芥川竜之介著『芋粥』かなわないから美しい…夢

羅生門の感想でも書きましたがカオスな小説です。平安京時代が舞台のはずなのに外来語が出てきたり、作者がしゃしゃりでてきたりします。不思議だねぇ。子供の頃読まされた時はそんなこと思っても見なかったのに、今読み返すと面白いと思える。


この本も感想文は至る所に上がっていると思います。本筋としては誰からもバカにされてしまうような男がちょっとしたきっかけで自分の夢を叶えてしまう、しかし夢が叶った瞬間には前の自分が恋しくなる、そんなお話です。
途中で狐を使い魔的に使うところとかファンタジー要素もありますけれど基本はそんな感じ。
なんというか、なりたい自分になった瞬間にかつての自分が本当の自分であったことに気がつくという感じか。


大したことは書けないですね…。
これだけではあれなので、微妙に個人的かもしれない感想を。
夢が叶う場所が京ではなく敦賀だったってのもポイントの一つだと思うんですよ。今なら特急や新快速で一発で行けますけれど、当時は馬で時間をかけて山を越えていた。その心細さが主人公に微妙な陰を落としたんじゃないですかね。地理マニアの言うことですから信用はしないように(笑)。


今月感想を書く芥川竜之介作品は残り一つ。ここまで読んできた作品は一見簡単に見えます。ただ、読み込むと違う世界があるかもしれないんですよねぇ。なんせ何百年も生き残っている作品からアイディアを取り*1、その後さらに100年近く生き残っているわけですから。
青空文庫芋粥

羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫)

羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫)

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カテゴリ 読書感想文
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*1:一種のパロディかもしれない