畑健二郎を突き動かすものはいったい何か?

アニメ新シリーズが始まった『ハヤテのごとく!』。相変わらず驚かされるのは原作者の仕事量です。劇場版に引き続き、ストーリーの全てを漫画で作ってしまいました。その分量800ページ程度。決してさくっとできるとは思えません。


ハヤテのごとく!』という漫画自体はすでに安定期に入っていると思われます。少なくはない固定読者がいて、その読者の大半を守るだけでも商業作品として成り立つ地位は築き上げているはずです。
本編に関係なく、人気がある登場人物たちがまんべんなく活躍するパラレルワールド的なストーリーを作って読者の需要に応える、というようなオリジナルストーリーを書き起こすのならとても簡単に理解できるのです。
しかし、実際には、まだ原作で描かれていない、しかも、いずれ原作で描かれる未来の話をアニメ化するという道を原作者自身が選びました。


新アニメで初めてこの作品に触れる視聴者に受け入れられるか未知数ということにはどのような方法を取っても変わりはありませんが、原作読者、さらには今までに放送、上映されたアニメのファンに受け入れられるかわからない話を時間をかけて原作者自らがわざわざ作る、そのリスクを伴う作業をするモチベーションはいったいどこから来るのだろうか?畑健二郎をこれほどまでに突き動かすものはいったい何なんだろうか?


それは、危機感です。




ハヤテのごとく!』が連載されている週刊少年サンデーという雑誌を読み続けて何十年かになりますけれど、この雑誌、明確に「打ち切り!」って漫画があんまりなくて、少なくとも見かけ上はキレイに終わる所までは連載を続けさせてくれるのかな?と思っています。
上にも書いたように現状のハヤテはそこそこの固定読者を持っているので、よほどのことがない限りは円満も含む打ち切りのことは考えなくて良いのかな、と読者の私は感じています。


しかし、作者はそうは思っていないのでは無かろうか?


いつ連載終了を打診されるか、日々不安を感じながら漫画を描いているのでは無かろうか?
そう考えると、アニメのために先日付のオリジナルストーリーを作った理由が納得できるんです。


劇場版は夏休み最終盤が舞台でした。新アニメは9月末。そして、ナギは屋敷に戻っている。


ナギが屋敷に戻るという結末が、この漫画でいう「暫定最終回」の一つなのでは無かろうかと。
もしもその暫定最終回で連載が終わることになったら、世に出すことができないストーリーが作者の頭にはできている、登場できないキャラクターも考えてある、構成上、今はまだ描けない話がある。
そして、それらのなかには、あらかじめ読者に提示しておいても何ら問題がないエピソードもあったとしたら……。
それを描けるうちに描いておきたいという欲望があってもおかしくないです。




いつ連載が終わるかわからない。構想はあって世に出したいけれど出せなくなるかもしれない話がいくつもある。それが畑健二郎が未来日付のエピソードをアニメ原案として描くモチベーションになっている。
そう考えると納得できるのです。








と、いうのは作者に聞いた話でも何でもないので想像妄想の類です。
こう考えると俺自身は腑に落ちた、というだけの話です。