筒井康隆著『ビアンカ・オーバースタディ』 無駄にエロい。でも、本当に無駄??

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我慢できずに先に読んでしまいました。さらに我慢できずにとりあえずの感想を書きます。
読みやすい小説です。同じ雑誌に収録されている他の小説も少しずつ読んでいますが、少なくとも冒頭作よりは読みやすい。
一文の長さも短くて改行が多く会話が多い。さらに表現も平易。さて、この中にどんな毒が仕込まれているのかと身構えました。


あらすじなどは他のサイトで上がっているような気がするのですが、どうしよう。
主人公は女の子。ビアンカビアンカ北町。高校生。2年生。全男子生徒の憧れの的。スーパー美少女。生物研究部員。
彼女に憧れて、物語に巻き込まれていく男の子。塩崎哲也。1年生。文芸部。内気。
ビアンカの部活の先輩。千原信忠。つてがあるらしく高価だったり最先端だったりする機材をたくさん持ってきてくれる。
ビアンカの同級生にして哲也の親分?。沼田耀子。これまたスーパー美少女。柄が悪い。可愛いのがビアンカならきれいなのは耀子ということらしい。


とりあえず今押さえておけばいい登場人物はこのくらいか。生物の先生は絡んできそうな気がするがそれはまだ先の話。

1話

エロに話を振っています。しかしねぇ。ちゃんとエロイってのが珍しくて珍しくて……。筒井作品のエロはグロいか笑えるかのどっちかが多いんですよねぇ。表現に若干のグロさはあるけれどかなりきれいなエロ。きれいなエロってのも変だけれどさ。
そんな場面を経験しつつ、哲也は幸福なのか不幸なのかよくわからない状態で物語に巻き込まれていきます。

2話

ここで耀子さん登場。ここが面白かった。みんな冷静すぎ(笑)。スルーですか?
それで、ビアンカはある許されざる実験をはじめます。さーてどうなることやら…と。

3話

信忠の秘密が明かされます。その秘密を聞いてビアンカは…。という流れではありますが、エロは忘れません(笑)。そして、ここまでは気づかなかったのですが、パロディが混ざってきます。『時をかける少女』『涼宮ハルヒの憂鬱』『姑獲鳥の夏』……。他にもあるのかも知れませんね。

まとめ

1話から3話まで書き出しが同じ。これは先日別の作品でも仕掛けていた手法ですね。この後ぶっ壊すのかあるいは最後まで通すのか…。
ここまででは何とも先が読めない話です。2話で仕掛けた実験が意味を持ってくるのか、3話でやろうとしたことが問題を引き起こすのか…。
エロシーンが多用されていますが、単にそういうシーンを書くためだけに用意しているのか、あのシーン自体に何らかの意味を持たせているのかがさっぱりわからない。私は後者を推したいのですが、後者と見せかけた前者という可能性も十分あるのですよ。
いとうのいぢ さんが描くイラストの印象も強いと思うのですが、『涼宮ハルヒシリーズ』からの影響を強く感じました。その『涼宮ハルヒの憂鬱』の基本設定は、もしかすると筒井康隆の短編『果てしなき多元宇宙』から着想を得たのかも知れません。
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ビアンカ・オーバースタディ』という小説は面白いです。面白いけれどこれがこの先どう続くのか、全く読めません。ただ、一つだけわかること。それは…。




この作品、テレビアニメ化、絶対無理……。