ハヤテのごとく!234話「千年経っても覚えている」感想 アテネを略してアーたん
- 作者: 畑健二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: コミック
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今週の感想もいつもとはちょっと趣向を変えて書きます。盛りだくさんではあるけれどそれほど長くはならないと思うんですけれどねぇ。どうだろう。
恥ずかしながら、うっかり感動してしまいました。なんかねぇ。すべてが作者が思い描いているシナリオ通りに進んでいるんじゃないかと錯覚、いや、錯覚じゃなくて実際そうなんだろうな、とにかくそんな感想を持ってしまいました。
今週の一コマ
11ページ目(P203)1コマ目のアテネ。15才?のアテネ。ヒナギクさんはお人形さんみたいと思ったアテネ。そういえばナギのことを日比野文がお人形さんって言ってましたよねぇ。
なんというか、強烈な絵だな。無表情ってのを絵にしたらこんな感じになるんだろうな。
普通ならこういう表情の女の子の心が溶けていって感情豊かになるという、この漫画で言うとナギみたいな感じの流れなんだろうけれど、アテネの場合は子供時代に多彩な表情を既に見せているから逆に凄みを感じる。
もう一つ、8ページ目(P200)2コマ目のアテネヒナギクさん背中合わせもよかった。アテネは背が低いんだなぁと言うことがよくわかる。同じ背が低いんでもナギとは明らかに絵が違うと思うんですよね。単に俺が既にキャラクターに思い入れを持っているだけなのかな?でも、違うと思うんだよなぁ。畑健二郎さんは年代ごとの女の子を意識して描き分けることができるように思いますね。
まとめ
冒頭にも書きましたが、不覚にも感動しました。そうか。そういうことだったのかと思いました。ヒナギクでなければならない理由があったのかと思いました。むろん話の流れの中で「こういう展開にもできるからこうしよう」と畑健二郎さんが思い付いただけの可能性もあります。でも、ここまでのこだわり方を見るとこれは予定されていた、いや、『ハヤテのごとく!』という物語が始まる前に起こっていた出来事だったと考えた方が自然なのではなかろうかと思えるんですよね。
コミックス4巻5話(36話)。
ヒナギクさんは茶色いスズメに「チャー坊」と名付けました。
コミックス15巻1話(152話)。
ヒナギクさんはタヌキに「ポコ吉」と名付けました。
ヒナギクさんはそういう人です。少なくともネーミングでは大ボケをかましてくれる人です。
そして、そのボケが、約1年前、天王州アテネの地雷を踏んでしまった。
「アテネを略してアーたん」
ヒナギクさんはそれを地雷だとは思っていません。思っていないからこそもう一つの地雷もここで踏んでしまった。
ハヤテにそのことを伝えてしまいました。
さて、ここで話はラブコメとしての『ハヤテのごとく!』に切り替わります。
今週の話で、ようやくこの漫画、正統派ラブコメの形になりましたね。主人公に思い人がいる。しかし他の、むろん嫌いではなくむしろ好きと言った方がいいような女の子たちからも恋をされている。しかし、自分が本当に好きな女の子には思いが伝わらない(と思いこんでしまう)。でも、その女の子も実は……、という展開です。
西沢さんとヒナギクさんを中心とした16才ラブコメだけみるとアテネってぴたりとはまるんですよねぇ。ところが、そこにナギを加えて考えるとどうにもこうにもうまくいかない感じなんですよ。むろんマリアさんを加えたりしたら頭の中ぐちゃぐちゃになるわけですが(笑)。
アテネは、物語としてはナギと絡みそうなのに、ラブコメとしてみるとハムヒナの方と相性がいいんですよね。今までのナギが子供でかつハヤテからは「ご主人様」として大事にされていただけだったのが、アテネはまさに「思い人」ですからねぇ。危機感が違うと思うんだよな。
アテネと真っ向勝負できるのは今のラブコメメンバーではヒナだけなのでは無かろうかと思います。スペック的な意味で。
