『著作権法』何かを書いて公開する以上著作権リスクは避けられない

堅苦しい話です。
そもそも最初は漫画やアニメの感想サイトに限定して書こうと思いました。でも、よくよく考えると書評系のサイトにだって言えること。もっと広げて考えれば何かを書いてそれを公開している(たとえSNSみたいに絞り込まれた人の目に触れる場合であっても)以上同じ事が言えるのではないかと思い至りました。


ネットで著作権が話題になると、必ずと言ってもいいほど「これは引用だから問題ない」という話が出てきます。その根拠となっているらしい条文を引用します。

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

著作権法 第三十二条
法令データ提供システムより引用


ちゃんと書いてありますね。よかったよかった…。


………………


あれっ??本当にいいのか???




そうなんです。曖昧なんです。どこが曖昧かというと

その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

っていうところ。
これってなにか絶対的な判断基準があるって言うわけではないですよね?ネットで議論になる場合も、ここに抵触するか否かが問題になることが多いように見受けます。つまり、人によって「公正な慣行に合致する」か否か、あるいは「目的上正当な範囲内」におさまるか否かの判断基準は異なるんですよ。


たとえば漫画を刊行しているある出版社が画像などの利用を一切禁止したとしましょう。しかし、その画像の使用が上記条文の範囲内と判断されれば、その禁止している事自体が法令に照らして問題有りと言うことになり得るんじゃないでしょうか?
別の例を挙げると、よくネタにされるディズニー関連があります。たとえばここに「ミッキーマウス」と書いたとします。今私は著作権について考える記事を書くために必要があり、かつ正当な範囲内であると自己判断して「ミッキーマウス」という言葉を使いました。もし言葉だけでは何のことを言っているのかわからない人がいるんじゃないかと思った場合は画像もつけるでしょう。ミッキーマウスはみんな知っていると思うので画像を付けませんが…。その行為は著作権法違反なんでしょうか??
ミッキーマウスは商標としても保護されているので必ずしもここで例にだすことは適切とはいえません。(商標登録 第1579409号、第1712268号。意匠(絵)も登録されているんでしょうが検索サイトがみあたらなかったです…)しかし、広く一般に知られていて、かつ著作権問題で話題になることが多いように思われるキャラクターなので例として最適と判断し使用致しました。著作権と商標の絡み合いについては私には権限・知識はもちろんのこと今のところ感想も無いのでこの記事では書けませんし書きません。




もう一つ例を挙げます。たまたま今週水曜日に発売された少年サンデー掲載の『ハヤテのごとく!』という漫画にいい例がありました。


千葉県の舞浜駅にある遊園地でラブコメするという話だったのですが、もし仮にその漫画の中で「ディズニーランド」という名前を出していたらどうなるんでしょうか?その話を読む限り「ディズニーランド」である必要性はあります。決して花やしきや豊島園や富士急ハイランドではなくディズニーランドである必然性がありました。誤解の無いように書きますが作中では「ディズニーランド」という言葉は出しませんでした。そうとわかるようにいろいろと情報を提示しただけです。しかし、もし仮にページ数がなく、どの遊園地であるのかを一コマで表現せざるを得なかった場合、ディズニーランドのシンボルである建物やキャラクターを書くしか無かったと思うのですよ。だって、この話にはディズニーランドである必要性があったわけだから。その場合、その行為は著作権法に抵触するのでしょうか?




もう一度条文の一部を引用します。

その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

私は、この条文が事実上人間の判断基準によってどうとでも解釈可能なんじゃないかという疑問をぬぐい去ることができないんですよ。そして、その最終判断を下すのは誰かというと裁判所の裁判官になるんです。仮に自分の判断基準に絶対の自信を持っていても、裁判官の判断基準に照らして「問題有り」と判断されたら法令違反になるんじゃないかと思うのですよ。
そう、その判断を下すことができるのは自分自身でもなければ版権を保有している側でもなければ当然権限を持たない第三者であるところのその記事を読んだ読者でもない。権限を持っている第三者=裁判官だと思うのですよね。


実際には著作権法違反で訴えられる前に版権を保有している企業なり個人なりからクレームがあり、その要求に応じるか否かの判断を自分で下すことになるでしょう。ほとんどの場合そこで問題は解決するはずです。しかし、世の中にはいろいろな人がいる。いろいろな会社がある。いきなり訴訟を起こす企業や人だっていないとは限らないです。だって、訴訟を起こす権利は持っているはずですから。
「これは批評のための引用だから大丈夫」「ここまでは慣例で問題なしと言うことになっているから大丈夫」と判断して書いたことでも、人によって判断基準が異なるわけですからリスクが無くなるというわけではありません。


そういうリスクがあることは念頭に置いた方が良いと私は思います。




さて、では私がそのリスクにおびえて更新を停止したり過去の記事を削除したりするのかというと…。しませんね。リスク背負っているのは承知の上です。でも、リスクを犯さないと楽しいことは何もできません。スポーツだってそうじゃないですか。スキーが好きだけれど常に怪我のリスクと向き合っています。それを防ぐためにレベルに合っていないコースには入らないとか準備運動をするとかしていますけれど、それでもリスクは避けられません。公開されているところに文章書く時だって同じ話で、引用する時には必ず出典を明記するように心がけていますがそれでもリスクを完全に回避することにはならないです。そして、それをたった1回忘れただけでリスクが飛躍的に高まることだってあるんですよ。スキーでうっかり道に迷って危険なコース外に出てしまう可能性だって0では無いように…。








最後まで読んで下さった方だけに…。
こういう法律的な話を全くわかっていないのに書くと今度は弁護士法に抵触するのではないかという疑問が湧いてきました。せっかく著作権法を引用したので同じサイトで調べてみました。
法令データ提供システム 弁護士法

第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

「報酬を得る目的」でなければ大丈夫みたいです。ほんとか??ほんとだろうね。ああ、でもアドセンス貼っているからまずいのかな?この文章は法律を読んだ感想文であって他人にアドバイスする意図も報酬を得る意図もありません!って宣言してもだめ?わからん。まずかったら速攻消します。
ただ、それを権限がない人が根拠なく指摘すると…
法令データ提供システム 刑法

第二百二十三条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

義務がない事を行わせて自由に対して害を加えることになってしまうのでしょうか?(笑)


いろいろ絡み合ってきてわけがわからなくなったのでこのあたりでやめておきます…。