森村誠一著 純白の証明

純白の証明 (C・NOVELS)

純白の証明 (C・NOVELS)

おそらく10年以上ぶりに読む森村誠一氏の著作です。慣れってのは怖い物で、私にとってはこの小説の方が涼宮ハルヒシリーズよりずっと読みやすかったりします。
感想文といっても、この小説は推理小説なので内容の詳細は書けません。


この小説はいわゆる「本格推理」ではなく、「社会派推理」に分類されると思います。そこに「山岳推理」の風味がついています。
「山岳推理」。私が今まで読んだ中で一番印象深いのは、太田蘭三氏の「脱獄山脈」です。
脱獄山脈 (祥伝社文庫)

脱獄山脈 (祥伝社文庫)

推理というジャンルからはちょっと逸脱してしまうのかもしれませんが、痛快なピカレスクロマンチックではあるけれど、背後に冤罪の問題などもある名作だと思います。もちろん娯楽小説として読んでも楽しめます。下着泥が下着を見かけてふらふらと降りていって苦境に陥るなんて話は笑えた。
太田蘭三氏は釣部渓三郎シリーズなどが著名ですが、山のにおいがする著作、どれもすばらしいと思いますね。白の処刑 (講談社文庫)もすきだったなぁ。冤罪系の話です。なのに痛快です。
「純白の証明」の舞台は主に街です。街に住む山男たちの物語です。山での犯罪の特徴、つまり証拠が残りづらいというのをうまく生かしていると思います。そこに、社会派的で入り組んだ基本設定が絡んできます。結局真相は闇の中に閉ざされる。それが山の事件です。当事者以外には誰も知らない、誰も調べようがない真実がそこにはあります。


ものすごく久しぶりに社会派推理を読みました。物語としてはえー!?ってところもあってわかりやすく決してすごいとは思えないですがやっぱ面白いです。本格推理もいいけれど、こういう推理小説もたまには読まなきゃだめだな。


ちなみに、この本を買ったのは、冒頭に北アルプスの地図が出ていたからです。地図ヲタですからねぇ…


追記:この本のISBNをブログで言及しているところ、はてなではここしかないみたい。ネットやる人の趣味とはマッチしない本なのか??
手軽にさくっと読めるいい本なんですけどねぇ。
なんでだろ?と思ったら、中央公論社のサイトでは明日(9/25)発売ってなっていた。神田三省堂でフライング発売していてたまたまそれを買ったってことみたいですね。
なっとく。
カテゴリ 読書感想文
tanabeebanatのAmazonストア