読書感想文 宮沢賢治著『どんぐりと山猫』

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この作品で感想文を書くのは俺には無理だな………。


話の流れとしては、一郎くんという男の子が山猫に呼び出されて裁判をするという話なのですがね。まぁ、どうにでも解釈できるし、いろいろと仕掛けもあるのですよ。
話の中で目立つ仕掛けは繰り返しですね。
まず山猫を探す場面で無意味とも思える繰り返しがある。さらにはだれが偉いのかと大騒ぎしているどんぐりたちの無意味な繰り返し議論とか。
おそらく源流はさらに先にあると思うのですが、この時代にもこういう表現はあったんだなぁと感慨深かったです。


エンディングは読みようによってはブラックですね。裁判で訴えを起こしていたはずの黄金のどんぐりがおみやげとして持たされるわけですから。いろいろ解釈できると思うのですが、ブラックな部分があるファンタジーとして捉えるのがいいのかなぁと俺は思いました。


さて、感想文としてはルール違反ですが、同じ作者による別の作品を絡めた話を書いてみます。
宮沢賢治自身も「偉く」なりたかったのかなぁ。と読みとることもできるんですよね。
俺でも知っている有名な『雨ニモマケズ』。その中で描かれている考え方と『どんぐりと山猫』で解決策として呈示された考え方はよく似ています。
しかし、常々書いているように、作者と作品は別物です。特に創作をする作者は創作物の中で自分の考えとは異なる考え方を呈示することだってありえます。
そのことを踏まえて考えると、この着想には深入りせず、『どんぐりと山猫』はいかようにも解釈のしようがあるファンタジーであると読んだ方がよいのかなぁと私は思います。