短期集中連載 ぼくの大好きな首都高速道路(2) 醜悪な美

首都高は汚い。
都心環状線とその周辺部に限った話だと、おそらくほとんどの人が同意してくれるだろう。下から見ると汚い。走ってみても汚い。そして、周囲の景観まで汚している。


ぼくが物心ついた時には首都高速道路はもうできていた。年に何度か必ず行くお寺の側に入り口があった。その入り口を歩道橋からぼーっと見ていた。なんか邪魔だなぁと思っていた。
子供心にも首都高はきれいなものには見えていなかったんだ。


東京を、あるいは日本を代表するランドマーク、日本橋。その上にも容赦なく醜い首都高は覆い被さる。そして東に目を向ければ、機能美とはほど遠いギリギリのスペースの中で何とかつないだだけの江戸橋JCTが見える。
首都高は汚い。
一の橋JCTなんか本当にむりやり道路をつなげただけだ。ただつながっていればいい、そこに美しさなんか必要ないんだ。そんな主張すら感じるほどに汚い。




首都高は美しい。
この言葉にも多くの人が同意してくれるはずだ。
子供のぼくは日本橋に覆い被さる首都高を見て、これが未来都市だと思った。江戸橋JCTをどうなっているんだろう?とずっと眺めていた。ビルの間を抜ける竹橋JCTを走って、どうやってこの道を造ったのだろうと思いをはせた。
首都高は美しい。


ギリギリで最低限の機能だけ発揮できるように作られた、一種贅肉をそぎ落としたとも言える美。そして、既存の価値観を真っ向から否定し、自分自身の存在を強烈に主張する美。


首都高は醜悪だ。そして…美しい。