赤松健×畑健二郎対談(サンマガ展 図録に収録) 感想

今日の別記事で書いた「サンデー・マガジンのDNA-週刊少年漫画誌の50年-」の図録に収録されている、赤松健さんと畑健二郎さんの対談を読みました。


正直この図録を手に入れるために遠くはるばる東京を横断して武蔵小杉まで行ったようなものです(笑)。畑健二郎さんがバックステージ Vol.239

こういうのは帰ってきてから
『ああ、なんか変な事言ったのではないだろうか……』
とオロオロしてしまうのですが
だ、大丈夫だったでしょうか?

などと書いてらっしゃたので、不純な期待に心躍らせていたのですがそういう方向での期待は裏切られました……。




まず、赤松健さんの手による『魔法先生ネギま!』についてです。
こういうところに感想を書かずに自分で勝手に妄想しているだけならいいんですけれど、感想とか予想とか書いちゃっているから作者によってそれが否定された時にはちゃんと書かなきゃいけないなぁと思うんですよねぇ。
結論からいうと、私は最近の流れから『魔法先生ネギま!』はエンディングに近づきつつあると予想していたのですが、

「『ネギま!』はかなり長く続けられますよ。ネギが教えているクラスメイトの4分の1はまだ、物語が残してありますし、ネギ自身の親探しの物語はまだ終わりそうにないですから。」

ということです。この後に前後のつながり的に重要なことが書いてあるのですがあえて引用はここまで。でも、発言の意図を曲解するような引用の仕方では無いと思います。
私はね、神楽坂明日菜の出自について語られたので、「ああ、そろそろ終盤かなぁ」と思ったんですよねぇ。この発言を聞く限り40巻くらいまでは行くのかなぁ。


続いて『ハヤテのごとく!』についての赤松健さんの発言です。

ハヤテのごとく!』は過度のエッチも暴力もない。畑君の愛が全キャラクターに入っている"愛玩マンガ"だなと思いました

エッチはともかく暴力はあるけれど、ギャグ漫画的な世界なので暴力が暴力として読者に意識されづらいから過度に見えないっていう感じなのかなぁ。
この「"愛玩マンガ"」っていう表現はいいですね。作者自身が自分の創造したキャラクターを愛しているから、それぞれのキャラクターが主人公になる話と印象的なエンディングを用意できるんだろうなぁと思います。


作品とは離れて、赤松健さんが畑健二郎さんを評した言葉が出てました。

たとえばネットとの付き合い方が上手だし、アニメ化するときにもうまく関わっている。そうやって作品の展開を楽しめる能力は、今後の漫画家にとって重要な資質でしょうね

ネットとの関わりについてはコメントする立場にないので何も言えません。アニメとの関わり方を見ていると、自分の思い通りにならない出来事があってもそれはそれで楽しもうという意識が見え隠れしているように思えるんですよね。自分が構築された世界観を壊されたくないと言う意識はむろん根底にあるでしょうが、逆に壊されるとしたらどういう才能がどういう形で壊すのか興味深く見ているという面もあるのでは無かろうかと思います。


赤松健さん、畑健二郎さん、それぞれが今のサンデーマガジンで気になる作品を答えていました。
赤松健さんは大暮維人さん、畑健二郎さんは若木民喜さんです。
大暮維人さんの作品は読んだことがないので残念ながらわからないです。若木民喜さんの『神のみぞ知るセカイ』は5巻も買ってそのうちここに感想を書くと思いますので少しだけわかる。もしかするとお二人とも自分が持っている物と違う才能を気にしているんじゃ無かろうかと思うんですよね。畑健二郎さんは若木民喜さんに対して

僕と若木さんは同じ種族の人間なんですが、彼は天才なんです。

と評しています。ああ。ここはもしかすると前後のつながり書かないと誤解されるかな?気になったら原典にあたってみてくださいね。
赤松さん畑さんのお二人はストーリー指向が強いと思うんですよね。だからこそ、絵の力で何かを伝えることができる才能に憧れているのかなぁと思います。そして、もしかするとその裏返しもあるのかも。


畑健二郎さんがサンデーを読み始めたのは『うる星やつら』のラストの頃とのことです。私がサンデーを毎週読み始めたのもちょうどその頃。もちろんその時の年齢には今同様余裕で10以上の開きがあるのですが、もしかすると畑健二郎さんと私との間には漫画に対する同じような原体験があって、私が『ハヤテのごとく!』を読んだ時、まずそこに引っかかったのかもしれませんね。


対談記事の終わりに1枚のイラストがついています。エイプリルフールネタにもされていた、『魔法先生ネギま!』と『ハヤテのごとく!』のコラボレーションイラストです。
神楽坂明日菜とハヤテがデートして1杯のジュースを2本のストローで飲むというナギやハムやヒナが見たらまたまたグダグダな展開になりそうなイラスト(笑)。
余裕の表情の明日菜に対して微妙に困っているハヤテ。どうみても明日菜がおねーさんに見えるんですが、設定上はハヤテの方が2つ年上なんですよねぇ。
こんな感じの強い女の子って言うのも時代の要請かも知れませんね。