読書感想文 宮沢賢治著『北守将軍と三人兄弟の医者』
- 作者: 宮沢賢治,谷川徹三編
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1951/10/25
- メディア: 文庫
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まず、全体感からです。
この作品の文章って心地よいです。リズムがあって非常に読みやすい。童話っていうカテゴリーだから当然といえば当然なんでしょうが、書くのは大変なんじゃないかなぁと思いました。
続いて内容についてです。
ラユーという町に3人兄弟の医者がいます。彼らは別に有名ではなかったですが、確かな医術によって町の人たちに慕われていました。兄弟はそれぞれ人間を診る医者、動物を診る医者、植物を診る医者でした。
そんなラユーの町に北守将軍ソンバーユーが帰還します。彼はすっかり参っていました。参ってしまったがゆえに王様にも会うことはできません。それどころか謀反を企てていると誤解されてしまう始末です。
将軍は3人兄弟の噂を聞きさっそく診てもらいます。その結果、将軍も、将軍が乗り続けた馬もすっかり元気を取り戻します。
その後将軍は引退し町の人たちは「仙人になった」と噂するのですが……
と書いたところで迷っています。感想文に落ちを書いてしまったよいのやらとね。この作品、落ちがとても気に入ったのですが、それを書いてしまうのはよくないことのような気がするんですよ。やっぱり原文を読んで落ちを知ってもらいたい、そういう意識があります。
抽象的に書くと、ファンタジー世界がその落ちによってあたかも現実世界であるかのようなリアリティを持ってしまう、そういう感慨をいだいたのですよ。
せっかく買った本なので全編読んでみようと思っています。最後はおなじみ『銀河鉄道の夜』ですね。