『時をかける少女』 時をかけるせつない物語

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女は、テレビドラマ、映画などで何度も映像化されていますが、原作は中編あるいは長めの短編小説です。この作品一つだけで一冊の本になるような分量ではありません。筒井康隆作品としては異例な子供向け作品(あるいは子供でも安心して読めるといった方がいいでしょうか)三作品がまとまって一冊の薄い本になっています。
それら三つの作品には作品それぞれに関連性はありません。ですから、感想文も三つの作品それぞれ個別に書くことにします。

時をかける少女

俺的には抵抗がある言い方なんですが、おそらく筒井康隆氏が著した作品の中でもっとも多くの人に知られ、もっとも多くの人に読まれている作品でしょう。
前に読んだのは少なくとも十年以上前。おぼろげには覚えていたのですが・・・記憶ってのは不確かな物です。かなり新鮮に読めました。記憶違いも多々ありました。記憶だけで感想を書いてはいけないなと改めて思いましたね。
再読して思ったのは、こんなに切ない話だったかなぁと言うことです。高橋留美子さんは筒井康隆ファンですが、時をかける少女をもう一度読み返すと、うる星やつらのラストへの影響がかいま見られるような気がします。それほど珍しいプロットではないのでしょうけれど・・・
この話の主人公は実はラベンダーなのではないか、そんな感想を持ちました。
約40年もの間生き残り、読み継がれている作品です。もはや古典、しかし現代人の心にも響く普遍的なテーマを扱う古典といってもいいのかもしれません。

悪夢の真相

筒井康隆らしい小説です。子供向けといっても微妙な毒があります。そしてテーマが夢。まさに筒井康隆の世界です。この小説を読んだ記憶がありませんでした。読んでいることは間違いないんですけれど・・・
なんか、短編なのに京極夏彦氏の長編作品の雰囲気を感じる不思議な話です。

果てしなき多元宇宙

短編です。しかしこれがね・・・新カテゴリーを起こさざるを得ない気分にさせたのよ。困ったことに。。。