読書感想文 桜庭一樹著『GOSICK II』なぞと設定

GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき (角川文庫)

GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき (角川文庫)





灰色狼をめぐる伝説となぞのシスターからヴィクトリカとその母の秘密に迫る話でした。


ヴィクトリカは名探偵属性をまとっているので作中で解決すべきなぞについてはきっかけさえあればあっというまに解けてしまいます。この作品単体でのメイントリックはIに比べると仕掛けも単純で驚きはありませんでした。いや、わかんなかったけどね(笑)


どちらかというと、シリーズ全体を通してのなぞを提示するのがメインの話だったのかなぁと思います。


しかし、そのなぞなんですけれど、本当になぞなのかなぁ。単なる設定との見分けがつかないなぁと思ったんですよね。ところが、よくよく考えてみると、推理小説で提示されるなぞってのはそもそも設定の一種にしか過ぎないことがほとんどです。犯人がこうやって誰かを殺したとかこういう理由で殺したとかいつ殺したとか、それは作中では犯人自身は知っている設定であり、対読者という意味では作者は知っている設定です。
それをいかに謎めいて提示するか、そしてそれをいかに気持ちよく明かすか、その気持ちよさにはいわゆるフェアかどうかと言うのも含まれていると俺は思います、が推理小説作家の腕の見せ所なのかなぁ。


ということを書いておいてなんなんですが、読者としての俺から見ると、なぞと設定ってやっぱ別物にみえるんですよね。っていうか何も考えず別物として考えていた。
その2つに明確な相違点はあるのだろうか?今後はそう言う余計な事を考えながら推理小説を読んでみようかと思っています。