魔法ファンタジーの世界
- 作者: 脇明子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/05/19
- メディア: 新書
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この本にはおそらく「ナルニア国ものがたり」シリーズのネタバレと思われる記述があります。今後読む予定のあり、ネタバレを好まない方はナルニア国ものがたりシリーズを読了してからこの本に取りかかることをおすすめします。
但し書きから始まりましたが・・・
正しい但し書きではないかもしれません。その理由は、俺自身がナルニア国物語シリーズを読んでいないからです。実はそれに限らず、この本で取り上げられているほぼ全ての作品を俺は読んだことがありません。「指輪物語」「ゲド戦記」、そして子供向けにリライトされていない「ドリトル先生航海記」「宝島」どれも読んでないです。
にも関わらず、この本は楽しめました。
著者の言葉を借りると、俺自身は子供の頃「ダイジェスト版のファンタジー文学」を読み、そこから「ダイジェスト版のリアリズム文学」に移行し、その後「リアリズム文学」を好むようになった人間です。本当の意味でのファンタジー文学ってのはほとんど読んでいないですね。
高校生の頃、本が好きな生徒は大きく三つのグループに分けられていました。
・推理小説派
・SF小説派
・両方好き派
俺はどう考えても推理小説派でした。SFで語られる「絵空事」にはあまり興味が持てていませんでした。というか、現実社会を舞台にした推理小説でないとイメージをふくらませることができなかったのかもしれません。
ファンタジー文学の評価は難しいとこの著書には書かれています。論理的に読み進めるだけではファンタジー文学を味わうことができない、だから作者の脳内に構築された世界感を、その矛盾点も含めて受け入れられるだけの包容力、想像力がないとなかなか入り込むことができないのかもしれません。
俺はこの著作の内容に全て同意しているわけではありません。物語を語るときにはどうしても主観という物の存在が無視できないからです。もし仮に著者が完全に主観を捨てていたとしても、俺自身の主観がじゃまをします。
しかし、いろいろと興味深いテーマがちりばめられています。
魔法ファンタジーに分類できる作品、今売れている本で言えば、「ハリーポッター」シリーズ、最近手を染めた漫画でいえば「魔法先生ネギま!」の熱心な読者の方が読むと、いろいろと感じるところがあるように思える本でした。