ふりむかない男―アルド・ナリスの事件簿 2

すでに書くことは決まっていると先日予告した作品です。土曜日に読み終えました。読んだ結果書くことが変わりました(笑)


僕が栗本薫という作家の作品に初めて触れたのはグインサーガではありません。探偵役として「栗本薫君」が活躍する推理小説の「ぼくら」シリーズです。
ぼくらの時代 (講談社文庫 く 2-1)
ぼくらの気持ち (講談社文庫 く 2-2)
ぼくらの世界 (講談社文庫)
そのことを改めて思い出しました。


この作品を僕の言葉で評すると

です。
グインサーガという大海小説(解説で書かれている言葉を借りました)の世界観を知っている読者でないともしかすると理解できない作品かもしれない。でも内容はまぎれもなく社会派推理です。
作者には失礼な物言いではありますが、僕にとっては本編より面白いです。栗本薫氏が推理小説作家でもあることを再認識しました。
前述した「ぼくら」シリーズにしても、僕が覚えているのは翼を広げる場面だけでトリックとかほとんど覚えていなかったりします。でも一点だけでも覚えているって事はやはりその時の僕にとっては印象的な小説だったのだろうと思います。
いろいろ書きたいこともあるけれど推理小説について書くとネタバレが避けられないので遠慮します。




さて、僕がこの本を買った理由は不純な動機であると前に書きました。その動機は・・・
いつも読んでいるSomething Orangeの筆者である kaien 様が解説を書いている!ということです。
昨日の追記にもかぶるんですが、インターネットというのは怖いところで、プロ、あるいはプロを目指す人と素人とのしきいが低いんです。プロから見ると読者の生の声を引き出すことができるという利点でがあるのかもしれないえですが、素人から見るとうっかり親近感をもってしまうという罠があります。
テレビでいつもみている芸能人をリアルで見かけたときにため口きいちゃう人っているじゃないですか。それと同じ事を僕もしているのかもしれないという恥ずかしさがあります。
土曜日の例ではうっかり「高い」とか書いたら著者の方にコメント頂いて恐縮したりしているわけです(笑)いや良書なんですよ。ほんと。もう一度リンク張っちゃおう。

日本の地形レッドデータブック〈第1集〉危機にある地形

日本の地形レッドデータブック〈第1集〉危機にある地形

いや、めちゃめちゃ脱線してます。。。


それはともかく、この本を買った理由は解説読みたいってこともあったので、掟破りの解説感想文も書いてしまいます(笑)


まず思ったのは、HTMLでの表現を紙の本で実現するのは難しいと言うことです。他の記述の引用がしづらいですね。HTMLだとリンク一発張れば読者はオリジナルのテキストを見ることができるわけです。しかし紙ではそれができない。
おそらくkaien 様(あるいは森生歩様)は意図的に引用部分を浮きだたせたのじゃないかなと邪推しています。
そしてそのことは僕も意識していました。自分の書いた文章の中でリンクを、特に他に迷惑をかけないインターナルリンクを多用しているのはそういうHTMLでしか表現できない文章を書きたいという意図がありました。
ありえないことですが、あの十日間の文章が紙に印刷されたことになったりしたら全面的に改稿せざるを得ないわけですよね。同じ文字という道具を使っているのに載るメディアが違うと表現方法が異なるということを伝えようとしてみたのですが・・・伝わっているかなぁ・・・
HTMLという言語によって普及したリンクという仕掛けは非常に強力で、うまく使うと今までになかった表現をすることができると思います。でもこういう落とし穴があります。気をつけないと無用なトラブルに巻き込まれます。わたしゃジャーナリストでもなく言論人でもなく市井の気が小さい一般小市民ですからよけいにね(笑)


また脱線してるし・・・


次に解説の内容についてです。それほど熱心な読者ではなく、グインサーガについては本編しか読んでいないので解説をじっくり読んだのは初めてでした。(本編は解説ではなく作者の後書きがついています)
なるほど、そういう世界観なのかと考えさせられる物があります。僕も20年くらいに渡ってこの作品を読んでいるので、自分なりにとらえている世界観がたぶんあると思ってました。でもそれを言葉にしたことはありません。だから、漠然ととらえているだけなんです。言葉にされた物を読んで素直に受け入れられたって事は、逆にしっかりと読んでなかったってことかなと思ってます。
若干ショックを受けたのは

みな幼いころ親を亡くし、あるいは親に捨てられた人物だ。

森生歩氏の解説より
です。
ああ、そういえば。そうだったなぁ。この話は今日の+αでもう一度触れます。


この日記を書くまでは公開の場に自分の考えを書くことはまず無かった(匿名ではたまーにあったけど)し、まさか本の解説について感想を書くことになるとは夢にも思いませんでした。舌足らずでうっかり変なこと書いていなければいいんですが。。。粗忽者なのでこれだけ毎日書いていても怖さは抜けないですな。