札幌オリンピックを見据えてスキー場好適地を探してみる

札幌でオリンピックを開催する計画があるとのこと。その是非は地元の皆様がまず考えることなのでここでは言及しませんが、競技人口が少ないのに大規模な施設が必要となり、いわゆる負のレガシーが残りがちになる冬季オリンピックを開催する体力や気概がありさらに適した気候の都市は東アジアにしか存在しないのではなかろうかと思えるような昨今の状況です。


記憶があいまいな前の札幌オリンピックの施設は出張生活をしていたときに少しだけ見ましたが、だいたいどの開催でも問題になる最も大規模なインフラが必要になる競技、アルペンスキーの滑降コースは、支笏湖畔の恵庭岳を切り開いて設置して、開催後自然に戻すという恐ろしく大規模な工事を行って確保したとのこと。
曲がりなりにも常設スキー場である八方尾根を使うことができた長野に比べるとずいぶんと大変だったんだろうなと思います。
スキー場というのは難しい施設で、急すぎず緩すぎずという地形を見つけなければなりません。


さて、そういう大規模な競技はともかくとして、スキー場に行ってみるとあることに気がつきます。開発業者の人たちから見れば当たり前のことなんだろうけれど書いてみますね。


まずは日本国内の著名なスキー場の航空写真をご覧ください。







  • 雫石





  • 苗場





  • 八方尾根






いかがでしょうか?ある共通点があります。
それは、東向き、あるいは北向き斜面に作られているということです。


これはとても理にかなったことで、日が当たりづらい北向き、あるいは気温がまだ上がっていない午前中に日当たりがある東向きの方が、雪質面で有利ということでしょう。


もちろん、これは恣意的に選択したからそうなっているだけですが、どちらも開発が可能ならばまずは東向き北向き斜面を候補として、難しい場合に南向き西向きを開発するということになるのでしょう。


上に上げた中でもニセコはヒラフ以外は南向き斜面に、志賀高原は斜面によってまちまちになっていますね。


それでは、西向き南向きの著名なスキー場をあげていきましょう。いったことがあるところはコメント付きにします。



  • キロロ




滑ったことはないですが何度も前を通っている見事な西向き斜面です。


温泉地と斜面の関係でどうやっても西向き主体になります。ここに行くと中央ゲレンデというところで飽きもせずに一日中滑ってしまっていたのですが、そこは北向きなんですよね。意識せずに条件がいいところを選んでいたということでしょうか。

  • 猪苗代付近のスキー場


このエリアは地形的な制約なのか南向き斜面のスキー場が多いです。かつて磐梯山の北側が崩れたことによって地形的な制約が発生しているのかも。

  • 岩原


滑ったことはないのですが、関越道を走ってトンネルを越えるとこの景色で盛り上がります。同じ山の裏にある舞子の方が条件は良さそうなのですが知名度は岩原の方が高いですね。




もし仮に札幌でオリンピックが開かれるとしたらどこにコースを設定するのかな。当時とは比べものにならないくらい自然保護の意識は高まっているし競技団体の要望レベルも高くなっているでしょう。
ニセコ富良野にコースを設定できればそこを使うのが一番のように思えます。


さて、かつてオリンピックが開かれたソルトレークシティ郊外ではおもしろい光景がありますので最後に紹介します。

東西に延びる二つの谷沿いにスキー場が点在しますが、南向き斜面は基本放置されています。地形的な制約もあるのかもしれないですが条件が大きく違うのかもしれません。
山と斜面さえあればスキー場ができるみたいな簡単なものではないんですよね。