「金」よりも印象に残った2つの「銀」

リオデジャネイロオリンピックが終わりました。
日本選手団は大活躍で、メダルの数だけを見ると並み居るスポーツ強国の仲間入りをしているようにすら思えます。
金メダルもたくさんとりました。おそらく、あの場所に行く人は口に出さなくてもたった一回のラッキーでもいいから金メダルが取れるチャンスがあると思っているのだろうなと想像しています。そういう人でないとまずあの場にたつことすら難しいんじゃないかなと想像しています。
実力的にはどう考えても無理でももしかしたらというチャンスがもらえるだけでもすごいことです。もちろんそこで結果を出すのはもっとすごいことで、金メダルを取るのは筆舌に尽くしがたくすごいことです。
同じ金メダルでもいろいろな金メダルがあり、同じ銀メダルにも銅メダルにもいろいろなメダルがあります。それはものではなくもらう人、それを見ている人の心を映し出すものです。
ただ見ているだけの私にとって、今回のオリンピックには金メダルよりも印象的な2つの銀メダルがありました。私にしては珍しく共感を得られるかもしれないような2つの銀メダルです。




一つはもちろん絶対女王吉田沙保里の銀メダルです。あまりに強すぎてちまたではリスペクトを通り越して揶揄といってもいいようないわれ方をしてそれでもそれを超えるような強さを見せ続けてきた吉田が敗れました。その喪失感は察することすらできません。みんなの目標であり続けた選手がそのうちの一人に大舞台で敗れるという本人にとっては「失態」を演じたわけですから。
何がすごいって負けてそれがまた伝説になる感じがすごいです。勝って伝説が生まれる選手は数多いですが負けて伝説が生まれる選手は真の強者のみです。生では知らないですが横綱双葉山みたいなもんでしょう。
もう一つは陸上400メートルリレーの銀メダルです。時間がよかったのでたまたま予選も決勝もライブで見たのですが、開いた口がふさがりませんでした。
ベストメンバーではないとはいえあのジャマイカをぶっちぎって一着入線した予選、ベストメンバーで4人のタイムを合計したら絶対に勝てるわけがないアメリカより先に入線した決勝、どちらもありえない光景を見せつけられました。
ほかのスポーツでよく使われるフレーズの「世界を驚かせる」というのは本当はこういうときに使う言葉でしょう。


一位と二位とで全く世界が変わるのがスポーツの厳しいところだとは思います。しかし、時にはこういう二位もあるんだなと思いました。