ハムは普通、ナギに至っては子供ですからねぇ。
だからこそ、ナギとハムにはここまでの間で「キスをする」という行為が許されたのかも知れない。そうでもしないと報われないキャラになっちゃうんじゃないかなぁ。
アテネが出てきたことによって女の子たちのパワーバランスが崩れるのかなぁ。それとも逆に身動き取れない状態になるのかなぁ。
なんせ、みんなが大好きなハヤテにとっては……
アテネ=女神
だから……。
ハヤテにはかわいそうだけれど主人公の男の子が翻弄される様はほんと面白い。先週から今週にかけての流れなんてハヤテの心はぐちゃぐちゃになっているじゃないですか。この漫画が始まってからここまで主人公の心が揺れ動くのはきっと初めてですよ。
アテネとナギとの関連についても一つだけ。わざわざ美希か理沙のどちらかが「財産の量だけでいえば」と限定しているって事は、三千院家には天王州家にはない何かがあることを知っているって事なのかな?それともたんなる言葉のあやかな?それについては材料が無いので今は何とも言えませんねぇ。
「アテネを略してアーたん」
9年の歳月を越えて、再びこの言葉を聞いた時のアテネの心中はいかばかりの物だったのでしょうか?
またちょっと古い記事を引っ張り出します。
- 2005/11/22 『ここ』とは違う別の世界
今読み返すとここに書いた考え方は正確では無いと思えてきます。試みとして『ハヤテのごとく!』を「ナギの世界」「ヒナギクの世界」「歩の世界」の3つに分けて考えていますが、その後登場人物それぞれが別の物語の主人公であるという考え方に至ったので「XXの世界」という言い方は当たっていないのではないかと思います。
しかし、この考え方自体はわかりやすい。なので、あえてこの考え方に当てはめると、間違いなく「アテネの世界」は作中に存在しています。
ハヤテと出会い、別れ、もう2度と会うことはないと理解していたのにそのハヤテの言葉を別の人から聞いてしまいとまどい、運命のいたずらでハヤテがまた身近な場所にいるようになり、そして、ついに再会してしまった。自分の名前と同じ名前の街で……。
今週の話を読んで、そんなアテネの物語を思い浮かべてしまったんですよねぇ。昔は怒ったり笑ったり、そして泣いたりしてた女の子が、お人形さんみたいですごくきれいではあるけれど無表情な少女に変わってしまうまでの物語をね。おそらく、その大半は既に描かれているような気もします。だから逆に描かれていない部分がものすごく気になります。
もう一つ、蛇足ですが……。アテネが『ハヤテのごとく!』に入り込めるのか?というのが気になるんですよね。今のところアテネが出てくると漫画の質ががらっと変わるようなイメージを持っています。昔の、いや、今も層だけれどヒナギクさんみたいな感じ。アテネもヒナギクさん同様、本来別の物語の主人公なんだろうなぁと思うんですよね。でも、作者の言葉を信じるとアテネの方がより深く『ハヤテのごとく!』本編に関わっているものと思われます。
アテネ大人気なんですよ。もうね。ビックリするくらい人気がある。1感想サイトのデータだけですが九分九厘間違いないです。明らかに反応が違う。おそらく作者の目論見としてはいずれいつもの『ハヤテのごとく!』に違和感なく登場するキャラクターになると思うのですが、人気が高いだけにうまいこと着地できるか心配になる年寄りの思い過ごしです。
『ハヤテのごとく!』作中で、綾崎ハヤテは天王州アテネをもう一度あの名前で呼ぶのでしょうか?もし呼ぶとしたらそれはいつなのでしょうか?ゴールデンウイークの暫定最終回のトリガーになるのでしょうか?あるいはこの物語の終盤が訪れたことを告げる言葉になるのでしょうか?
「アーたん」
ハヤテの口からその言葉が発せられる時、また読者は何かに気づくことができるのかも知れません。
続きは多分またあした……
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