まで著された数々の物語と照らし合わせても、非常に特殊で、非常に表現するのが難しいキャラクターなのではないかと想像しています。


マリアさんのポジションを与えられている他の作品の登場人物がいないか考えてみました。最近読んだ本の中に一人「似ているかもしれない」と思える登場人物がいました。
指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』の「ゴクリ」です。物語の最初から登場しているにも関わらず、本筋には絡むことなく存在だけが示唆され、クライマックスに重要な役割が与えられている、そんな登場人物です。たまたま今夜NHKBSで放映されるので忘れなければ見てみようと思います。


しかし、マリアさんはもっと難しいです。物語の最初から登場し、物語の本筋にも積極的に絡むにも関わらず、ある瞬間から全く別の役割を果たすことになる登場人物なのです。しかも、その「変化の瞬間」は2回あると想像しています*1。一つはナギちゃんが自立をした時、もう一つは謎が開示された時です。おそらくこの書いた順番になると思います。両方が同時に起こる可能性はありますが、というか普通の物語なら同時に起こるのですが、ハヤテのごとく!の今までの傾向を見ると、別のタイミングになると予想しています。


ハヤテのごとく!という漫画が無事に成功*2した大きな要因の一つとして、マリアさんに「メイドさん」という属性を与えたことが挙げられると思います。もし彼女がメイドさんでなかったら、読者は今以上に混乱していたのではないかと推測します。メイドさんという見た目わかりやすい設定があるから安心して読めているのです。
しかし、もしかすると彼女がメイドさんでなければ、現在明かされていない設定を初期に明かしていたのかもしれません。畑健二郎さんという漫画家はそういう人だと思います。常識的には絶対隠すような設定も、惜しまずに、むしろ喜んで読者に開示します。こういう資質を持った作者はいままでもいらっしゃったんでしょうか?漫画家さんとしては、そうでない人も多いけれど別に気にするレベルの珍しさではないのでしょうか?


マリアさんじゅうななさい」
多くの人にネタにされているかわいそうなマリアさん。でも彼女は読者から愛されています。彼女の代わりになるキャラクターは、他の漫画、小説に範囲を広げて探しても見あたらないと思います。極めて特異な設定と役割を割り振られたキャラクターです。もしかすると、物語の歴史上、最も表現するのが難しいキャラなのではないかと最近思い始めてきました。
彼女は17才でなければならないのです。作者がそれにこだわっていることこそが、ハヤテのごとく!という物語を読み解く大きな鍵になっているのです。私はそう思います。


マリアさん。おめでとうございます。


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*1:と書いて思いだした。ナギちゃんのあの言葉は偶然であると思いたい。そこまで考えて作者が描いていたら怖い。でも、ありえる…。

*2:と今の時点で言ってしまっても良いと思います