短期集中連載 ぼくの大好きな首都高速道路(1) 初心者殺しの道

免許を取ってはじめて首都高速道路を走った時のことを僕は今でも覚えている。


東京、そしてその近郊に住む運転免許証を持っている人間にとって、首都高はなじみ深い道だ。首都高にさえ乗れば目的地に行ける。とりあえず首都高までたどり着けば家に帰るめどが立つ。そんな道なんだ。でも、首都高は決して甘い道ではない。むしろ初心者ドライバーにとっては地獄のような道だ。それも昔の初心者ドライバー、つまりオートマ車ではなくマニュアルトランスミッションを乗せた車が多かった時代の初心者にとっては悪魔のような道。


まずは線形。これは今でも体験できる。直線らしい直線は周辺部にごく一部有るだけ。テクニカルなコーナーのオンパレード。当然事故も多い。壁に刺さっている車を見たのは1度や2度ではない。スピンして横向いた車だってたまにみかける。
次は広さ。狭い。とにかく狭い。路肩?なにそれ??あんな狭い道をあんなスピードで車が走っているなんて信じられない。
そして、合流。初心者にとってはもちろん、ベテランのドライバーにも緊張を強いる厳しい合流。経験を積んで車線や距離感を体が覚えれば厳しい合流を避けて走ることもできるけれどそれでも嫌なものは嫌だ。四つ木から乗って向島方面に行く時は今でも集中して作業に取り組んでいる。


免許を取ってはじめて首都高速道路を走った時のことをぼくは今でも覚えている。
首都高速道路、特に環状線とその周辺部はほぼすべてが坂道でできている。そしてその坂道のほとんどが渋滞をしている。ぼくが初めて首都高を走った時、エンストをした。江戸橋ジャンクションでエンストをした。たまらなく怖かった。今なら何事もなかったかのようにエンジンをかけ直して再発進しているんだろうけれど、初心者のぼくは頭の中真っ白、パニック。しかも昔の車は今の車みたいにすんなりエンジンがかかるとは限らないんだ。たまらなく切ない経験だった。
中央環状線もレインボーブリッジも無い時代。江戸橋JCT箱崎JCTは修羅場だった。


それでも、そんなひどい目にあっても、ぼくは首都高が好きだ。