読書感想文 角山栄著『茶の世界史』世界史シリーズ第6弾

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))



俺が存在を知らなかっただけであったんですね!茶の世界史!
他にもあるかも知れませんが、今まで読んだ世界史シリーズの中では出版されたのが一番前です。


精読したというほどではないのですが面白かったです。

過去の世界史シリーズ感想文





みなさんはお茶というとどういうイメージを持っているでしょうか?茶の湯っていう人もいるだろうし、メイドさんが紅茶を入れてくれるのをイメージする人もいるかも知れません(笑)。人によってはお茶よりハーブティの方が好きだという場合もあるでしょう。


さて、この本を読むまで私が全く疑問に思っていなかった事実があります。そもそもイギリスで、なぜ「紅茶文化」的な何かが生まれたのでしょうか?そしてそれはなぜイギリスだけで今なお生き残っているのでしょうか?


そもそもお茶というのは東洋の作物です。中国やインドが産地として有名です。それがなぜヨーロッパに受け入れられ、しかも文化的な側面まで持つようになったのか?同じようにヨーロッパに伝えられたコーヒーやチョコレートは「文化」にまでは至らなかったのに関わらず、なぜお茶は文化になることができたのか?*1


『茶の世界史』では、ヨーロッパが持っている東洋、特に日本文化への、嗜好品を飲むという行為を文化にまで高めた人々への憧れと劣等感があったのではなかろうか?という分析が答えの一つとして呈示されています。




もちろんこの本では統計情報を駆使して世界商品としての「茶」の位置づけについても語られています。さらには「茶」が原因となった国際紛争などにも言及されています。感想文のとっかかりとなる要素は、私が上に挙げた要素以外にもたくさん散りばめられています。


何より読んで面白い。出版から20年以上経っている今読んでも面白い本です。新書らしい新書ですね。



*1:異論はあると思いますが、この本を含む過去に触れた事実から得た得た私自身の感想です。