愛されているのにそれに気づかない女と愛されることに飢えている女 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ5!』

さて、ようやく5巻まで読み進めました。なんとなく同じ作品で5本くらい書いたらカテゴリー化しようかなぁと思っているので今回からカテゴリーにします。過去記事もあとで直そう。


今出ている本編が9巻までで、これが折り返し点みたいなので、ここまでのまとめ的な感想を書こうと思っています。むろん、この先読み進めて変わったり否定されたりすることも書くことになるはずです。

とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)

とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)



まず、5巻単体の感想を書きましょうか。難しいですが。
逢坂大河を巡って高須竜児と櫛枝実乃梨が言い争っているのを見て「大河は愛されているなぁ」と素直に思いました。おそらくは北村祐作も、そして、実は川嶋亜美も大河のことを……。
この小説は竜児の視点で描かれてはいますが、実質的な主人公は大河なんだろうなぁと思います。




さて、この小説のテーマ、それはいくつもあるとは思うのですが、その中でも根幹となるテーマは、「幸福論」だと思っているのですがいかがでしょう。
「幸福論」はこの作品に限らず、例えば『ハヤテのごとく!』でも結局はそこに行き着くような気がしているし普遍的なテーマでは有ろうと思っています。
とらドラ!』の場合は、家族とは何か?、愛と恋とはどう違うのか?っていうところをメインで描こうとしているように思えます。
5巻では、大河の家族が出てきてました。幸福な疑似家族とそうではない本当の家族との対比が出てきました。しかし、大河はその不幸な生活の原因となっている父を憎んでもいるけれど同じくらい愛してもいる。大河と竜児のカップリングはマザコンファザコンだったのかぁとなんとなく納得してしまいました。


そんな風に、家族からは本当の愛情を注がれていない大河ですが、学校では周りの人たちから深い愛情を注がれています。一読しただけなので読みお年をしているのかも知れませんが、川嶋亜美の行動が謎なんですよねぇ。大河のことを思っているとしか思えない。
亜美は恋をされることには慣れているけれど愛には飢えている女の子だろうなと思っています。それに対して大河は多くの人から愛されているにも関わらず、知ってか知らずかそれを受け止めることができない女の子。互いに反目仕合ながらも互いに憧れている様な関係ですかねぇ。




この先読み進めてこの感想がどう変わっていくのか楽しみです。