「亀田興毅戦」と「時かけ」についての補足

ARTIFACT@ハテナ系
でここの記事(ネットとメディア、試行錯誤)を紹介してくださいました。引用部分だけ第三者的に見るとなんかえらそーに書いているように見えないこともないので補足マトリックスを書いてみます。

  反応大 反応中 反応小
プロモーション費用(リスク)大 亀田戦 1 ゲド、ブレイブ 2 ??? 6
プロモーション費用(リスク)小 時かけハルヒ 3 ??? 4 ??? 5

こんな感じで考えています。
プロモーション費用だけがリスクではなく、コンテンツ制作費、興業だったら場所代なども含まれるわけです。そこまで考えると、「時をかける少女」や「涼宮ハルヒの憂鬱」をこちらに分類するのは乱暴なのですが便宜上こんな感じで。
後ろの数字は、最終的にコンテンツを提供する側が得るであろう利益の順位です。想像というか妄想です。実数が出てくることはないでしょうから。
亀田興毅戦とその後の反応を見ていると、「こりゃ悪役を作り上げたな」と感じざるを得ない。朝青龍もどちらかというと悪役。悪役同士で中がよいことを演じているんじゃないかと思ってしまったよ。ネットで騒げば騒ぐほど仕掛けた方の思惑にはまっていく感じ。でも騒がずにはいられない(笑)。そういう意味ではものすごく質の高いコンテンツです。他の人はどうかわからないけれど、次にテレビで試合があったら俺はたぶん見ちゃうね。マーケティング的には近年まれに見る大成功でしょう。
これを仕掛けるのにはいろいろな意味で金がかかっていると思います。しかしそれを補ってあまりあるリターンがいろいろな意味で得られたんじゃないでしょうか。
それに比べ「時をかける少女」や「涼宮ハルヒの憂鬱」は相対的にプロモーション費用をかけていません。一般的な感覚では十分お金かけているんだろうけど。ブロガー向け試写会しかけたり「時かけ」は露骨。その露骨さを売りにした部分もある。既存メディアVSネットという対立の構図をネット住民の間にそれとなく植え付けることに成功したと思います。
ハルヒ」の方は表に出てきた話はないけれど、2chとかでの盛り上がりをコンテンツ提供側が仕掛けんじゃないかという疑念は否定できない。
時かけ」や「ハルヒ」は、本来コンテンツ提供側が負担するプロモーション資料と費用をネット全体にうすーく負担してもらって、結果的にそれなりのプロモーション費用をかけたのと同様の効果を得たってことになるんじゃないかな。口コミマーケティングというとMLMを連想してうさんくさく感じる方もいるかもしれませんが、手法としてはそれと同じ。
その、一種ネットを工作員化させた手法が受け入れられない人がいるってのもよくわかります。でも、「時かけ」も「ハルヒ」もそのコンテンツの持つ魅力がある水準に達しているからこういう一定の成果が得られたのではないかと思います。
前にも書いたことですが、ネットを使ったマーケティングって、コンテンツに魅力がないと無視をされて失敗することが多いと思います。その場合は悲惨ですよ。誰にも知られず静かに消えていくしかない。そういう物の実例は俺の目に触れることもないので挙げられないけれど実在はすると思います。金をかければその無視されるという最悪のパターンは回避することができる。おおごけしなければそれなりのリターンは期待できる。その代わりおおごけした場合は負債という形でコンテンツ提供側に帰ってくる。


この手の話、別に今始まったことではないです。ネットがあるからどうこうってのはちょっと違うと思った。確かに目につきやすくなったという意味で、やじうまWatchの記事にもある程度は同意できますが。
基本的にハイリスクはハイリターン、ローリスクはローリターン。ただ、ローリスクでハイリターンに化ける可能性は確かにネットによって高まったのかなとは思いますね。