読書感想文 歌野晶牛著『密室殺人ゲーム・マニヤックス』

推理小説の面白い部分だけを抜き出した結果、現代社会における推理小説の限界をイヤでも感じてしまう密室殺人ゲームシリーズです。




推理を楽しむために、メンバーがそれぞれ実際に人を殺すというゲームをしている登場人物がやがて破滅する様を描くというモチーフはやはり社会的には許容されないのでしょうか?
今回は、登場人物たちが構築した架空の世界で起こる事件が題材となっています。その世界の中で起こる事件の解決を登場人物たちが楽しむのはもちろんのこと、架空の世界の成り立ちについて、断片的な情報から読者が読み解いていくという楽しみも用意されています。


しかし、最終的にはその架空の世界が作中現実を侵食し登場人物たちは破滅への道をたどる事となります。


虚構の中での謎解きでさえ許容されないことがある現代の社会。それはそれで理詰めで考えると正しいのだろうし反論するすべは持ち合わせていないのですが、息苦しさを感じる事もまた否定できません。
登場人物たちが決して他人には見えない、非常に怖い作品でした。




最後にひと言だけ。
原典を読まずにこの感想記事と読みに来た皆様には、この記事の書かれた日付とか諸々の問題点についてご配慮頂けると助かります。